【詩】愉快な穀潰し

今日もただ時間を食む
わたしは穀潰しである

ていねいに紙で巻かれた毒を食む
わたしは憂いを手に入れる

代償に差し出すのは時間であり
わたしは憂いを食み
生き永らえる

今日の空の色すらに
一顧を与えることもなく

その毒をわたしという物体が
蛭のように啜っているとき
先程少し見上げた空は
今にも泣き出しそうなもので

その空の中を
飛行機は背中を丸めて
何処か遠い国へしぶしぶ
向かっていったのだった

ああ、この時のなんと
愉快だったことか

彼は「ぼくにもそれを分けてくれ」
と言ったが

「分けてやってもいいが」
「おまえはわたしのように出来ないだろう」

とそう言った

わたしは彼と会話することを止めて
また時間を食む

わたしはただの穀潰しだ
他には真似出来ないほどの

わたしはうらぶれるわたしを
愛している

声を出してわらってやりたい気分だ

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