【就活】80社受けて唯一記憶に残る集団面接
九才です、食品メーカーに就職したかったMRです。
中央区新川に本社を構える大手食品会社の面接を受けた。日本人なら誰でも一度は口にしたことのある食用油のメーカーだ。ADHD気味の僕は、遅れたら死ぬ!と思い、面接1時間前には会場に着いていた。受付のスタッフには暇人だと思われたかもしれない。
本日の面接は、面接官1人に対して就活生4人が振り当てられた集団面接。お上りさんとみられる学生はスーツケースを引きずりつつ、ラルフローレンの糊付けされたハンカチで汗を拭いていた。カバディでもできそうな特段大きなフロアに誘導され、両手を広げても触れない距離に並べれらた椅子に座るよう指示を受ける。自分を含めた4人の中から、何人が選ばれるんだろうか。
面接官は、ガクチカ・入社後にやりたいことなどを事細かく全員に聴取した。
集団面接を受けた民はわかると思うが、他人の志望動機を聞くのは憂鬱だ。こんな無駄な時間はないのに、ウンウン頷かなければならばい。サークルの部長をしたと自慢する就活生の多いこと、何万回聞いただろうか。お前らのサークルの所属員は1人だけなのか。退屈な集団面接の間は、面接官のネクタイを品定めする時間にしていた。
この日は違った。就活生の個性がぶっ飛んでいた。
まず一人目、関西から来た理系院生くん。理系君は、ガクチカとしてInstagramを提示した。高校生時代から料理が好きで、料理をしてはそ度にメニューをSNSに投稿していた。ヘルシーなメニューから、アレルギー物質の代替えメニューまで写真付きで細かく投稿されていた。投稿数は1,000を超え、フォロワーは3万人に上るという。勿論この会社の食用油を使ったメニューも掲載されていた。面接官は彼の料理画像を見て、グゥと腹を鳴らした。
コイツは強敵だ、素直にビビった。4人中1人選ばれるなら理系君だろうな、、、と就活生全員が思った。
二人目は、スーツケースより大きな巨体をゆっくりと動かす文系ちゃん。正直バカそうに見えたし、それほどチェックしていなかった。志望動機で「食べるのが大好きです」と述べた彼女は、いきなり大手を広げて立った。「食べることが趣味です。私の身体を見てくれればわかると思います。誰よりもたくさん食べてきました。」それから自分の腹を一度叩いて着席した。あっという間だった。
文系ちゃんはアドリブで動いているようには見えなかった。理系君にビビったわけでもなく、初めからこの奇抜な解答を用意していたようだった。
三人目の記憶は全くない。きっとサークルの部長だったんだろう。理系君に圧倒され、文系ちゃんにたまげた四番目の僕は何を言ったか覚えていない。ただ、僕自身の面接はつまらなかったと思う。3日後、面接通過のメールが来た。誰が落ちたか、落ちていないかはわからない。でも、面接会場の彼らとなら、楽しく働けたんじゃないかなと思う。
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