ギャンブルをしない理由

私の元上司のMさんは絶対にギャンブルをしない。
酒飲みでヘビースモーカーで風俗大好きで、
間違いなくギャンブルもしてそうな方だが、
ギャンブルだけは絶対にしない。
「昔はよくしてたんだけどな。」
Mさんがギャンブルを辞めた理由を教えてくれた。

Mさんが初めてギャンブルをしたのは大学生の頃だ。
友人に誘われて初めてパチンコを打った。
結果は大勝ちだった。

友人に誘われてまたパチンコ屋に行った。
前回同様大勝ちだった。

競馬に競艇、麻雀…。
誘われてしてみると全てにおいて大勝ちした。
俺にはギャンブルの才能があるのかもしれない。
やがてMさんは休日のほとんどをパチンコ屋で過ごす様になった。
不思議と負けたことは一度もなかった。

その日もパチンコ屋で大勝ちした日だった。
昼過ぎから当たり出して閉店までひたすら出続け、
帰宅したのは23時過ぎだった。

家の前に来た時寒気がした。
なんだかすごく嫌な予感がする。
ドアを開けたくない。

寒気を堪えながらドアを開くと絶句した。
社交ダンスで着る様な真っ赤なドレスを着た、やたら猫背で髪の毛が異常に長い女が立っている。
女はMさんに気付くと、長い髪の毛を引き摺りながらゆっくりとMさんの目と鼻の先まで来た。
女の濁った瞳は異様に大きく白目が見えない。
「ソロソロカエシテネ。」 

気がつくと朝だった。

「パチンコ打ったらまた女が来る気がしてな。多分次出会ったらなんか嫌な予感がする。」

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