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出生前診断は受けないことにした話

妊娠5ヶ月、17週目に入った。世間一般でいう安定期に入り、初期の流産の可能性が高かった頃に比べて気持ちの面でも少し落ち着き始めた。

出生前診断とは、赤ちゃんが産まれてくる前に障害がないか事前に検査するためのもので、

母親の血液検査により障害児の生まれてくる可能性を診断する簡易的なものから、

赤ちゃんの超音波検査や羊水を採取して精密に結果を出すことができる確定検査まで、検査方法は幅広くある。

これらの検査は妊娠3~4ヶ月目に受けることが普通なので、ここ最近まで検査を受けるかどうか、正直かなり迷っていた。


検査を受けて、赤ちゃんに障害の可能性がないことがわかればきっと晴れやかな気持ちでこれからの妊娠生活を送ることができる。

一方で、検査の結果障害の可能性が高いことが分かれば、その検査結果をもとに出産に臨むまで心の準備とする場合もあれば障害児を育てられないとの理由で中絶の決断を下す必要が出てくる。

多くの人が、胎児の障害が分かったことで中絶を選択することから出生前診断は障害者差別につながる、とか、命の選別に貢献してるという批判も大きい。

批判する理由は理解できるものの、

もし自分が当事者の障害児の親になってしまったらと思うと、

経済的にも体力的にも負担が大きいことから自分たちには育てられないとの決断を下すことだって、産まれてくる命に対しての責任を理解しているからこその判断なので責められるようなことではないとだと個人的には考えている。


出生前診断を受けないことにしたからといって、障害を持った子供が産まれてきたらと思うと怖くて仕方ないし、受け入れる心の準備ができているとハッキリとは言い切れない。


色々と思うことはあるけれど、私たち夫婦が出生前診断を受けないことにした理由は3つある。

・年齢の問題:

体外受精で妊娠したからといって障害児を妊娠する確率が上がるということはなく、母体の年齢により障害率は上がるものだそうだ。

幸い、29歳という年齢で障害児率は高くない。お医者さんからも、高齢妊娠の方には検査をお勧めするが・・という話をされた。

・費用の問題:

出生前診断は保険適用外である。一番簡易的な、母体の血液検査は2~3万円程度と比較的リーズナブルな値段で受けれるものの障害児が産まれてくる確率のみの診断となっている。(1/1000の確率で障害児が産まれる、1/200の確率で障害児が産まれる等)

お医者さん曰く、0%という数値が出てくることはないので羊水検査のような確定診断を受けないとこの結果ではなんとも言えないそうだ。

そして、確定診断をなると15~30万円程度の自費負担となる。

ただでさえ2年間続いた不妊治療で経済的な余裕はなく、これから産まれてくる子供のための準備費用や出産費用等の出費を考えると簡単に出せる金額ではない。

そんな高額の費用を払ってでも知るべきことなのか。うーん・・・・


・不妊治療の再開をしたくない:

万が一障害が分かった場合、私たち夫婦は中絶を選択することになる可能性が高い。

だが、2年間待ち続けてようやく授かった子を中絶できる覚悟も、そして中絶後に今度は健康な子を授かることに望みを託して不妊治療を再開する気力や経済力もない。

中絶という判断と矛盾しているようだが、

妊娠できなかった期間が長かったからこそ

妊娠が成立すること自体が途方もない奇跡で、お腹の中に来てくれた赤ちゃんの存在は尊い。

私の誕生日の前日に受精卵を移植させたこともあり、お腹の中の子との運命的な繋がりをすでに感じているし、どんな子であってもきっと自分たちのもとに来るべくして来てくれたんだとも思っている。


そんな迷いながらの私の決断を後押ししてくれたのは助産師YoutuberHISAKOさんのこちらのビデオだった。

HISAKOさんは46歳という高齢妊娠でありながら、出生前診断を受けない決断をされた。

とてもエネルギッシュな方なのがビデオからも伝わってくるのだが、HISAKOさんご自身は障害児が産まれた場合、その子を支えていく覚悟はできていないという。


出生前診断をしても難聴など、予め把握できない障害があること。

発達障害のように、子供の成長過程で初めてわかる障害があること。

健康に産まれても交通事故にあったり、大きな病気にかかったり、五体満足で子供が育つことができない可能性があること。


子供を産むということは常にリスクと隣り合わせで、産まれる前に検査をして問題がなかったからといって子供が健康に育つ保証はない。

障害児を受け入れる覚悟なんてできてなくてもその子が産まれてしまったら親としては受け入れるしか選択肢がなくなる。無理だと思っててもなんとかなるかもしれないし、なんとかするはずだ、と。


当たり前だけれど、その言葉にハッとさせられた。


それでも出生前診断で事前に把握することができる障害があることは事実であるし、診断を受けることにした夫婦の意思は尊重されるべき。だと思うが

なにがあるか分からないのが人生であって、

2年間待った末に自分の誕生日前日に来てくれた赤ちゃんがどんな子であっても私は受け入れたい、と思ったのだった。



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