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【2021年5月】コロナ禍出産レポ

5月8日。予定日から4日遅れて娘を出産した。

初産だったからこそ、コロナ以前と比べてどうだったか比較はできないし出産ほど人によって感じ方が異なる体験も滅多にない。

産まれてきた娘のかわいさと慣れない育児に追われすでに記憶が薄れかけてしまっている出産について書き起こしておこうと思う。

4月30~5月4日(予定日5日前〜予定日当日)

初産は遅れがちなんて聞くこともあるけれど同時期に出産予定の友人は私よりも予定日が後なのにも関わらず既に出産を終えていた。

予定日よりも前に産まれる可能性だって充分にあるからこそ毎日いつ陣痛が来るのかソワソワして過ごす。

2日ほど陣痛らしき痛みで早朝に起きるが気づけば寝落ち。

前駆陣痛だった様子。

親しい友人からも「出産頑張って!」やら「そろそろだね!」とLINEが届きその度にありがとう、まだ産まれる気配ないけど〜^^;と返信する。

4月30日の検診で子宮口が全く開いてないと言われ、自然に陣痛が起こらなければ5月10日に誘発分娩で産みましょうとドクターから提案される。

促進剤を使わずに産みたいなと思い体を意識して動かし始める。

予定日ちょうどの5月4日。

前日に焼肉も食べてみたけれど願いも虚しく何も起きない。

夫と二人で予定もやることもなく暇だね〜と言い合い、お腹には「そろそろ出ておいで〜」と話しかける。

5月6日(出産予定日+2日)

陣痛は夜に起きやすいと聞いていたが今日も何もなかった〜とがっかりしながら起床し、窓の結露を吹いていたところ股間から何かが流れてくるような違和感を感じてトイレにダッシュ。

生理のような血が出ていることを確認する。

えーっとこれって「おしるし」だよね?と分かっていながらもテンパりながらネットで検索。

おしるしが出てから出産までは1週間かかる場合もあるが当日〜翌々日の間に産気づく人が多いらしいことを確認。

出産が間近に迫っていそうだということを実感。気持ちが高まる。

5月7~8日(出産前日〜当日)

午前3時 生理痛のような痛みで目が覚める。陣痛カウンターを起動。

痛みの波が10分間隔で来るようになり前駆陣痛じゃなくてこれは本陣痛?!と胸が高鳴る。

陣痛かもしれない、と夫を起こすが午前7時ごろになり痛みが消える。

また前駆陣痛だったか、出産は今日じゃなさそうか・・・とがっかり。

13時 お昼を食べ終えたあたりから陣痛らしき痛みが再開するが陣痛カウント2回程度で痛みがフェードアウト。

15時 陣痛らしき痛みが再来。痛みの感覚が10分〜15分に1回程度で来るようになり、今度こそ陣痛かと身構える。

痛み自体は重い生理痛程度で耐えられる痛みだからこそ本陣痛と呼べるのか私は半信半疑。

夫から本陣痛の間違いでもいいから病院に電話して指示を仰いだほうがいいと説得され電話してみると初産だから陣痛の感覚が5分程度になったらまた連絡してくださいと言われる。

18時 痛みが大きくなってきたもののまだ耐えられる程度。テニスボールの上に座って肛門を圧迫する・夫が腰をマッサージしてくれることでかなり緩和される。

他の人の陣痛体験談に載ってた陣痛緩和テクニックを試すことで自分が今感じているのは陣痛なんだ!と疑いが確信に変わる。

まだ痛みが耐えられるうちにと夫が夕食を作り始め、夫婦で食事。食後は入浴。お風呂の中に浸かっていると陣痛が緩和されるような感覚があった。

20時 5分間隔で陣痛が来るようになったと病院に電話する。病院に来るよう指示があると思いきや5分を完全に切るようになったらまた連絡してくださいと言われ夫婦で驚く。

もしかしたらコロナ影響で看護師の数が足りてないから産まれる直前でないと病院が受け入れしてくれないのか?なんて夫と話す。

もしギリギリまで自宅待機で病院に着くまでに出産となってしまったら・・と怖くなり1時間後には嘘でも5分間隔で陣痛が来ていると病院に伝えよう!と夫と話す。

21時 陣痛が5分間隔を切るようになったことを伝えようやく病院に向かうよう指示を受ける。痛みが大きくなってきて、陣痛時夫が腰をさすってくれないとしんどい。

21時30 病院に到着。NSTを取る。助産師さんが陣痛の波が来る度に腰をさすってくれたがあまり上手でなかった。夫に言うように助産師さんに注文をつけることは躊躇われてしまい、何もないよりはマシだと我慢。

陣痛の影響なのか睡眠不足と疲れからか頭がクラクラしてきて気持ち悪くなり嘔吐。

嘔吐があるってことは出産が近いってことですよーと言われなんとなく励まされる。

22:30ごろようやく医師が診察をしてくれ、子宮口が4cm開いていることが分かり、入院手続きを進める。

入院が決まってほっとはするが、子宮口10cmが全開とするとまだ半分程度の開きであることに失望。

いつ産まれますか?と聞くと明日の朝日が見えるか見えないかくらいの時間かなと言われ、自分の中では4時ごろには産まれる、よし!あと5時間だけ頑張れ自分と励ます。


陣痛にうめく中PCRテストを受けさせられ、ベッドへ案内される。テストの結果は翌日に分かること、そして赤ちゃんが産まれてもPCR陰性の結果が出るまでは会えないことを説明される。

もし自分がコロナに罹患していたら産まれてくる赤ちゃんも陽性なのではと疑問に思いつつも陣痛の中、ただうなづく気力しかない。

もし陽性だった場合は産科からコロナ病棟への移動となるらしい。

陣痛室はナースステーションの近くで4つほどベッドが置いてありカーテンで全て仕切られていた。先客はおらず静かだった。

ベッドまで案内されると助産師さんが去ろうとしていたので、陣痛の波がきた時に腰をさするためにそばにいて欲しいとお願いしたが患者一人につきっきりになることはできないので一人で頑張ってください!何かあればナースコールでお呼びくださいと言われベッドに一人取り残される。

え・・嘘でしょと心細さと痛みから崖から突き落とされたような気持ちになる。

長時間にわたる痛み耐え、疲れもたまり陣痛の合間に仮眠をとろうとするも陣痛間隔が短く一息つくこともできない。
練習していたソフロロジー呼吸も気休めにもならない。
ダンプカーに腰を轢かれる痛みとまではいかないが、痛みから気を逸らすためにはただただ叫び、呻くしかなかった。

大きく呻けば助産師さんが来てマッサージしてくれるのではと淡い期待をするが誰も様子を見に来てくれる気配はない。


夫の立会が可能であればとこの時ほどコロナを恨んだことはない。
陣痛が来たときに腰をさすってくれ、励ましてくれる存在のない時間は肉体的にも精神的にもこたえた。

2時30分ごろ、子宮口がかなり開いてきているのかイキみたい感覚も押し寄せてきており本来であれば子宮口全開となるまでいきんではだめなところ、誰も止める人はいないからとヤケになってイキんだ。

再び吐き気をもよおし、まさに吐くタイミングで助産師さんが来たときに腹部に力を入れると尿漏れのようにドバっと下腹部から水が流れていくのを感じた。
助産師さんに「すみません、漏れました!」と伝えると「それは破水です!」と言われその場で内診され破水の勢いで子宮口が全開になっていることを確認される。

バタバタと助産師さんが他のスタッフを呼びに行きお産の準備に向けて病棟が騒がしくなる。

「分娩室への移動しますよ、歩けますか?」と聞かれ、喜びのあまりにスタスタと歩く様子を見て助産師さんに驚かれる。

3時ごろ 分娩室へ到着。

分娩室には5,6人が待機していて目を開いて!やら手すりを強く握っていきむときは呼吸とめて!など天井から私のお腹あたりまで吊るされたアクリル板越しに出産に挑む私にみんなで檄を飛ばしてくれた。

誰かが応援してくれるということが本当に心強く、私は指示に合わせてイキむことに無我夢中になった。

一人で陣痛に耐え忍ぶ間にマスクは外し、ポケットに入れたままイキんでいたところ助産師さんのうち誰かが「マスクをつけさせて!」と叫ぶ。

私はマスクがポケットに入っていることは知りながらも、アクリル板もあるのにマスクまでこの状況で着用させられるのかと苛立ちを覚えながら黙っていた。

助産師さんたちの手でマスクをつけさせられてすぐ、赤ちゃんの心拍が落ちたとのことで会陰切開すると共にマスクは酸素マスクへと付け替えられた。

そのまま2、3度イキんだところ、にゅるりと大きなものが出ていくのを感じた。

鼻からスイカというよりは1ヶ月分の便を排出したかのような感覚だった。分娩の瞬間は気持ち良さすらあった。

赤ちゃんは素早く臍の緒から切り離されすぐに助産師さんに取り上げられていた。

泣き声がすぐに聞こえず「赤ちゃん大丈夫?」と動揺しているとようやくオギャーという声が聞こえて安堵すると同時にポロポロと涙が溢れた。

赤ちゃんは綺麗にされて助産師さんに抱っこされたままチラリと私に顔を見せてくれた。

最初に出てきた言葉は「ありがとう」と涙だった。

お腹に宿った命が無事に出てきてくれたことが奇跡で、その奇跡が起きたことにただただ感謝したい、そんな気持ちだった。

そのまま赤ちゃんを抱っこしたかったが、PCRの結果が出るまでお預けとされてしまい、新生児室に運ばれた赤ちゃんは助産師さんが私の携帯を持って写真を撮ってきて見せてくれた。

以上が出産レポになる。

分娩後、無事にPCR陰性の結果が出て赤ちゃんを新生児室に見に行くことができた。

入院は4日間、その間の面会は一切NGとのことで夫はかなりヤキモキしながら私と赤ちゃんの帰りを待っていたとのこと。

出産という人生の大イベントを一人で乗り切らなければならなかったこと、分娩中にマスクをつけさせられたこと、産まれたての我が子を抱っこできなかったこと、

出産を振り返って、コロナがなければ・・と悔やまれたことはやっぱり多い。

ただ、そんな経験であっても無事産まれてきてくれた我が子の顔を見ると本当に可愛くて辛かった記憶もどこかに吹っ飛んでしまう気持ちになってしまうのは現金なものだなあと思う。

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