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シメージ:ある夏の印象

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ぶきような作品集。毎月15日・25日に更新します。 ※『nice meeting you』冊子版の購入特典と同内容です。冊子版をご購入されたかたは下記URLにお進みいただき、冊…
シメージとはなにか、わたしにもわかりません。わからないけれども書かないといけないようなもののような…
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022-フェルマータ

花筏 言葉は意味を為してゆく私道にずつとある水溜まり 死ななくていい日の口に放りこむパチ…

021-悲しくなるまえに

目をとじたまま歩くみたいに不安で不安定で躰をぐらつかせる昏い性器のなかを通って産まれてき…

020-楽園に境界はない

 どこかでD.S.に引っかかってセーニョに連れ戻されるみたいに二〇二〇年の夏と二〇二一年の夏…

015-summer reflection

絡まらない髪を梳かした指の、爪の、白いところ1mmに来た夏が愚かしく静かで見ていられず――…

014-この星の丸みに立っていれば

 もう一度出会えたら抱きしめたいと恋焦がれるような熱い感情ではなく、けれどただすれ違うだ…

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013-凪の鱗(7)

 電車は空席が多いようにみえて窓がわの席がすべて埋まっているから満席で、安曇とわたしはド…

012-凪の鱗(6)

「もう、あんただけになったよ」 「なにが?」 「寝た女」

011-凪の鱗(5)

 黒ずくめの安曇と向かいあって座り、紙をラミネートして左上をリングで留めているだけの簡易…

010-溺愛.txt

声を殺して泣くあなたを抱きしめる躰が欲しいなんて祈る日がきて、皮膚も、体温も、愛を示すも…

009-越冬の儀式

 二月二十二日はとても暖かくて、お昼休憩に外で読書をしようと日向に出たら陽射しがきつすぎ…

008-凪の鱗(4)

 瞼がぱっとひらいて、目がさめたのだ、と気がついた。常夜灯の、なにも明らかにしない夕陽に…

007-きみのたましい.txt

木々は腐るための果実をぶらさげて、だから淋しいという字は濡れている。

006-凪の鱗(3)

 入ったときとおなじようにアルコールを噴霧されてから安曇と食堂を出る。身を守るためのあの…

005-退屈だった/昇進

退屈だった  天井を睨んでいた。真夏の昼、部屋の電気は消えていて、天井はうっすらと影のかかった白色をしていた。これから起こることの経過はまだわからないながら、結論だけはわかっていた。ふと再生ボタンが押されたコンポから〈退屈は遊びさ思いを重ねておけよ/ほら コインランドリーの様〉とうたっているのが聞こえてきた。後日検索をかけてみてOGRE YOU ASSHOLEの「コインランドリー」という曲だと知り、友人にその話をしたらオグレを汚すなと怒られた。