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USCMA 合格体験記 Part2試験

USCMA Part2 試験について記載しました。勉強期間は6か月で、2回目で合格しました。Part1に比べてより難易度は高いと感じました。しかしファイナンスとして知っておくべき知識が広がり、とてもタメになる内容でした。


0. Part2の全体感について

Part1に比べ、難易度が高いと感じた理由は3つありました:
 ・暗記するべき計算式が多い
  Financial Ratioに始まり、丸暗記を要する計算式が多い。
  定期的に何度も復習しなおす必要ありました。

    ・計算問題が多い
       計算問題が多い為、試験時間がPart1よりも非常にタイトに感じました。
  クセのある特殊な電卓を使う必要があり、慣れが必要になりました。
 
 ・馴染みのない内容が多い
       特にCorporate Financeは何を言っているのか、日本語でも理解不能な
  内容でしたので、落とし込むまでに非常に時間が掛かりました。

難しさを感じる反面、ファイナンスとして知っておくべき新しい知識が増えたのは良かったです。

為替、株式、リスクマネジメント、投資の検証など新しい知識は、いろいろありましたが、特にProfessional Ethicsはファイナンスビジネスパーソンが共通して持つべきものですのでタメになりました(個人的に一番面白かった)。

1. Financial Statement Analysis

ここは"レシオの世界"です。深く考えず丸暗記が良いです。最初の方に学ぶレシオは簿記に出てくる流動比率みたいなものですので、あ、これは簡単簡単♪知ってる知ってる♪と余裕をかませますが、株式に関するレシオに入ると顔が青ざめました。とても覚えきれない・・・。ただファイナンスを名乗る以上は、知っておくべき基礎的な情報ですので渋々暗記を開始しました。

大変だったのは、問題を解き、一度覚えたと自信をもっても1週間たつと、計算式を忘れたことです。例えば、分母と分子の位置を逆にしていたり、思い出そうとして頭が真っ白になるなどなど。この対策としては何度も何度も復習を繰り返すというよりは、試験直前になったら叩き込むという短期決戦にしました。叩き込み方はノートに、ペンで、書くです。何度も何度も書いてください。というかレシオは一覧にした表を試験中にくれればいいのに・・。

また、これはレシオではありませんが、Reporting Currencyに関する部分はPart2の中で最も概念を理解するのに苦労しました。基本的な流れは分かっても通貨換算におけるDirect method/Indirect method、Remesurement/Translateあたりの考えはテキストや講義の説明がわりと軽いので、頭の整理が大変です。その割に問題はしっかり出てくるので、本当に怖かったです。

よかったのは、株式に関する基礎情報を学べたことです。EPSとか知ったかぶりしてたけど、初めて計算式を知りました(マテ)。

2. Corporate Finance

ここは"ザ・ファイナンスの世界です"。Part2の中で最も事前知識がなかったためインプットに時間を要しましたし、モチベーションも上がりませんでした。前半では、株式の評価やリスクの話がありますが、ここが特に馴染みがなく、イチから覚える羽目になりました(デリバティブって何?的な感じ)。中盤ではWorking CapitalなどBalance Sheet関係の軽いお話になりますので、ひとやすみ。気持ちが楽になりました。ただ後半にやはりファイナンス系の話に戻されますので、結局サンドイッチにされ全体的にとても疲れます。

大変だったのは、馴染みがないので覚える領域が多かったというものです。

よかったのは、Working Capital Managementは非常に実務に実践的に使えるので勉強できてよかったということです。ただ試験問題としては割と時間を取られる領域なので、ほぼ全て飛ばしました。試験対策というよりは実務に使えるので良かったというところです。

3. Decision Analysis

ここは"分岐点の世界です"。損益分岐点の計算=CVP分析が主な領域になりますが、これは計算式を覚えて問題を解くというだけなので、問題がパターン化してとてもスムーズに理解ができました。

ただ後半に経済学で学ぶような需要と供給曲線の話が出てくるので、ここは馴染みがないとイメージをつかむのに時間が掛かるかもしれません。わたしは右手を需要曲線、左手を供給曲線に見立てて、手を動かして覚えていたのですが、試験会場でウルトラマンみたいに手を何度も交差してシミュレーションしていましたので奇怪に見られたと思います(え、でも皆さんもそうしてますよね?)。なぜこんな覚え方をしてしまったのか・・相当頭の悪さがでていますが、自分では可愛らしいと思っていますし、なにより確実に答えを導き出せます。

大変だったのは需要・供給曲線の話は相関関係を覚えないと問題を解けないというものです。相関関係というのは例えば原材料の価格が下がったら供給が容易になるとか、そういうやつです。また、CVP分析に製品Mixが入ると計算がより面倒になりますので、時間がとっても掛かります。

よかったのは、概念が理解しやすかったことです。

4. Enterprise Risk Management

ここは"リスクの世界です"。そのまま。聞いたことがある内容ばかりなので、とっつきやすい領域かと思いますし、Part2の中ではとくに語る内容も多くありません。しかしここに油断し私はPart2試験を一度落としました。

落ちた原因は、ひとつひとつのリスクを言葉として知っているだけで良いだろうと軽んじていたことが原因です。問題ではそれぞれのリスクの違いや関係性を理解していないと分からない、応用的な問題が出てきますので、ここで全滅しました。簡単だから軽くでいいや、というのは避けた方がよくて、問題はたくさん解いた方がよいです。

大変だったのはERM Frameworkの手順に関しての暗記です。それぞれの手順について具体的にどういう事例があるかという事を学びますが、ここが何とも分かりにくいので語呂合わせ&丸暗記が必要になります。

よかったのは、ろくに勉強しないと落ちるというリスクを身をもって理解できた事です。(かなしみ)

5. Investment Decisions

ここは"判断の世界です"。ここで割引計算ができる電卓を使う必要が出てきます。必須ではないですが、あったほうが早いでしょう。イメージ例えば、いまこれだけお金を払ってプロジェクトを開始したら、何年でお金が戻ってくるかとか、もしくはこれだけお金がプラスになるとか、そういう話なので分かりやすい内容です。

パターン化された計算と、NPV/IRRの違い(Benefit/Limitation)が説明できれば良いので比較的Part2内では覚える内容は少ないです。

難しかったのは、クセのある特殊な電卓の使い方を覚えるというものです。
そもそも電卓がその辺で売っていませんから、アマゾンなりで買う必要があります。私が購入したのは、BAⅡ Plus Texas Instrumentsです。電卓に関する記事は別途作成しますので、そちらをご覧ください。

よかったのは、実務で投資判断をするときにこのアイデアが使えるというものです。

6. Professional Ethics

ようこそ、ここは"倫理の世界です"。そのまま。前述で学んできたものたちとは一線を画した倫理と哲学のお話です。計算もありませんし、暗記というよりは、自分との向き合いになる、最後にふさわしい、締めくくりのセッションになります。ここまでお疲れさまでした。

今まで学んできたことも、このProfessional Ethicsがない限りは無に帰るというくらい大切なありがたい教えになります。

ここまで様々な計算や暗記に疲れてきたので、ここにきてこのトピックは面白みがありました。ただその入り口がいきなり、徳やモラルとはなにか、正義とはなにかみたいな話から始まるので、え?なにやめて、となりますが、少し進むと実践に使える内容が始まります。

それは、IMA Statementに記載されているスタンダードであり、具体的には
Competence、Confidentiality、Integrity、Credibilityです。これを会社で話せるようになれば、向かうところ敵なし。ファイナンスについて語るとき、誰と議論しても勝てる最強の論法を構築できますのでぜひ楽しんで覚えてください。(実際やってみたら、相当相手に嫌われますので頭に入れるだけにしておいてください)。

Part1、Part2を通じて最もうんうんと納得できる内容でした。(私はよっぽど、計算問題が嫌いで、こういうふわっとした話が好きなんだと思いました)。

難しかったのは、徳とかモラルとか正義とかの違いについてですが、そもそも日本語でもそんなの分からないよという、そういう感じでしたから、導入が大変でした。

よかったのは、倫理をはじめてまともに勉強できたことです。

7. Part2を終えて

全体を通じてファイナンスとしての基本を学ぶ事ができました。ファイナンスを名乗る以上、当然知っておくべき内容が網羅されています。また倫理は本当に面白いので、途中疲れたら倫理を先にやってもいいと思います。

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