【進撃の巨人】 地ならしは止まると思う

進撃の巨人の話です。
地ならしが発動して世界が大混乱。
とうとうここまで漕ぎつけたかと思ったら,それ以降のストーリーの進展が遅く先の読めない状況が続いている進撃の巨人ですが,最終回まで含めた今後のストーリー予想として私の個人的な意見を書きたいと思います。
ディテールや未回収要素の考察ではなく,大雑把な予想でしかないことはご容赦ください。

まずは,今後のストーリー予想の鍵となるであろうセリフを紹介します。
69話でのケニー・アッカーマンの発言です。
「みんな何かに酔っ払ってねぇとやってられなかったんだな…みんな何かの奴隷だった…あいつでさえも」
この場合の「みんな」とは誰か。
物語の展開的には,これまでケニーが見てきた人間を指しているのでしょう。
しかし,私はこれを1つの伏線であると考えます。
ケニーという人物の経験則に基づいた発言ではなく,この物語そのものを表す伏線としてのセリフです。
進撃の巨人に登場するキャラは押し並べて何かの奴隷であり,真の自由は手に入れられていないということです。

本題に入ります。
エレンは地ならしを発動しました。これによってパラディ島の民は救われ,世界のアンチエルディア思想は消え去ることでしょう。
このまま行けば一応ハッピーエンドになりそうですが,実際には既のところで地ならしが止まると思います。
なぜ,止まるのか。
それは,地ならしで壁外人類を滅亡させても真の自由は手に入れられないからです。
進撃の巨人は自由をテーマに描かれています。(私は作者ではないですし,制作に携わっているわけでもないので本来言い切るのはおかしいのですが,ここでは便宜上言い切らせてもらいます。)
ここで思い出してほしいのが,先のケニーのセリフです。
「みんな何かの奴隷だった」
奴隷は不自由な身です。知識を得ることもできず,行動も制限され,生死さえも自らの思うがままにはいかないのです。
この奴隷という境遇を打開しない限り,自由を手に入れたとは言えないのです。
では,エレンは何の奴隷でしょうか。
エレンは現在,3つの巨人の能力を宿しています。
進撃の巨人,始祖の巨人,そして戦槌の巨人です。
この内,進撃の巨人は道を通して継承者の視点から未来を視ることができます。この能力によって,エレン以前の保有者も道を踏み外すことなく然るべき行動を取り,その能力を継承させて来ました。
この未来を視る能力こそが,エレンを奴隷たらしめているのです。
未来は既に決まっており,その決まった未来に沿って行動することしかできないのです。
エレンは,未来の奴隷なのです。
すなわち,既に決まっている筋書きを自身の力で書き換えることが奴隷を脱する策であり,それこそが真の自由を手に入れることなのです。
進撃の能力によって見られる未来は,地ならしが成功した未来でした。
これは,121話のグリシャのセリフから読み取れます。
この,地ならしが成功するという未来を変えること,つまり自身の力で地ならしが失敗に終わる未来に作り変えることこそがエレンが未来の奴隷から抜け出す唯一の方法なのです。

以前,情熱大陸で進撃の巨人の作者である諫山創さんが特集された際,最終コマが公開されました。
エレンと思しき人物が子供を抱いて,「お前は自由だ…」と呟いている場面でした。
既に筋書き通りにしか進まない世界では,エレンのみならず全ての人間が未来の奴隷と言えるでしょう。その中で,たまたまエレンが未来を見ることができるだけであって,結末の定まっている未来の影響を受けるのは,エレンだけではないのです。
最終コマで登場した「自由」という言葉の意味は,あの子供とその他の全ての人類が,未来から開放され,真の自由を手にしたことを表しているのではないかと思います。

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