【読書記録】2024年12月15日〜12月21日
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
いよいよ2024年も残り10日。
本当にあっという間の1年でした。
私的今年一番の出来事といえば、転職して1月から新しい職場で働き始めたこと。
その新しい職場には読書好きがいないという話はどこかで書きましたが、最近やっとひとり発見しました!
なんとその人80代!!
しかも最近何を読んでいるのか尋ねたら、〝沈黙のパレード(東野圭吾)〟や〝とんび(重松清)〟だと。
読書って一生続けられる趣味なんだと、改めて感心。
来年はその人が勧めてくれた〝点と線(松本清張)〟を読んでみようかと。
ということで、早速今週出会った本たちをご紹介します。
【2024年12月15日〜12月21日に出会った本たち】
⚪️【小説 言の葉の庭【再読】
【感想】
冬なのに、梅雨じゃないのになぜか無性にこの物語が読みたくなり再読。
映画に負けないくらいの美しい情景描写。そして硝子細工のように繊細な心の動き。
映画では靴職人を夢見る高校一年生の孝雄と公園で朝からビールを飲む女性・雪野の物語として描かれますが、小説版では孝雄の母と兄、雪野の同僚、そして物語の鍵となった高三女子の視点が加わったことで、より切なく、より深さが増している印象です。
特に今回心に残ったのは夢に向かって全力で突き進んでいく弟や恋人と、現在の自分を比べてしまう兄の気持ち。この気持ちの正体は自分も身に覚えがあります。
⚪️言の葉の庭
【感想】
こちらは新海誠さんのアニメを原作とした加納新太さんによるノベライズ作品。
新海版の小説と異なる点は大きく3つ。
一つ目は新海版が複数の視点で描かれていたのに対してこちらは主人公の秋月孝雄のひとり視点で描かれていること。
二つ目は孝雄が製靴専門学校の体験入学に参加し、靴作りの奥深さを学ぶ場面があること。
そして三つ目は雪野から孝雄に送られた最初の手紙の全文が記されていること。
全体として新海版に比べライトな印象を受けるので、映画ファンならこっちを読んだ後に新海版の小説を読んだ方が、より深く物語世界を味わえるかもしれません。
⚪️小説 秒速5センチメートル【再読】
【感想】
〝言の葉の庭〟が思った以上に心に刺さったのでこちらも再読。
主人公の貴樹が二十代後半になってもずっと明里との初恋を引きずっているのが、かなり辛くて痛い。
初恋を引きずる男子という設定は、時々漫画やドラマで見かけますが、実際にここまで初恋を引きずる人っているんだろうか。まぁ、成就しなかったからこそ、ここまで美化されたのかもしれないけれど。
第2話、第3話に出てくる女性たちの純粋さが何だかとても切なくて、どうにも居た堪れない気持ちになりました。
最近大仕掛けな印象の深海作品ですが、私はやっぱり「言の葉…」やこの物語のようなピュアな作品が好き。
⚪️秒速5センチメートル one more side
【感想】
加納さんが紡ぎ出すもう一つの〝秒速5センチメートル〟。
第1話の「桜花抄」は篠原明里、第2話の「コスモナウト」は遠野貴樹、そして第3話の「秒速5センチメートル」は貴樹と明里のそれぞれの視点で、つまり新海版とは逆の視点から物語が描かれています。
しかも新海版では描かれなかった最後の踏切のシーンのそのあと。そして巻末にはあの時に渡せなかったお互いの手紙の全文が明かされています。
初恋の思い出をチカラにして前に進んだ明里と、立ち尽くしてしまった貴樹。よく言う「男は恋の思い出を名前を付けて保存し、女は上書き保存する」とは、なるほどこういうことか。
個人的にはあの大ヒット作「君の名は。」は、こんなラストにしてほしかったと思うのは私だけ?
⚪️宇宙のあいさつ
【感想】
昭和36〜37年頃に書かれた35篇をまとめたショートショート集。
SF、ブラックユーモア、ミステリー、ホラー、そしてファンタジーまで変幻自在の星作品ですが、時々心臓を鷲掴みにされるような切ない感動作もあって、しかも今作には「あとがき」というショートショートまであるという徹底ぶり。
もちろん中には、自分の理解が追いつかず首を捻ってしまう話もあるけれどそれはそれ。
星さんの作風として、「人物のイメージを固定させないために、人物名はイニシャルにする」といった記事を何かで読んだことがあったのですが、この中の一作だけなぜか「山崎和彦」という個人名が特定されているのはなぜだろう。ご存知の方はご一報ください。
【まとまらないまとめ】
いかがでしたか。
今週は、理由もきっかけもわからないのですが突然新海誠さんの小説が読みたくなって再読。そしてそれぞれの対となる加納新太さんの小説が2冊。そして夏の文庫フェアで購入したものの、積読だった星新一さんのショートショート集が1冊というラインナップでした。
改めて感心したのは加納新太さんの2冊。新海誠さんのアニメ、そして監督自身が書いた小説の世界を壊すことなく、そこでは描かれなかった部分をそっと掬い取ってカタチにしていく作業は、自ら新たなストーリーを紡ぎ出すよりもさらに大変な作業だったのではないかと思いました。
星新一さんはもはや言うまでもありませんね。私は観てませんが最近もNHKでドラマ化されたようだし、今までもたくさんの作品がアニメ化やドラマ化され、多少ガジェットの表現の古さは感じるけれど、ストーリー自体はまったく古さを感じません。60年以上前の作品なのに。
漫画にせよ小説にせよ、いや他のジャンルでもそうだけど、「0から1を生み出した黎明期の人たち」ってやっぱりすごい!星さんの作品を読むたびにつくづくそう思います。
来年は月に一冊くらいのペースで星さんの本を読んでみようかと思います。
最後に
読書っていいよね。