なろう系における「知力(賢さ)」というステータス


いわゆる、なろう系の漫画を見てると、RPGに出てくるステータス画面のようなもので自身のステータスを確認できるタイプの漫画がある。ようは、自身の能力が数値化されているのだ。よく出てくるのは
「HP MP 体力 腕力 素早さ 器用さ 知力 運の良さ」
あたりであろうか。表記の仕方は数字であったりアルファベットであったり(最低値がF、最高値がSSとか)様々だが、まあ本質は変わらない。

これらを見ていると、私は思ってしまうのである。

知力って雑じゃない!?

子供の頃を思い出してほしい。
テストで満遍なく高い点を取る人間もいれば、そうではない人間もいる。また、特定の科目だけはある程度の点を取るような人間もいる。そもそも、子供の頃は国語、算数・・・というように、いくつもの教科があったのに、これら(体育等を除く)に関する能力を全てまとめて「知力」としてしまうのは乱暴ではないか。
(逆に言えば、体力、腕力、素早さなどを全てひっくるめて「体育」の一言で片づけていたのも雑なのかもしれないが、今回はそこは置いておく)

私が思うに、知力というのは大きく記憶力、理解力、発想力の3つにわかれる。
記憶力とは、文字通り記憶する力。
理解力とは、情報を正確に分析する力。
発想力とは、情報を元にアイデアを生み出す力。
まあ、敵をブッ倒して話を進めていくなろう系で、こんな細かい話を言っても無粋なのかもしれないが・・・

しかし、「知力」っていうざっくりとしたステータスとつくるからには、主人公も賢くなれよ!と思うのである。
例えば、「知力」ではなく「魔力」というステータスなら、別に問題はない。魔力は賢さとはイコールではないのだから。しかし、「知力」と言われてしまうと、それは本人の賢さと一致するべきだろうと思う。なんたって知の力なのだから。「知力」というステータスを設定し、それを成長させるなら、主人公も賢くなっていくべきなのだ。そして、主人公が賢くなるのなら、行動も変化しなくてはおかしいのだ。
例えば、知力が低いうちは普通の行動でいいが、知力が成長したら諸葛亮孔明のような行動をしてほしいのだ。知力があがっているハズなのにずっと同じような行動をしていたら、「じゃあ知力ってなんやねん!」ということになるのだ。なんも知力あがってないやん、ということになってしまう。

しかし、知力の上昇を描くのは非常に難しいのだ。
上述した知力の3つのうち、記憶力、理解力については描くのはそこまで難しくないと思う。何故なら、作者が用意した状況を主人公に理解させるだけなのだから。とはいえ、状況を細かく設定しないとアラは出てしまうが・・・
しかし、最後の発想力が特に難しい。発想力だけは、読者が相手なのだ。読者がアッと驚くような手を打たないと、読者は「発想力すごいな」とはならない。

なので、作者によほどの自信があるなら別だが、個人的には「知力」というステータスは安易に設定するべきではないと思う。他のステータスは安易に強化した状況を描くことが出来るが、知力だけは作者自身の能力を超えたものは描けないからだ。

個人的には、魔力とか魔法力みたいな表現で逃げるのが一番良いと思うんですが、どうなんですかね?

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