朝俳句ひと月ぶん -2022.04

04/01 虫出しの雷に転がるしゃれこうべ
04/02 桜東風わたしにかつてあった灘
04/03 芯にいる小さな子ども春日影
04/04 沈黙の得手であるほど春眠し
04/05 薄葉紙をめくって清明が来る
04/06 鳥風のせいで(おまえを)殺せない
04/07 第三の目を閉じて見る花筏
04/08 忘れ霜その後のことを知りたくない
04/09 山桜焼き尽くされるネガフィルム
04/10 花過ぎや戦争は善も悪も生む
04/11 花苺できないはずの未来予知
04/12 われわれの天使は死んで春の汗
04/13 ノブレス・オブリージュの揺らぐ抱卵期
04/14 死ぬために生きてはいないのに海市
04/15 光風や街へ住むには影が要る
04/16 無自覚の欲望を見よ蝮草
04/17 数珠子らもparts per quadrillionの奇跡
04/18 小町忌に天が傾くのに気づく
04/19 僕が死に苗代水に映る僕
04/20 指揮棒の軌道のとおり来る穀雨
04/21 蘆若葉がバタフライエフェクトだった頃
04/22 前世でも死なせたかった落し角
04/23 競漕の過ぎて波紋となるばかり
04/24 無知を罪とは思わない上り鮎
04/25 白藤やおまえの骨は拾えない
04/26 採ってなお足りないような蜆採
04/27 太陽が好き、と花菜は揺れるだけ
04/28 沈黙の三点リーダになる雛菊
04/29 小手毬の花よ世帯は都市の単位
04/30 欲望の温度で生きて弥生尽

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