見出し画像

マンガ「忘却の首(しるし)と姫」感想文:早逝の作家と惜しまれる才能

画像1

このマンガを手にしたのは、少女マンガっぽくない単語が羅列されていたからと記憶しています。「忘却」「首(しるし)」と姫…一体どんな内容なのか?とタイトルから内容を推測できず、何に出会うのかとビクビクしながら読み進めました。

結論は、とても少女マンガらしいファンタジー作品でした。

小国のお姫様が大国の王様(首がない)と政略結婚をする所から話が始まりますが、雰囲気も爽やかで、なにより両片思いで話が進んでいく様子が面白いです。

主人公のリリアが、王様のために頑張っても王様は魔法と自身の能力でそれ以上の事をできてしまうので、この場所で何をしたらいいのかと悩んだり、大国の王妃に相応しくなろうと努力して上手くいかず落ち込んだり、という様子が見ていて一緒に辛くなるというよりは微笑ましく、応援してあげたくなります。それ以外のエピソードも魅力的です。

というのも、2巻で作者が、主人公リリアの事を王様目線で描いていると告白しており、故にリリアと王様の掛け合いは微笑ましく眺める事ができます。

そしてそれだけでは終わらないのがこの作品の魅力です。リリアの出身国であるトリティアは弱小国であるが故の辛酸をなめており、王族も例外ではなかったため、その中で築き上げられてきた彼女の人生観が作品の中で良い味を出しています。

強い魔力を持つ王様が治める国で、妖精の部下たちと過ごす日常、訪れる危機、などなど…作者の描きたい!が表現されています。

最後に、この作品と出会ったとき思ったのが、作者の惣司ろうさんは、作品を重ねるたびにきっと良いものを描いてくれるだろうという事です。

作者が亡くなり時間が経つにつれ、闘病中に描いたであろうエピソードなどが本当に胸に迫るものを感じさせてくれます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が参加している募集

#マンガ感想文

20,045件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?