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“On My Own”と”That’s What Friends Are For”にみるAORとアメリカ

AORという音楽のジャンルがある。和製英語ではなくAdult-oriented rock、つまりオトナ向けのロックという英語がちゃんとあって、ボズ・スキャッグスとか、シカゴ、デイビッド・フォスター、ドゥービー・ブラザーズあたりが代表的なアーティストだとよく言われる。つまり1970年代末から1990年頃にかけてのメロウでオシャレなロック、ということらしい。ちょっとだけ先行するけれど、時代も、その音楽的特徴も、いま世界で再評価されている日本の「シティ・ポップ」に重なるところが面白い。

さて、そのドゥービー・ブラザーズでも活躍したマイケル・マクドナルド(シブいピアノを弾くソングライター&シンガー)とパティ・ラベルが1986年に発表したデュエット曲、On My Own。マイケル・マクドナルドはドゥービー・ブラザーズのWhat a Fool Believesなどで、AORの代表的アーティストの一人としてのイメージが確立されているけれど、面白いことにこのOn My Ownの1年前、ディオンヌ・ワーウィックとスティービー・ワンダーらによる同じくデュエットのバラード、That’s What Friends Are Forという曲が発表されていた。実はこの2曲、どちらも作曲はバート・バカラックとキャロル・ベイヤー・セイガーという白人ご夫婦。でもThat’s What…の方はあまりAORとはカテゴライズされていない気がする。同じ作曲家が同じ時期に作ったバラードでも、マクドナルド節が加わるとAORで、スティービーのハーモニカが入ってくるとソウルなのか?とか。

楽曲としての特徴だけ見れば、例えばマイケル・ジャクソンにだって、Human Natureとか、AOR的な雰囲気の作品はある。「オトナ向けのロック」としか言っていないAORに厳密な定義はなく、それゆえに自由な解釈が可能なんだけど、なんとなくAORには「Blue-eyed soul的要素がないとダメよ」、みたいな暗黙の了解がアメリカにはあったのかなとか想像してしまった次第。だからTOTOやホール&オーツはAORとしてよく語られるけどスティービー・ワンダーは違うのか、とか。でもアース・ウインド・アンド・ファイヤーはAORとしてもよく出て来るよなぁ。識者の皆さん、ご教示お願いします。

https://music.youtube.com/watch?v=HyTpu6BmE88&si=Rh7xVO3A1ok2URrt


*画像はイメージです。ニューヨークにて撮影

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