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日記

職場の送別会でいただいた花束がかわいくって嬉しくって、アイコンにした。7235です。読みかたは自由です、と言いつつ漢字の名前での活動をそろそろはじめるので読みかたが生まれてしまう。数字のはマークというかサインというか、略称になっていくのだろう(と書いた数日後、俳句の結社誌が届いて漢字の名前での活動がはじまっていた)。いただいた花束は、いまはドライフラワーにしようとして干しているところ。うまくいったらハーバリウムにして、つぎに引っ越すときにも持っていけるようにしたい。わたしはほんとうに職場からいなくなるのだという実感がつよくなっていく。大学の後輩たちが仕事を辞めたがっていたり、職場にうまの合わないひとがいて困っていたりするなかで、さして嫌なおもいもしなかった仕事をわたしはどうして辞めるのだろうとじぶんでも不思議で、退職のことを他人事のようにも感じている。それでも後任の派遣社員のかたはやってくるし、パソコンの基本の操作方法も交えつつ仕事のやりかたを教えている。ご近所さんだというそのひとは、わたしと夫がこの町で暮らしはじめるずっと前からこの町で生きていて、いろいろなお店の美味しいものを教えてくれる。精肉店のコロッケ。パン屋さんのマドレーヌ。交差点のところにある洋食屋さん。わたしが書く人間ゆえに、小説家みたいな、あるいは物語の登場人物みたいなそのひとの美しい名前を見るたびに、この名前をいつか使ってみたいなとおもう。わるい癖だな。
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「聞いてよう」
「なんでしょう?」
「こないだガチャガチャで出たカビゴンさんなんですけどね」
「はい」
「まあ、からだがでかいじゃないですか、カビゴンさんって。ストラップの紐がね、通らないんすよ。どこにもつけられないんすよ」
「まじか、不良品やん」
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バファリンが効きすぎる、とおもった。風邪ではなかったのだけどあたまもからだもだるくて、仕事を休んでもいいくらいの不調だとおもいつつ、けれど派遣さんを職場にひとりで置いておくわけにもいかないのでバファリンとデカビタで体調不良をごまかして出社した。お昼になっても体調がまずければ早退しよう、という考えを無駄にして、どんどん元気になっていく。元気になりすぎる。薬を飲んで楽になる、生き/息させられているなんて感覚、麻薬となんら変わらないのではとおもう。バファリンは極力飲まないと決める。などと決心した矢先に、という接続は変なのだけれど、上司がインフルエンザにかかって年内のあいだお休みされることになった。もう二度と会わないかもしれない。
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祈る手のかたちでつつむオロナミンC湯船までかへる力を
じゃがいもが緑になつてしまふことわたし憶えておくから 行かう
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フェイスブックの、知り合いかも、に表示される名前の一覧を眺めて、ほんとうに知っているひとの名前を選ぶ。仕事を順調にこなしていたり、どこかへ遊びにでかけていたり、だれかと結婚していたりする、そのひとたちの未来を眺めてみる。そして、わたしがゼミの課題で原稿用紙三十枚の小説を一夜漬けで書いていた二〇一三年の夏、中学と高校がおなじだったおとこのこには子どもがいて、ようやくすきなひとと結婚できることになり、こうやって歳食っていくんやなと実感した、おなじ年齢の人間がおなじ人生を歩まない、義務教育と義務教育のように通う機関から切り離された自由さが愛おしくって、なんだかぐっときたのだった。同時に、わたしはいまだに歳をとっていく、というか、大人になっていっている感覚がうすい。『君と僕。』という漫画で、いつから大人になるのか・いまでもまだ子どもだよというやりとりがあったことをおもう。
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https://note.com/harecono/n/na4f7381d0723
評を書いていただいた。ありがとうございます。
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と、ここまで書いたのが12月26日で、きょうが12月28日。最終出社日を終えた。仕事納めということばが似合わないくらいに仕事は納まっていないし、そもそもわたしがいた会社はきょうの棚卸をもって仕事納めなのですこしだけずる休みをしている気分だ。どこかのお店で、男のひとたちが揉みあい、そこに害虫が現れて駆除しようと太った男が棍棒を振りまわしているうちに痩せた男に害虫がまとわりつく、そして害虫を追う棍棒が痩せた男のあたまに食いこみ、倒れ、血が流れ、一度起きあがろうとするけるど息絶える、その瞬間をみて夢からさめた。人間関係の変化が、とか、わたしの嫌なところが現れている、とか、夢占いのサイトで確認したあとになって、これはガルシア=マルケスの『予告された殺人の記録』を読んでいるせいなのではないかとおもえてきた。ことしの読書、ことしのうちに。つづきを読むことにする。
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使いものにならないカビゴンのストラップはどうしようもなくて(それもふたつもある)、結婚指輪のケースに入れておくことにした。いつも開けっぱなしにしているケースに、外出を終えるとはずしてしまう結婚指輪を、二匹のカビゴンが見守っている。

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