「最近の若者は・・・」と言いたくなるのはわかる。けれどね。

仕事をしていると、度々「最近の若者は・・・」という声を聞く。「最近の若者は、気に入らないことがあるとすぐ仕事を辞めてしまう」「最近の若者には怒っちゃダメ」など。
しかし、世間の流れがそうなっているから仕方ないのだ。転職を勧めるCMが当たり前のように流れたり、これまで許容されていたものが「体罰」「セクハラ」「アルハラ」などという言葉で禁止されている。若者が悪いのではなく、世間がそうなっている、としか言えない。

そうはいっても、愚痴りたくなる気持ちもあるのだろう。
しかし、「では、自分たちの若い頃はどうであったか?」と思って調べてみたら、やはり、いつの時代でも同じことが起こっているらしい。

いつ何時であれ、若い頃はみんな「最近の若者は・・・」と言われ、自分が年を取ったら逆に言う側になる、ということだ。つまり、結論としては、愚痴ってないで最近の若者をありのままに受け入れるしかないのだ。

しかし、これでは面白くないので自分なりにもう少し考えてみる。

日本は、1945年に終戦を迎え、ここからの数年で大きな転換を迎えた。天皇は国民の象徴となり、財閥は解体され、軍部は無くなり、民主的でないものは次々と民主的にになった。人々は復興に向けて立ち上がった。
ここから30年後、1975年あたりを想像する。
この時代に上司となった人たちは戦中、戦後を生き抜いた人たちで、この時代の新社会人は戦後生まれ。生きるか死ぬか、という時代を生き抜いてきた上司から見たら、多少気が強くても「最近の若者は・・・」となるだろう。
しかし、1975年あたりも安穏としているわけではない。1970年付近は学生運動が活発化した時代で、「1968年の日本で、学生による授業放棄、ストライキ、建物の封鎖占拠のいずれかが起きた大学は、4年制大学の34%(127校)にのぼる。1969年、この数字は41%(153校)と、さらに増えることになった。」先日死亡した桐島聡の起こした事件も1975年である。思想を持ち、血気盛んな若者が時には過激な行動に打って出た時代でもあったのだ。
では、ここから25年後、2000年を想像する。
前述したように、この時代に上司となっている人は血気盛んな時代を生き抜いた人で、戦争体験者も周りに溢れていた。この時代の新社会人にとっては、戦争は祖父世代から語り継ぐような遠い記憶のものになっている。また、大きな社会変遷もある。男女雇用機会均等法、携帯電話の出現、バブルの崩壊・・・育ってきた価値観が全く異なるので、これもまた「最近の若者は・・・」となるだろう。

そして今、である。
前述したように、これまで許容されていたものが許されなくなった。働き方も大きく変わり、「リモートワーク」も誕生した。仕事は足で稼ぐ時代の人間からしたら考えられない事だ。仕事よりも個人の権利が大事であり、ハードワークで賃金を稼ぐよりそこそこの休みでそこそこの給料を望む。

かなりざっくりと語ったが、20~30年もたてば時代が変わるのだから、若者も変わる、というだけの話。
繰り返すが、自分たちと若者を比較せずにありのままを受け入れるしかないのだ。

きっと、今後も色々変わって、今の若者が上司になる頃にはまた今の常識とは別の考えをした新しい若者が出てくるだろう。時代は、そういうものなのだー

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