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夢:清楚系お嬢様女子の華麗な陰謀

遊び友達のグループに誰の紹介かわからない出自不明の清楚系お嬢様女子が混じってきた。

完成度高ぇなぁと隙のない異常さを、遊びを通じて感じつつ親睦を深めた。
いつもの遊びに一区切りがつくと、清楚系お嬢様が屋内で遊べる場所を紹介してくれるという。
清楚系お嬢様に伴われグループ数人で出向いた先は、ラグジュアリーな会員制の建物だった。

どういう経緯だったか覚えてないのだけど、他の連中が車で移動しているのになぜか一人だけ自転車で移動していた。
建物には自転車置き場というものが存在せず、どこに停めればいいのかロビーの人も困惑顔で、とりあえず燕尾服の男の人に預けた。

そんなやり取りで手間取ったこともあり、ロビーの先へとすいすい促されるグループから離れてしまったので、ふらっと施設内を散策することにした。

赤い絨毯と壁紙、金色の刺繍と装飾、煌くシャンデリアに統一された内装に彩られた円形のホールとだだっ広い通路で構成された施設には、劇場にあるような両開きの扉がいくつも隣接していた。ホールの中央には背もたれのないソファがあり、施設の利用者が他人に無関心な様で時間を過ごしている。

その両開きの扉の向こうが、施設利用者各人付属の占有空間であることは事前の説明で聞いており、アイドルのレッスンにも使われるとかなんとか。

そんな施設内を歩いていても誰に咎められることもなく、しかし施設関係者の視線が確かに感じられるその圧力から、高級会員専用というイメージを強く感じる。

言いようのない不安を感じて先を行ったグループを探したがすでに見失っていた。
目を離したのは十数秒程度だが、吸い込まれるように両開きの扉の向こうへと行ってしまったのか。目に入るだけで扉の数は20を超える。
緩やかな弧を描く通路の先まで考えるに、適当に扉を開いて中を伺うことも躊躇われる。

出自不明の清楚系お嬢様に興味もあり、今更ホールで暇を潰すのも引き返すのも癪であった。
とりあえず扉に近づくが周囲の反応が変わることもない。
サテン生地で覆われた重い扉に手をかけて、様子を探るように押し開く。

中はかなり広めの楽屋のようになっていていくつもの鏡台と背のないソファがあった。

外のホールとは異なり、見知った馴染みのある様々な色に包まれた空間には、学生服を華美にしたようなアイドル衣装をまとった若い娘がこちらを見るでなし、表情のない顔で楽屋での日常を過ごしているように見えた。
唖然として扉を閉じる。再びの赤い空間である。
世界が切り替わったような錯覚があった。

周囲に動きはない。燕尾服に嗜められることもなく、利用者に奇異な視線を向けられるわけでもない。
その雰囲気は、寛容という言葉は似つかわしくなく、すでに手遅れである者への余裕や慢心を感じる。
しかし何が致命的だったのかわからない。走れば誰にも施設からの脱出を止めようがない間合いのはずだ。

違和感だけで被害妄想が酷くなる。
施設の外観は特定老人養護施設のような長方形のグレータイルに覆われた角ばったデザインで目を引くものではなかったが、今となってはまるで砦が擬態していた風情に思える。
友人グループの安否よりも、清楚系お嬢様が気になるのは妙な色気に下心を刺激されたからか。

そんな靄のかかったような思考を無視して直感的に動いた。行動は脱出よりも探索に傾いた。緩慢が溢れる通路を足早に歩き、突き当たった扉を力強く開いた。
重厚なマホガニー色の板張りのレッスン場に白いバレエダンサーがいたので近付いて話しかける。しなやかで繊細な肢体は穏やかな口調で応えてくれた。

施設については既知の情報しか得られず、見失った友人のことは気遣われ、清楚系お嬢様については施設に繋がりのある特別な会員ではないかと親切の限りを尽くされた。
なぜ自分はこんなにも不安を感じているのか、その事が馬鹿らしくなる人当たりの良さであったがその事がますます不信感を募らせる。

かといって他にアテもなく、相手の不自然な親切心に甘えて平静を取り戻そうとあれやこれやと話し込むと、次第に相手の吐息に色が掛かったように感じた。口調に熱がこもり距離が縮まり白い手が二の腕に触れる。
生理的な嫌悪感を覚えるも手をとりやんわりとレッスンを労い、踵をかえしてその場を去った。

赤いホールのソファに腰掛けて、時間が過ぎるのを待った。
特に何が起こるわけでもなく、燕尾服にも利用者にも特に目立った動きはない。もしかしたら誰かに話しかけられたかもしれないが覚えていない。不思議な空間であるが、スケールが大きいだけで、暮らしてる世界観が違うだけといえばそれまでだ。

そんな場違いな雰囲気に飲まれて、おかしくなっているのは自分の方であると割り切れば大したお話でもない。
探索を楽しんでいただけなので、積極的に連絡を取れば済む話だった。スマホを手に取りすでに連絡先を交換していた清楚系お嬢様に電話をかけて合流を図れば、すぐに現れて何事もなく部屋へ通された。

清楚系お嬢様に連れていかれた扉の向こうは事務所の小さな一室のようだった。
他に誰もいない。
簡素な応接セットに促されて座る。
相手は立ったままで、このままでは不利だなぁと思いながらもそれはそれでいいやと、とりあえずよくわかっていないけど、こんなことはやめなさいと口火を切った。勢いだった。

自分の口から出たのは内容は相手を気遣う言葉だったように思える。特に覚えていないので日頃から使っている言葉の羅列だと思う。よくわからないけど、相手を心配していたのは覚えている。
言葉の限りを尽くした結果、わかりましたと親愛の籠ったような軽やかな返事をくれた。よくわかってなかったけど安堵した。

そこからは安心感を伴って行動できたと思う。
清楚系お嬢様からは途方もない計画を知らされ、寄生虫を利用して人心を掌握し、政治経済を操っているとかなんとか。
事務所のハードディスクからデータを抜き出して、すでに掌握している政治家にリークし、数日中には寄生虫の件はやんわりとニュースになった。

展開が早くてすげーなーと思いつつ、あとは場面がいくつも変わり記憶が混濁して目を覚ました。そんな夢を見た。ひぐらしオチかよ!って突っ込んだ。寄生虫万能だな!



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