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歌は2つの世界をもつことができ、一つは歌詞の中で、もう一つはMusic Videoの中で

歌以上に惹きつけられるMVというものがこの世には存在します。

今日もよく聴く曲について。

第二弾 Halsey "Colours"

記憶が曖昧なのだけど、確か去年の4月、5月あたりに見つけたと思う。

私はよく、寝る前にお気に入りの音楽を一通り聴きながら寝るという習慣じみたものがあった。部屋の電気は消し、机のスタンドをつけて部屋をぼんやり明るくさせてから、つられてぼんやり曲を聴くのだ。
そんな中でこの"Colours"を聴くのは、なかなか雰囲気があった。

曲そのものも好きだったが、ある日この曲のMVを観て以来、さらに好きになった。

-----以下MVのネタバレを含む-----

この曲には4人の登場人物が出てくる。
Halsey扮するヒロインの女の子、女の子のお母さん、そして女の子の同級生である男の子、男の子のお父さん。

MVはテニスコート場から始まる。
1対1でボールを打ち交わす父子をそれぞれ意味ありげに眺める母子。
どうやら親の方もお互い知り合いらしく、練習を終えた父子をハグで迎える。そして何やら男の子の父に頼みごとをする女の子の母。男の子の父は困ったようにするが、「お願い!」と上目遣いをする女の子の母に折れ、承諾をする。

このような流れで物語は始まる。この次の場面でその頼みごとがディナーのお誘いであったことが判明するが、それはさておき。

ここで人間関係をみると、男の子は女の子に好意を寄せている。どうやら母も父に「娘の同級生の保護者」以上の何かを抱いているようだ。父の想いはおそらくこのMVだけでは誰にも分からない。それでは、主人公の女の子の想いはどうなのだろう?

ずばり、女の子は男の子ではなく、男の子の父に想いを寄せていた。

女の子はポラロイド写真を撮ることが好きである描写がMVの中で幾度となくされる。そのポラロイド写真に映るものが何か、女の子以外は知らなかった。

しかしあるとき女の子が学校で自分の鞄を落とし、ポラロイド写真を床にぶちまけてしまったことで、男の子はその「何か」を知ることになる。

それは彼自身の父親だった。

男の子は怒りをその場で露わにする。
女の子は呆然とする。

そこで初めて女の子の世界が映し出される。彼女が見えていたのは男の子ではなく、その男の子の父だった。

流れとしてはその女の子は男の子に好意を抱いていてもおかしくなかったし、私も最初はそうだろうと思った。
だからこそMVでこのような物語が展開されるとは思ってもいなかった。
それ以来、この"Colours"が少し違った見え方になってきた。

メイキングでHalseyはこのように話している。

彼は私のことがとても大好きなんだけど、私は彼ではなく、彼の父親だけを見てるの。私が愛しているのは彼じゃなくて、彼の父親なの。

切なさの極みである。

あまりMVをこまめに観ることはないのだけど、こういう楽しみもありなんだなと思った夏の少し手前の夜。

この曲自体、いろんなremixがあって、とても聴きごたえがあるのでぜひオリジナル以外のものも聴いてみてほしい。

reinakb

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