“好き”を編んで、お守りに
ふと、一時期のテニミュ(ミュージカル テニスの王子様)楽曲を詠唱できてしまうことに気づいた。
あの頃のニコニコ動画に入り浸っていたインターネット老人会の皆様においては、どなたも空耳詠唱の2,3曲はできたと思うので別に珍しいことではない。
しかし当時、観劇に通いすぎて最前チケットを自引きしてしまうほどのめり込んでいたわたしは2,3曲どころの騒ぎではなかった。
キャストの名前は忘れても曲を聞けば勝手に口が歌詞とセリフを発する。多分寝てる時に『初戦とはいえ、みんな動きが悪すぎるよ!』と話しかけられても「…デーンデーンデーン、そうだ、幸村の言うとおり……」くらいは寝言で返す。
詠唱(?)できるといえば、これは割と最近の作品だけど、ドラマ『MIU404』の2話のセリフもめちゃめちゃ覚えてる。2話は犯人役が松下洸平なの、豪華だ。
MIU404、通しで10回近く見ている気がする。盛ってない。リアタイしていた時、「このドラマめっちゃおもろ…」とわからせられてしまったのが2話だったからなのか、ずっと2話が大好き。人は信じたいものを信じるんだよ。
その『MIU404』&『アンナチュラル』の世界と繋がるシェアード・ユニバース・ムービー(←初めて聞いた言葉)『ラストマイル』が昨日8/23、満を持して公開された。
映画館という場所が得意ではないため未観賞。ざっくり言えば“暗くて静かな密室で感情が溢れるとすこぶる具合が悪くなる”というなんとも情けない理由で少し苦手なのだけど、『MIU404』というドラマにおいてはいつも伊吹藍という男が見る者の感受性を盛大に請け負ってくれている。だから好き。愛おしい。
調子がいい時に見に行こうかな。
繰り返し見た、でいうと『仮面ライダー電王』もそうかもしれない。はじめて仮面ライダーという文化に触れたのがこの作品だった。まさかこのあと17年の時を経てプリキュアにハマるとは。
人生で1番アニメイトとおもちゃ屋さんに通ったのが電王放送中。イベントにも行った。
まさに当時、ドキドキしながら1人で観劇した映画が『さらば電王』だった。ゼロ組が好き。
ちょうどこのころ声優養成所に所属していたのだけど(色々あってすぐ辞めた)、アイドル声優全盛期、憧れの声優は大塚芳忠さんだと公言していた。未だに変わらず大好き。芳忠さん、わたしの憧れ。
当時は学生でもあったので、寝る間を惜しんでレッスン…ではなく、夜な夜な目をバキバキにしながら東方projectという弾幕シューティングゲームをプレイしていた。今もサントラを聞くと血湧き肉躍る。多分あの頃、ゲームというより旅(トリップ)がしたい感覚でプレイしていた。
最近のゲーム作品はプレイできてないのだけど、もしかするとまだ弾幕を避けられるかもしれない。指先が、目が、呼吸が、覚えている。
あの頃わたしに東方を布教し⑨(マルキュー)と呼んでいた皆さん、お元気ですか。アタイもう同人活動はしてないけど、ひゃくおくちょうまんバッチリです。
⑨のあだ名の由来は、あまりにも有名な東方アレンジボーカルの方と声が似ていると言われていたからなのだけど、最近その方がマクドナルドのwebCMで話題になっていた。本当に嬉しかった。マクドは大変なものを作っていきました。本当に…。
最近、歳のせいか「自分は何が好きだったんだっけ?」と自問することがある。
この2年、住む場所を変え、コロコロと仕事も変え、色んな価値観がインストールされた。
たとえば、最近は仲間内でセクシュアリティの話題をラフに話せたり、国籍やルーツが自分とは異なる友人から「自分の国ではこうだよ〜」と教えてもらう機会があったり、職場でも日常会話で政治の話題(not議論)が出たり。
これは割とZ世代的価値観らしく、自分より若い子とそういう会話を交わす機会が多い。不思議と強い思想は感じないので心地がいい。
いわゆる“オタク”であることに対しても随分とそのスタンスが変わった気がする。これはちょっと話のベクトルが違うかもしれないけど…
センシティブな話題をもっとオープンにしようぜ!ということでは一切なく、好きで自分を語れよ!ってやつともちょっと違って、なんというか「自分の想いや好きなことを相手に共有する」って、それ自体がスキルだなぁと改めて思った。
日常の会話でも、作品作りでも、こう言ったソーシャルメディアへの投稿でもそうなんだけど、このスキルがある人は魅力的だなぁと思う。
何者かになりたかった頃、“好き”は【刻み込む】ものだと思っていた。これがわたしです!と身を切りながら主張しないと立っていられなかった。
最近は少し変わってきていて、【編み込む】ようなイメージ。ラプンツェルの髪の毛みたいに、自分から伸びたものに少しずつ編み込む。時々お花を飾る。リボンを巻いてもいいかもね。
この髪はきっとわたしを守ってくれるし、外の世界に飛び出すきっかけにもなる。
別に切っちゃってもいい。わたし自身は変わらない。
それにきっとまた伸びてくる。そういう素敵なお守り。
とりあえずトリプル肉厚ビーフ食べよ。
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