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【読書記録】2023年7月16日〜7月22日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 やっとというか、いよいよというか、とうとうというか梅雨が明けましたね。
 もう、本当に、明けましておめでとうございます!(これ、私の定番ギャグなんです)

 コホン!

 かるーく滑ったところで今週出会った本たちを紹介します。

【2023年7月16日〜7月22日に出会った本たち】

⚪️今夜、もし僕が死ななければ

著者 浅原ナオト

【内容紹介】
 新山遥には、死の近づいている人がわかる。十歳で交通事故に遭い、両親と妹を失ったころからだ。なぜこんな力が自分にあるのか、なんのためにこの力を使えばいいのかはわからない。けれど見て見ぬふりのできない彼は、死の近い人々に声をかけ寄り添う。やがて、二十四歳になった遥は、我が子の誕生を待っていたが…。愛する人を想う気持ちに涙があふれて止まらない、運命の物語。

裏表紙より

【感想】
 人の死期が見える少年・新山遥の物語。
 遥は「死」が見えた人には、できるだけそのことを本人に伝えるようにしています。たとえ信じてもらえなくても…。
 物語は遥が14歳、17歳、20歳、24歳、そして能力を手に入れた10歳の出会いと別れを綴っていきます。
 特に大切な人と巡り合う17歳、そして能力の別の意味を知る24歳のエピソードは、とても切なくて温かく胸に沁みます。
 もし自分がそんな能力を手に入れたら、また「もうすぐ死ぬ」と言われたら、多分心中穏やかではいられないでしょう。
 1日1日を大切に生きよう。いつ自分の胸の前に「海」が見えてもいいように。

⚪️君たちは今が世界

【内容紹介】
 今の自分は仮の姿だ。6年生の杏美は、おとなしい友人に紛れて学級崩壊気味のクラスをやりすごし、私立中学に進学する日を心待ちにしている。宿題を写したいときだけ都合よく話しかけてくる“女王”香奈枝のことも諦めているが、彼女と親友同士だった幼い記憶に苦しめられ…。学校も家庭も、生きる世界を選べない子どもたちの葛藤と希望を描き、数々の入試問題に取り上げられた話題作に文庫書き下ろしの特別篇を加えた決定版!

裏表紙より

【収録作品】
第一章 みんなといたいみんな
第二章 こんなものは、全部通り過ぎる
第三章 いつか、ドラゴン
第四章 泣かない子ども
エピローグ
特別篇 仄かな一歩

【感想】
 色々な物事が低年齢化していると言われて久しいですが、思春期といえば中学生というイメージだった私にとってこの物語は衝撃的でした。
 大人に片足を突っ込んでいる女子、まだまだ幼いバカ男子。彼らの世界はとにかく広くて狭くて、深くて浅くて、鋭くて鈍い。そしてタイトル通り「今がすべて」。
 学級崩壊、偏見や差別。これらは子供たちが先天的に持っているものではないから、やっぱり親や教師など、身近な大人の影響が大きいんだろうと思います。なんて書いている自分も大した親ではなかったけれど。
 ずっと手元に置きたい大切な物語がまた一冊増えました。

⚪️ドミノin上海

著者 恩田陸

【内容紹介】
 「『蝙蝠』が上海に入った」。豫園からほど近い繁華街の骨董品店に緊張が走った。窃盗されたお宝が闇のルートで輸入されたのだ。虎視眈々と狙う店主だが、なぜか問題の品は、人気急騰中のホテルの厨房に流れ着いていた…。かつて東京駅で数奇な運命を共にした面々に、一癖も二癖もある人物たち、さらには動物園脱出を目論むパンダも加わって、再び運命のドミノが倒れ始める!予測不可能、爆笑必至のパニックコメディの金字塔!!

裏表紙より

【感想】
 前作〝ドミノ〟をスケールアップ!舞台は上海。
 物語を彩るのは25人の男女+パンダ+ダックスフンド+千の風になったイグアナのダリオ。
 これが例によって例の如くバラバラに動き出します。最初は正直振り落とされないようにするのが精一杯で、何がなんだかわからない状態でしたがチャプター70過ぎくらいから物語は大きく動き始め、あとはまさにドミノ倒し状態。「よくこんな話思いつくなぁ」というのが読了後の正直な感想。
 これからこの本を読む方へ。余裕があったら前作〝ドミノ〟を先に読むことをおすすめします。繋がっている部分も結構あるので。

⚪️家族じまい

著者 桜木紫乃

【内容紹介】
 「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」妹からの電話で実家の状況を知った智代。かつて横暴だった父が、母の面倒をみているという。関わり薄くいられたのも、お互いの健康あればこそだった。長男長女、墓守、責任という言葉に距離を置いてきた日々。妹は二世帯同居を考えているようだ。親孝行に名を借りた無意識の打算はないか。家族という単位と役割を、北海道を舞台に問いかける傑作長編。

裏表紙より

【感想】
 学生時代の煌めきや、子育てと仕事に追われる慌ただしさを過ぎると、次にやってくるのが自分たちの老後と親の介護の問題。
 一組の老夫婦を中心にその娘たちや姉など、5人の女性が向き合う家族の最後を描く物語。
 そろそろ自分もこっちの方に片足を突っ込む年来になって、なんだか単なる物語とは思えません。
 未来はそうそう明るいものでもないということに気づき始めたのはいつ頃だったろうか。
 多分その肉体に対して人の寿命は長くなりすぎたんだと思う。
 自分もそろそろ自分と自分が作り上げてきた家族の最後について、真剣に考えなくては。なんて考えつつ、今日もため息を一つ。

⚪️いちご同盟

著者 三田誠広

【内容紹介】
 中学三年生の良一は、同級生の野球部のエース・徹也を通じて、重症の腫瘍で入院中の少女・直美を知る。徹也は対抗試合に全力を尽くして直美を力づけ、良一もよい話し相手になって彼女を慰める。ある日、直美が突然良一に言った。「あたしと、心中しない?」ガラス細工のように繊細な少年の日の恋愛と友情、生と死をリリカルに描いた長篇。

裏表紙より

【感想】
 タイトルから青春ラブコメのような
 話を想像していましたが、もっと心の端っこのデリケートな部分を刺激してくる物語でした。
 だいぶ昔のことなのではっきり覚えていないけれど、勉強はそっちのけで毎日遊ぶことに夢中だった中学時代の自分にも、未来への不安とか、何者にもなれない自分への苛立ち、そして漠然とした「死」への憧れみたいなものが確かにあったことを思い出して懐かしい気持ちになりました。
 刊行は1990年ですがまったく古さを感じないのは、それだけ普遍的なテーマを扱っているということなのでしょう。

⚪️きのうの影踏み

著者 辻村深月

【内容紹介】
 小学生のころにはやった嫌いな人を消せるおまじない、電車の中であの女の子に出会ってから次々と奇妙な現象が始まり…、虫だと思って殺したら虫ではなかった!?幼い息子が繰り返し口にする謎のことば「だまだまマーク」って?横断歩道で事故が続くのはそこにいる女の子の霊が原因?日常に忍び寄る少しの違和感や背筋の凍る恐怖譚から、温かさが残る救済の物語まで、著者の“怖くて好きなもの”を詰め込んだ多彩な魂の怪異集。

裏表紙より

【収録作品】
十円参り
手紙の主
丘の上
殺したもの
スイッチ
私の町の占い師
やみあかご
だまだまマーク
マルとバツ
ナマハゲと私
タイムリミット
噂地図
七つのカップ

【感想】
 こう見えても、…ってコレを読んでいる人は私のことは見えないわけですが、私はホラーとかスプラッターとか、バイオレンスといった生々しいというかおどろおどろしいのは苦手なんです。なにせ子供の頃、毎年この時期に放送されていた「あなたの知らない世界」も観られなかったくらいですから。
 この本は辻村さんのホラー短編集ですが、血がドバッと出るとか、ゾンビがグワっと襲ってくるような物語ではなく、もっと身近にありそうでなさそうな「恐怖」を集めた短編集でした。
 一番ゾワっとしたのは〝ナマハゲと私〟そして〝タイムリミット〟。
 何よりも怖いのは人の噂、そして人間自身。

⚪️空想科学読本
 3分間で地球を守れ!?

著者 柳田理科雄

【内容紹介】
 マンガやアニメ、特撮映画などで描かれる設定やエピソードは、科学的にどこまで正しいのだろうか?初刊行から20年、累計500万部突破のベストセラー『空想科学読本』シリーズから、原稿31本を厳選、全面改訂して収録する。本書で検証するのは『ウルトラマン』『ONE PIECE』『名探偵コナン』『シン・ゴジラ』『おそ松さん』など、世代を超えて愛される作品の数々。爆笑の果てに、人間が描いた夢の世界の素晴らしさが見えてくる!

裏表紙より

【感想】
 アニメや特撮などの設定を科学的に、しかも真面目に検証したら…!?という本。
 ロマンがないとか馬鹿馬鹿しいと思う人もいるかもしれませんが、この手の本は肩の力を抜いて、何も考えずに読めるので息抜きとしては最高。
 タイトルに「科学」と書いてはあるけれど、物理だ化学式だなどとこだわっているわけではなく、おそ松さん家の教育費や生活費の計算や、コナンくんが殺人事件に巻き込まれる確率、ネロはどうすれば幸せになれたのかなど様々。
 一番好きなのは、ウルトラマンが3分間で実際に活動できる範囲の話と、怪獣や怪人の弱点の話。これはもう大爆笑!

⚪️弱虫でいいんだよ

著者 辻信一

【内容紹介】
 「強い」のは良いこと、「弱い」のは悪いこと、とされているけれど、本当だろうか?生物に優劣がつけられないように、強弱も絶対ではないことを心に留めて、「弱さ」について考えてみよう。

裏表紙より

【感想】
 著者の本は2冊目。以前読んだ〝ゆっくりでいいんだよ〟は、主にスローライフについて書かれていて、読んだ当時はとにかく仕事に追いまくられていたので、とても心に響いたことを今でもはっきり覚えています。
 この本は「弱い」「強い」とはどういうことか、「弱い」ことは悪いことなのかについて、著者の知見と様々な文献や物語の一文を引用しながら丁寧に説明してくれている本です。
 特にアメリカ先住民の言い伝え

「最後の木を切り倒す時、最後の川を汚す時、最後の魚を食べる時、人間はやっとわかるだろう。お金は食べられないということが」

本文より

が強く心に残ります。

【まとまらないまとまらない】

 いかがでしたか?
 7月も第3週。
 夏の文庫フェア縛りもそろそろ最終コーナー。
 読みたい本はまだまだたくさんあるけれど、財布の方がそれを許してくれないと言う現実。
 今週読んだ本を振り返ってみると、十代前半の青春から五十代の悩みまで、実に幅広い年代の心の揺らぎに触れることができました。

 次はどの世代のどんな物語を体感できるかな。

最後に、
 読書っていいよね。


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