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ひとつ春の話題でも

 桜の花の時期にいつもふしぎにおもうのは人々のはしゃぎようである。
 春という季節をどこか苦手とする私としては、桜の花というのにもそれほど心惹かれない。梅の花のほうがすきだ。
 まあ、私の好みはおいておくとして、それにしてもみんな桜の花には陶酔といっていいほどである。
 桜のふしぎさは、ふだんまったく意識されていないところにもある。遠くから山を眺めたとき、それは果てしなく緑色のもこもこで、なかに桜の木があったってわからない。でも花が咲くと、遠くからでもどれが桜の木なのかが一目瞭然となる。
 遠くからでなくても、ふだんの景色の中に桜の木があることに誰も意識を払ってはいない(ようにみえる)。でも花が咲くと、とたんに人が集まって、写真を撮ったり、宴会をするということになる。桜の木はいつだってそこにあるのに、とおもう。

 もうことしの桜の花も散り出して数日が経つ。

 通っていた小学校が校舎老朽化に伴う建て替えをするらしく、思い出づくり企画などといって解体前に校舎を解放するというしらせが届いた。小学校には何の思い入れもない(記憶がない)ため、もちろんどうでもいい。
 ところで桜というので思い出したけれど、そういえばこの小学校の徽章には桜が描かれていた。中学校は「西」の文字、高校では鶴が描かれた徽章だった。どれもあまり好きになれないデザインなのが残念である。

 桜餅というお菓子が東西で違うというのは知っているけれど、東のそれは食べたことがない。ここは九州でも西の果てだしね。塩漬けされた桜の葉がしょっぱくておいしいお菓子だ。
 きのう近所の和菓子屋に行って買い求めようかとも考えたけれど、たくさん買うわけではないためやめておいた。どうも餅饅頭のたぐいをひとつふたつというのは買いづらい。スーパーマーケットのものは買う(食べる)気がしないし。

 今朝は藤の花が咲きかけているのを見た。
 季節がうつっていく。

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