朝俳句 -2022.06

06/01 甘藍の層にうまれるアルペジオ
06/02 健康は金では買えぬ泥鰌汁
06/03 落し文を開けば弾け飛ぶ涙
06/04 野茨の絡まる脚と死の舞踏
06/05 麦の穂が揺れて   仕方がなかったんだ
06/06 虚偽のツイートもはびこっていく芒種
06/07 いつまでも梅雨めく国で躍るがわ
06/08 純潔を問いつつ咲いている十薬
06/09 その口へ蜈蚣が這えばいいものを
06/10 落丁本として佇む皐月かな
06/11 幸福が指をすり抜け梅雨出水
06/12 蛍火が照らすplayとprayの差
06/13 生命が満ちる植田に映り込めない
06/14 とうすみが切り限りなく薄い空
06/15 苔の花ひとつひとつが全音符
06/16 かんばせを浜昼顔として描く
06/17 竹移すあなたにもあなたの地獄
06/18 恋を(する・しない・わからない)桑苺
06/19 太宰忌も睫毛の一本ずつに影
06/20 ごまかした痛みの上の濁り鮒
06/21 夏至で振る手をまた次の夏至で振る
06/22 やまももが怒りの色で君に生る
06/23 ハンカチのサイズで失った記憶
06/24 ためいきの螺旋の果ての梅雨茸
06/25 囮鮎命にもある不平等
06/26 子蟷螂この世に同じ顔は三人
06/27 頷かせてばかりでごめん金魚草
06/28 感情をして挿菊がうらやましい
06/29 どちらかといえばボートの底でした
06/30 それからは切子のひかりだけがきれい

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