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【読書記録】2023年3月19日〜3月25日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 せっかく桜が満開なのにずっと雨。しかも寒い!
 こんな日はやっぱりお部屋で読書でしょ。
 …ということで、早速3月第3週に出会った本たちを紹介します。

【2023年3月19日〜3月25日に読んだ本】

●彼女が天使でなくなる日

著者 寺地はるな
【内容紹介】
 九州北部にある人口三百人ほどの星母島。子どもについての願い事なら何でも叶えてくれるという「母子岩」があり、近年有名になっている。
そこで〝モライゴ〟として育てられた千尋は、一年前に戻ってきて、託児所を併設した民宿を営んでいた。
子どもにまつわる様々な悩みを抱え、母子岩のご利益を頼りやってきた宿泊客に、千尋は淡々と為すべきことを為し、言うべきことを言う……。
簡単な癒しではない、でも大切なことに気づかせてくれる、宝物のような小説。
裏表紙より

【収録作品】
・あなたのほんとうの願いは
・彼女が天使でなくなる日
・誰も信頼してはならない
・子どもが子どもを育てるつもりかい
・虹

【感想】
 とにかく主人公の千尋と、パートナーの麦生が真っ直ぐで清々しい物語でした。
 この二人、問題を抱えながらも、縁あって託児所併設の民宿に訪れたお客さんたちとも絶妙の距離感を保ちながら、その悩みと真剣に向き合ってくれます。
 甘やかすのではなく、上から目線でもなく、そこから生み出される言葉は人間関係に悩むすべての人たちの心を優しく包み込んでくれます。
 タイトルにある「天使でなくなる」とはどういうことなのか?
 子育てに、親子関係に、友達関係に悩んでいるすべての人にプレゼントしたい一冊です。

●池袋ウエストゲートパーク

著者 石田衣良
【内容紹介】
 池袋西口公園(おれたちはカッコつけるときはいつも「ウエストゲートパーク」と呼んでいた)の本当の顔は週末の真夜中。噴水のまわりの円形広場はナンパコロシアムになる。ベンチに女たちが座り、男たちはぐるぐると円を描きながら順番に声をかけていく――。
ミステリーの「いま」を読みたければ、池袋を読め。刺す少年、消える少女、潰しあうギャング団……命がけのストリートを軽やかに疾走する若者たちの現在を、クールに鮮烈に描く大人気シリーズ、第一作!
青春小説の爽快さとクライムノヴェルの危険さ。クセになリます。
裏表紙より

【収録作品】
・池袋ウエストゲートパーク
・エキサイタブルボーイズ
・オアシスの恋人
・サンシャイン通り内戦

【感想】
 自分が池袋を卒業したのは96年なので時期的にはドンピシャ。だからと言って池袋で派手に遊んでいたわけではなく、ただ専門学校が近かっただけなのですが。
 スポーツ選手、お笑い芸人、ミュージシャン、そして不良グループの頭。モテたい10代男子はこの4つのどれかに必ず憧れる。そして自分には無理だと気づく。それが青春。
 カラーギャングの抗争を始めとする池袋のゴタゴタを解決するのは実家の果物屋を継ぐ青年マコト。彼はどのグループにも属さない代わりに、どのグループにも、警察にまで顔が効く。今も続く長いシリーズ、今後の展開が楽しみです。

●少年計数機
 池袋ウエストゲートパークⅡ

著者 石田衣良
【内容紹介】
 自分が誰なのか確認するために、まわりのすべてを数え続ける少年・ヒロキ。その笑顔は十歳にして一切の他者を拒絶していた!マコトは複雑に絡んだ誘拐事件に巻きこまれていくが…。池袋の街を疾走する若く、鋭く、危険な青春。爽快なリズム感あふれる新世代ストリートミステリー、絶好調第2弾。
裏表紙より

【収録作品】
・妖精の庭
・少年計数機
・銀十字
・水の中の目

【感想】
 …ということで続けてIWGP第2弾。
 池袋のトラブルシューター・マコトの魅力は強者に媚びず、弱者を蔑まず、高齢者や障害者に対しても実にフラットに接するところ。雑誌掲載は1999年。マコトの生き方って、今で言うところのダイバーシティってやつじゃないか?
 とになく魅力的なキャラがたくさん登場し、マコトの人脈はどんどん広がっていきます。
 特に心に残ったのは第4話。ミナガワさんがあんな結末だったのはちょっと残念。それよりも何よりもまさかマドカさんが職場復帰するなんて。この人どんだけメンタル強いんだろ。

●星屑

著者 村山由佳
【内容紹介】
 大手芸能事務所「鳳プロ」のマネージャーながらも雑用ばかりでくさっていた桐絵は、博多のライブハウスで歌う16歳の少女・ミチルに惚れこみ、上京させる。鳳プロでは専務の14歳の娘・真由のデビューが決まっており、ミチルに芽はないはずだった。しかし彼女のまっすぐな情熱と声は周囲を動かしてゆく。反りが合わずに喧嘩ばかりの二人。妨害、挫折、出生の秘密、スキャンダル…その果てに少女たちが見るものはー。必死にもがく少女たちと、大人たちの様々な思惑が織りなす、息もつかせぬ痛快長編!
版元ドットコム 書誌情報より

【感想】
 舞台は1978年の芸能界。
 境遇も性格も容姿も正反対で反目し合う二人が、様々なアクシデントを乗り越え少しずつ歩み寄り結果お互いを認め合うという展開は、ジャンプ漫画か、懐かしの大映ドラマを彷彿させ、どちらも大好物なオヤジとしては、ドキドキ・ワクワクしながらページを捲りました。

●格闘する者に○

著者 三浦しをん
【内容紹介】
 これからどうやって生きていこう?マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら…。いざ、活動を始めてみると思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。連戦連敗、いまだ内定ゼロ。呑気な友人たち、ワケありの家族、年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描く、才気あふれる小説デビュー作。
裏表紙より

【感想】
 簡単にいうと女子大生の就活物語ですが、筆記試験での何の役に立つのかわからない一般常識問題、二択でその人の内面を図ろうとする性格検査、何のために聞くのかわからない面接での質問や面接官の態度などに、心の中で激しくツッコミを入れる可南子さんがとにかく痛快です。ただ最後は「えぇっ、これからどーなんの?」というところで話が終わってしまうので、本当にその後どうなったのかが気になるところです。

●秋葉原先留交番ゆうれい付き

著者 西條奈加
【内容紹介】
 電気とオタクの街ー秋葉原。その交番に勤める権田は、筋金入りのオタク警官。対してコンビを組む長身イケメン警官・向谷は頭はからっぽだが、類い稀なコミュニケーション能力の持ち主。ひいては美脚の「足だけの幽霊」を連れてきてしまった。2人は「足子さん」と呼び、彼女の死の理由を探し始める。フィギュア盗難、抱きつき魔、迷子、メイド喫茶のいさかい…ご当地ならではの「謎」に凸凹警官が挑む、新境地人情ミステリ!
裏表紙より

【感想】
 主人公はなんと「足」だけ(正確には霊感のある人に足だけ見える)幽霊・通称「足子さん」と、東大卒の典型的オタク警官・権田&霊が見えるイケメン女ったらし警官・向谷。
 秋葉原で起きるフィギュア盗難事件、抱きつき魔事件などを解決しつつ、足子さんがなぜ足子さんになったのかを解明していくミステリー。2008年に起きた秋葉原の通り魔事件を絡めたり、足子さんが単なる被害者ではなくて、人を傷つけてしまった過去があったりと単なるドタバタで終わらないところがとてもいいというか、実に西條さんらしいというか…。

●出世花

著者 高田郁
【内容紹介】
 不義密通の大罪を犯し、男と出奔した妻を討つため、矢萩源九郎は幼いお艶を連れて旅に出た。六年後、飢え凌ぎに毒草を食べてしまい、江戸近郊の下落合の青泉寺で行き倒れたふたり。源次郎は落命するも、一命をとりとめたお艶は、青泉寺の住職から「縁」という名をもらい、新たな人生を歩むことに―――。青泉寺は死者の弔いを専門にする「墓寺」であった。直擊に死者を弔う人びとの姿に心打たれたお縁は、自らも湯灌場を手伝うようになる。悲境な運命を背負いながらも、真っすぐに自らの道を進む「縁」の成長を描いた、著者渾身のデビュー作、新版にて刊行!!
裏表紙より

【収録作品】
・出世花
・落合螢
・偽り時雨
・見送り坂暮色

【感想】
 高田郁さんのデビュー作。
 父の死により天涯孤独の身となったお艶は、江戸近郊にある青泉寺の住職に助けられます。
 お艶はその住職に新たにお縁という名前お授けられ、お寺の仕事「湯灌」を手伝うようになります。
 湯灌とは今でいう納棺師が担う仕事ですが、お縁はただ遺体を洗い清めて納棺するのではなく、最近でいうエンバーミングも行います。物語が進んでいくと、その経験と洞察力を買われ、死体検案の手伝いもします。
 生きるということ、死ぬということ、弔うということ、人の縁について深く考えさせられる一冊でした。

●レジリエンス入門

著者 内田和俊
【内容紹介】
 人生には心が折れやすくなる時期が必ずやってくる。どうすればそれを乗り越え、成長へとつなげられるのか。「レジリエンス」=心の自然治癒力を高めれば、さまざまな困難に対処することができる。その方法をわかりやすく解説する。
裏表紙より

【感想】
 タイトルにあるレジリエンスとは著者いわく「心の自然治癒力」だそうで、まずこのレジリエンスを低下させてしまう考え方を7つに分類し、それぞれについて詳しく解説してくれます。   
 最後には具体的な事例を挙げながら対処法を探っていくという本です。
 結論を簡単にいうと「ものの見方・考え方の視点を変えてみよう」ということ。
 ちなみに心の自然治癒力を弱体化させる7つの思考パターンは以下の通りです。

①否定的側面の拡大・肯定的側面の否定
②二分化思考 少なすぎる判断基準 勝ち負け思考
③当然、べき、ねばならない思考
④過剰な一般化
⑤結論の飛躍
⑥劣等比較
⑦他者評価の全面的受け入れ

…どうでしょ。心当たりはありませんか?
 私は②と③が強いかな。頭が痛い。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週は新書1冊、時代小説1冊、そしてエンタメ小説6冊という内訳になりました。
 今回の中で一番心に残ったのはやっぱり石田衣良さんのIWGPシリーズ。若者たちの心の云々はもちろんですが、出てくる小道具たちが懐かしくて懐かしくて。これはもう後追い決定ですね。
 また読書の楽しみが増えました。
 そうそう〝星屑〟と〝秋葉原〜〟は続編熱望!

最期に
 読書っていいよね。


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