伝える力【読書まとめ】
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概要
著者:池上彰
「伝えるプロ」である池上彰さんの著書
社会人にとって基本的かつ重要なマインドセットやスキルを記述
「コミュニケーション」における原則やルール
どんな職種においても「コミュニケーション」は必要不可欠
実際に伝える内容を自分のものにすること
(これが意外と難しい)
想定読者
ビジネスパーソン
仕事上のコミュニケーションやプレゼンテーションスキルを向上させたい人
文章力向上を目指す人
論理的でわかりやすい文章を書きたい、表現力を高めたい人
プレゼンテーションに悩む人
プレゼン時の「へぇー」の反応を増やしたいスピーカーやプレゼンター
メールやビジネス文書の作成者
メールや報告書を効果的に書く方法を学びたい人
行動指針
本を積極的に読む習慣を身につける
年間300~500冊の本を読み、ビジネスに役立つ知識や表現力を向上させる
話し方のスキルを向上させる
落語や他の話し手の技法を聞きながら、コミュニケーション能力を高め、良い聞き手になる
スケジュール管理を徹底的に行う
自己企画とスケジュール管理を通じて、ビジネスやプライベートの計画を効果的に進める
期待できる成果
コミュニケーション能力向上
他者との円滑なコミュニケーションやプレゼンテーションが向上し、相手に影響を与える力を養う
文章力・表現力の向上
論理的でわかりやすい文章を書けるようになり、効果的なビジネス文書を作成できる
スケジュール管理スキルの向上
自分で企画し主導するスタイルでスケジュールを管理し、ビジネスやプライベートを計画的に遂行することができる
内容
第1章 「伝える力」を培う
伝える力を培うための基本理解
「日銀」とは何か
教科書通りの説明は簡単だが、子供への説明は難しい。
大人の常識が通用しない状況に対処する難しさ。
深く理解しないと、わかりやすく説明できない。
伝える力の要点
「伝える力」を養うためには、自分が知らないことを知り、謙虚になることが必要。
コミュニケーション能力向上のために重要なステップ。
成長とプライド
プライドが高い人は修正や見直しを嫌う傾向があり、成長が制約される。
聞くことの重要性。一時の恥を恐れずに質問する姿勢が大切。
報告書作成の意識とプロセス
報告書作成における大切なポイント
「何を取り、何を捨てるか」を意識することが肝要。
一人で進めるのは難しく、周囲の人からの意見を取り入れるべき。
聞き手としてのスキル
井ノ原さんと国分さんの成功の秘密
井ノ原さんと国分さんが「よい聞き手」であることが人気の理由。
相手の反応と伝える力
話し相手の「へぇー」という反応が「伝える力」のバロメーター。
これを増やすことが重要で、プレゼンの改善に活かせる。
第2章 相手を惹きつける
映画007の”つかみ”の工夫
序盤のアクションシーン
視聴者に堅苦しさを与えず、興味を引く工夫。
Mによる任務通達
社会情勢や背景を交えつつ、堅苦しさを回避するアプローチ。
「つかみ」の例
「景気が回復したのは小泉内閣のおかげです。 — 」
「元次期大統領のゴアです(自虐)」
ストーリーの”つかみ”の効果
時系列 vs. 事件風の書き方
小学生が時系列で書くことが一般的だが、読者の好奇心を掻き立てるためには”事件風”が有効。
「この後どうなるの?」という好奇心を引き起こすアプローチ。
型を崩す工夫とマナーのバランス
笑いや興味を引くためには「型を崩す」ことも重要。
しかし、「型を崩すのは型があってこそ」を意識し、マナーを優先して考える。
例:結婚式のスピーチでは新郎をいじることは許容されるが、新婦をけなすことはタブー
時間制約における効果的な伝え方
10秒、30秒、15分の使い分け
10秒では要点を効果的に伝える。
30秒では起承転結やオチのあるストーリーを展開。
15分までの長さでは1テーマに絞り、深堀りして話すことが効果的。
会議でのコミュニケーションのポイント
目を見ながら話す重要性
一人一人の目を見ながら話すことが大切。
順序とキーマンへのアプローチ
順序を意識し、キーマンから順に目を見ながら語りかけるスタイルが効果的。
プレゼン内容を「自分のもの」にする
プレゼンする行為は企画段階から始まり、内容を「自分のもの」にすることが重要。
第3章 円滑にコミュニケーションする
言葉選びと愛情の重要性
失礼なことや悪いことを言っても好感を持たれる理由
言葉には「愛情」が込められているから。
有名人であることのプラス面とマイナス面
成功して好かれる人もいれば、成功して嫌われる人もいる。
日本の嫉妬社会と感情の理解
日本の嫉妬社会の側面
「理屈ではない感情」が存在し、理不尽な状況もある。
成功していなくても嫉妬を避けるためには謝罪のスキルが必要。
謙虚さと本音を交えたコミュニケーション
建前だけの話と親近感
建前だけの話は親近感が持てないが、本音を交えつつカジュアルな雰囲気を作る必要がある。
自らの功績を適度に口に出さないことの利点。
悪口や叱責のバランス
悪口の表現とレベルの留め方
面と向かって言えるレベルで悪口を控える。
二面性があると信頼性が下がるため注意が必要。
叱責の方法とタイミング
チーム全体への叱責は最上位の責任者に限定することが原則。
叱る際は「一対一」が基本。良い点を先に伝えることで叱責が和らぐ。
褒めるときと苦情を伝えるときのポイント
褒めるときの場面と方法
褒める際は「みんなの前で」行うことが有効。
苦情を伝えるときの注意点
クレーマーだと思われないように、「自分が何者であるか名乗る」ことと「具体的な対処を依頼すること」が重要。
第4章 ビジネス文書を書く
トレーニングの方法
フォーマットの重要性
フォーマットが決まっていることは手順が決まっているということ。
現地調査では5W1Hを意識し、「素材」を集めることで十分な報告書が作成できる。
文章の優れたスキル向上
文章の模写の重要性
優れた文章を書き写すことはデザインやチュートリアルのトレースと同様に重要。
文書だけでなく、デザインにおいてもチュートリアルのトレースが効果的。
報告と提案の論理学的アプローチ
演繹法と帰納法の違い
演繹法
「××だから、○○である」という論理を数珠つなぎにしていく方法。
帰納法
多くの観察事項から類似点をまとめ上げ、結論を引き出す方法。
ビジネスパーソンの選択
基本的には帰納法を使った報告が一般的。
「緩やかな演繹法」が時間短縮に効果的。
緩やかな演繹法の有効性
緩やかな演繹法の手順
下調べで大まかな結論(仮説)を作成。
調査や研究を開始し、結果が予想通りであればそのまま結論へ。
予想と違えば結論を修正。
素早い結果の出し方
ベースとなる考えと実際の結果の違いを理解し、適切に修正。
報告書の工夫と注意点
五感や雑感の取り入れ
報告書には2,3箇所に「五感や雑感」をさり気なく入れ、臨場感を出す。
コピペの避け方
他人の書いたものをコピペせず、つっこんだ調査を行い、「中身のない文章」にならないように注意。
第5章 文章力をアップさせる
文書の誤りと未熟さへの対処法
独りよがりを避けるクセの形成
「もう一人の自分」をイメージして”一人ツッコミ”を行い、独りよがりの伝え方を避ける。
クリティカル・シンキングの要素を取り入れたアプローチ。
メール送信前のプリントアウトと読み返し
メール送信前にプリントアウトして読み返すことで、誤字脱字や不明瞭な表現に気づく。
原稿の寝かせてからの見直し
スケジュールに余裕を持ち、「1週間前にラフ→2日前に完成、見直し」といった寝かせてからの見直しを行う。
文章の音読
労力を要するが、効果的な方法として文章の音読を行う。表現の不自然さや論理の繋がりに気づく。
上司や先輩へのフィードバックの取得
上司や先輩に文書を読んでもらい、反応を見ながら調査結果や報告書の内容を整理する。
調査に行った際は報告書作成前にコミュニケーションを通じてフィードバックを受ける。
別の形式での文章力向上
ブログや新聞コラムの執筆
ブログや新聞コラムの執筆を通じて文章力をアップさせる。
ブログでは他社からの刺激を得られ、新聞コラムでは要約や拡張を通じて様々なスタイルに挑戦可能。
ツイッターを活用した鍛錬
現代ではツイッターも有効な文章力向上の手段となり得る。短文での表現力を鍛えることが可能。
第6章 わかりやすく伝える
用語の使い分けと注意点
カタカナ用語や業界用語の使い方
カタカナ用語や業界用語、専門用語の使用は話す対象や状況に応じて変えるべき。
これらの用語は相手が理解できるかどうか確認し、社外の人には注意して使用。
抽象的な表現のデメリット
「~性」「~的」、漢語表現や四字熟語なども適切に使わないと抽象的な表現になりがち。
使用する場合は具体的な補足やツッコミを加えて説明を進める。
わかりやすい表現の基本原則
伝えることの基本原則
※以下引用参照
主語の変更と印象の変化
主語を変えることで印象が変わる。相手に判断してもらいたい場合は相手の立場になり、「判断後の利点、欠点」を伝える。
パワーポイントと図解の効果的な利用
目的と効果的な利用
近年ではパワーポイント作成が目的になりがち。
図解の利点は理解やアイデア発想、相手への伝達がしやすい点があるが、時間をかけすぎずに使いこなす。
図解の注意点
図解を用いる場合は「矢印の使い分け(グルーピング)」や「文字は最小限」を心掛ける。
第7章 この言葉・表現は使わない
接続詞の使い方の注意点
「そして」「それから」の回避
文章の論理や時間経過が明確な場合、冗長さを避けるために「そして」「それから」の使用は不要。
順接の「が」の避け方
順接の「が」は前後で意味が異なる文を結ぶため、曖昧な表現になりがち。逆説の「が」は許容。
「ところで」「さて」の使いどころ
「ところで」「さて」は話の道筋を追うのを難しくし、コミュニケーションを深めにくい。特定の話題の終了後に使用する。
「いずれにしても」の回避
絶対に使ってはいけない表現。「いずれにしても」の使用は論理展開を混乱させる。
メールの絵文字の問題点
メールの絵文字の回避
絵文字の使用は文章力や思考力の鍛錬を逃れ、表現力を制限する結果となる。冷静かつ明確な表現が求められる。
表現の工夫と意識の向けどころ
言葉の工夫とコミュニケーションの質向上
上記の表現回避を意識することで、より明確で深いコミュニケーションを築くための手助けになる。
第8章 上質のインプットをする
本を読むことの重要性
アウトプットにはインプットが必須
多くの作家は幼い頃から本を読み、年間300~500冊もの本を消化する。本からイメージを膨らませる手法を学ぶことが重要。
小説の読書をおすすめ
小説はイメージを膨らませ、惹きつけられた理由を考える上で有益。ビジネス小説も含め、自分の状況に近いものを読んで人間性と語彙の幅を広げる。
話し方の学び手段としての落語
話し方の学習に落語を活用
落語を聞くことで「間をとる、タメを作る」といった話し方を学ぶのに効果的。豊かな表現力を養う手助けとなる。
スケジュール管理とビジネス戦略
自己企画とスケジュール管理の重要性
事件発生に頼らないスタイルでは、自分で企画して動くことが鍵。スケジュール管理はビジネスを左右し、日本の祝日や記念日を活かした年間予定の構築が前もっての準備に繋がる。
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