【読書記録】2023年4月9日〜4月15日
みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。
今週は「本屋大賞」の発表というお祭りがありましたね。
みなさんの予想は当たりましたか?
私は…。
見事にハズレました!
ということで、今週出会った本たちをご紹介します。
【2023年4月9日〜4月15日に出会った本たち】
●下北サンデーズ
【感想】
20代の頃、小劇場演劇の魅力に取り憑かれ、芝居を観たいがために都内にある専門学校への進学を決めてしまった私。ホームグランドは新宿、池袋でしたが、下北沢の駅前劇場や本多劇場にも何度か行ったことがあるのでこの物語はとても懐かしく感じました。
芝居は映画と違って役者と自分が同じ場所で、同じ空気を吸って、同じ時間を共有できるというライブ感が大好きです。
演劇初心者のゆいかが劇団に入団し、才能を開花させ成長していく物語ですが、演劇祭決勝の舞台が始まるところで終わってしまうので、その結果とその後の活躍も読んでみたい。続編熱望の一冊です。
●ラブソファに、ひとり
【収録作品】
ラブソファに、ひとり
真夜中の一秒後
フィンガーボウル
夢の香り
ハート・オブ・ゴールド
23時のブックストア
リアルラブ?
ドラゴン&フラワー
魔法のボタン
【感想】
様々なアンソロジーに収録された物語を集めた短編集。主に女性が主人公の「恋愛」がテーマの物語です。
読んでいて10代の初々しい恋愛も、20代の瑞々しい恋愛も、30代の激しい恋愛も、40代のオトナの恋愛も、もう自分にはないのだと、センチメンタルになってみたり…。
異彩を放っていたのは〝ハート・オブ・ゴールド〟。これは日本経済新聞社の〝そういうものだろ、仕事っていうのは〟というアンソロジーに収録されていた物語で、「富」とは何かについて語っているシーンがあって、コレが一番心に沁みました。
●チッチと子
【感想】
青田耕平はキャリア10年の小説家。
彼は4年前に妻を交通事故で亡くし息子のカケルと二人暮らし。
そんな二人の日常が描かれる物語の中に少しだけ練り込まれるミステリー。
妻の死は事故なのか自殺なのか!?
とにかく父と子の掛け合いが素敵。何よりもカケルが父親をチッチ、母親をママッチと呼ぶのがとても可愛い。
文学賞のあれこれはいろいろありそうで興味深いけれど、何よりも同じ作家仲間たちの、ライバルであり戦友でもあるという関係が素敵でした。
●東京DOLL
【感想】
天才ゲームクリエイターの相良が、新作ゲームのイメージキャラクターにぴったりな女性・ヨリをスカウトするところから始まる物語ですが、新作ゲームを生み出すまでの苦悩が描かれるのかと思いきや、基本的には婚約者がいながら徐々にヨリに魅了されていく相良の恋の物語でした。
お金とそこそこの名誉がある青年が、おしゃれな街で、おしゃれな服を着て、おしゃれな食事をして、燃えるような恋愛をして、ちょっと修羅場があるという、何だか90年代の小洒落たトレンディドラマみたいな物語でした。
●カンタ
【感想】
発達障害を抱えるカンタと、頭脳にも容姿にも恵まれた耀司の友情物語です。
まったくタイプの違う二人ですが、なぜか馬が合い、カンタの母親の遺言もあって、その後の人生を共にすることになります。
時代は携帯電話がカラー液晶になった頃。GREEとかモバゲーが頭角を表してきた時代。一時期どちらかの社長が「俺たちがニンテンドーを倒す」みたいなことを言ってたような。
感動系の青春ストーリーかと思いきや、途中から投資が云々とか、敵対的買収など経済小説へと変化していきます。
ちなみに文庫版の解説はホリエモンこと堀江貴文さんです。
●1ポンドの悲しみ
【収録作品】
ふたりの名前
誰かのウエディング
十一月のつぼみ
声を探しに
昔のボーイフレンド
スローガール
1ポンドの悲しみ
デートは本屋で
秋の終わりの二週間
スターティング・オーバー
【感想】
30代の男女の恋愛短編集です。
10代や20代ではなくて、酸いも甘いも経験し、少し先が見えてきた30代。
石田衣良さんが描く恋愛小説は、やっぱり都会的でおしゃれ。
若さと勢いだけでは突き進めなくなったお年頃の恋愛ですら懐かしく感じる年代になってしまった自分に寂しさを感じる今日この頃。
どの話も甲乙付け難いけれど、特に家族とのありきたりな生活と、燃え上がるような恋愛感情に悩む〝十一月のつぼみ〟そしていわゆるナンパ師が、たぶん何らかの障害を抱えた女性に出会い変わっていく〝スローガール〟は特に心に残りました。
●うつくしい子ども
【感想】
1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件、いわゆる酒鬼薔薇事件から着想を得たという物語です。
主人公の弟(13歳)が、9歳の女の子を殺害した事件から始まり、マスコミのスクープ合戦の末に発信される誇張された記事。それに踊らされる周囲の人々。学校の対応は形ばかりで、その陰では主人公とその友人に対するいじめが…。
主人公は弟がなぜそんなことをしたのか真相究明のために動き出し…。そしてたどり着く真犯人の存在。
13歳の少年が起こした事件の法律上の扱いや、加害者家族の苦しみだけでなく、予想以上にたくさんのテーマが盛り込まれていて読み応え抜群の物語でした。
●真田十勇士
【感想】
この小説は堤幸彦監督、マキノノゾミ・鈴木哲也脚本で、2016年に公開された映画を原案にして書き下ろされた小説そうです(あえて『ノベライズ』と書かないところに引っ掛かりを感じますが)。
私はそんなに歴史や時代小説に詳しい方ではありませんが、幸村は実は臆病者だったとか、穴山小助の代わりに幸村の息子大助が十勇士に入っているとか、根津甚八が秀頼にそっくりだったとか、十勇士に一人裏切り者がいるとか、家康と淀殿が結託していたとか、とにかくエンタメ色が強い印象を受けました。そもそも「真田十勇士」という話自体が明治期に創作された物語らしいので、こういったアレンジがあってもいいのかもしれません。
個性豊かな面々が一つの目的のために集まって活躍し、最後は一人ひとり倒れていくという物語はやっぱり最高です!
●イネという不思議な植物
【感想】
この本はイネ(米)を様々な角度から取り上げた新書です。
まずはお米とはそもそも何なのか、どんな種類があるのか。次にイネを植物学の視点から解説し、水田という栽培法に触れ、日本の歴史とお米の関係。最後は日本文化とお米にまつわるエッセイという、幅広い内容が収録されています。
本筋とはズレますが、学名がなぜラテン語なのかという話は、目から鱗でした。それから江戸時代の「石(こく)」という単位、「一石はひとりの人間が1年間に食べるお米の量」というのも。
【まとまらないまとめ】
いかがでしたか?
今週もほぼ石田衣良さんの一週間でした。もう本屋大賞もそっちのけ。まだしばらくはこの波は続きそうです。
では今週はそんな石田衣良さんの物語から気になったプレーズをご紹介して終えたいと思います。
最後に、
読書っていいよね。
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