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【読書記録】2023年2月12日〜18日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 では、早速。

【2023年2月12日〜18日に読んだ本】

●乙一 短編(角川スニーカー文庫)3冊

 以前〝ZOO〟を読んでからしばらく手をつけずにいた乙一さんの作品。きっかけは忘れてしまいましたが、先日読んだ短編集〝失はれる物語〟がとても心に残って、今回初期作品をまとめて読んでみました。
 …ということで、〝失はれる物語〟に収録されていない物語について少しだけ書きます。

●さみしさの周波数
【収録作品】
 未来予報
 手を握る泥棒の物語
 フィルムの中の少女
 失はれた物語

【感想】
 〝未来予報〟は予知でも予想でもなく予報。この「予報」という言葉がなるほどしっくりきます。
 主人公の親友・古寺が言った「おまえたち二人、どちらかが死ななければ、いつか結婚するぜ」。この言葉を意識しすぎなければ、あの二人は幸せな未来を迎えられたんだろうか。
 〝フィルム〜〟は一人語りの形式で描かれるオカルトというかホラーというかミステリー。一人語りという形式が、より想像力を掻き立ててくれます。
 最後の最後まで展開が読めず、ドキドキが止まりませんでした。

◎心に残ったフレーズ

「自分の人生を他の人と比べる必要はないよ」
本文より

●きみにしか聞こえない
【収録作品】
 Colling you
 傷-KIZ/KIDS
 華歌

【感想】
 〝華歌〟は。かなり切ないファンタジー+ミステリーでした。
 今までミステリーはあまり読んでこなかったので、読了後「なるほどこういうスタイルのミステリーを『○○OOoO』というのか」と、関心というか納得しました。というかそれがわかると物語の味わいがまったく違うものになってきますね。
 時代設定とかには触れられていませんが、文章の感じから大正末期から昭和初期が連想される物語でした。

◎心に残ったフレーズ

「沈黙という騒音は、ゆっくりと心を蝕む」
本文より

●失踪HOLIDAY
【収録作品】
 しあわせは子猫のかたち
 失踪HOLIDAY

【感想】
 〝失踪HOLIDAY〟はなんというか中2女子が、義理の父親の関心を引くために家出をし、自分自身の誘拐事件をでっち上げる話で、やりとりが軽快なのであまり暗さは感じないけれど、やっぱり主人公・ナオは母親が死んでからずっと寂しかったんだろうと思います。
 それにしても、自作自演の誘拐事件があんなふうに展開するとは…。

 蛇足ですが、物語の後にある、あとがきについて書いた「あとがき」がかなり面白くて、強く印象に残っています。。

●あしたの君へ

著者 柚月裕子
【内容紹介】
 家庭裁判所調査官補として研修の間、九州の福森家裁に配属された望月大地。そこでは窃盗を犯した少女、ストーカー事案で逮捕された高校生や親権を争う夫婦とその息子など、心を開かない相談者たちを相手に、懊悩する日々を送ることに…。大地はそれぞれの真実に辿り着き、一人前の家裁調査官となれるのか!?
裏業士より

【収録作品】
 背負う者
 抱かれる者
 縋る者
 責める者
 迷う者

【感想】
 この本はfuyuさんの記事を読ませていただいて興味が湧き手に取りました。
 この物語の主人公・望月大地は家庭裁判所調査官になるために研修中の身。この時点では家庭裁判所調査官補というのだそうです。
 仕事を始めた頃、そして壁にぶち当たった時に襲ってくる「自分はこの仕事に向いているんだろうか?」という気持ち。時に心が折れそうになりますが、こういう気持ちでいられるうちは多分、まだその仕事を続けられるんだろうと思います。

 家庭裁判所の話なので血生臭い凶悪犯罪の話はないものの、少年犯罪、離婚調停、子供の親権争い、ストーカー事件など、より身近な事件を扱っているだけにリアリティを感じます。
 是非、その後の大地の活躍も読んでみたい、シリーズ化してほしい物語です。

●虐殺器官

著者 伊藤計画
【内容紹介】
 9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?ゼロ年代最高のフィクション、ついに文庫化。
裏表紙より

【感想】
 SFの名作を探しているとしばしば登場する本書。意を決して手に取ってみるも、なかなかの難解さに、途中で挫折しそうになりました。
 近未来の設定なので、SF的な技術や道具がたくさん登場して、オヤジの貧困な想像力を軽く飛び越えていくので、是非アニメによる補完が必要。
 結局のところ大国の論理に振り回される世界という構図は変わらないのか。

◎心に残ったフレーズ

「感情とは価値判断のショートカットだ」
本文より

●犯罪者 上

著者 太田愛
【内容紹介】
 白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で奇妙な男から「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と警告される。その直後、謎の暗殺者に襲撃される修司。なぜ自分は10日以内に殺されなければならないのか。はみだし刑事・相馬によって命を救われた修司は、相馬の友人で博覧強記の男・鑓水と3人で、暗殺者に追われながら事件の真相を追う。
裏表紙より

【感想】
 コレはスゴい!
 読み始めからぐいぐい引き込まれます。
 はみ出しものの刑事・相馬、元テレビマンの鑓水、そして土木作業員で通り魔事件の生き残り・繁藤の3人がたどり着く事件の真相とは?!
 約530ページの長編ですが、上巻、つまりこれでまだ半分。しかも次から次へと話が展開し、その度にブンブン心が振り回されるので、まったく長さを感じませんでした。
 無差別通り魔事件から始まる物語は、幼児に発生するメルトフェイス症候群なる奇病、大手食品会社の食品偽装と廃棄物の不法投棄問題、黒幕と思われる政治家の暗躍、通り魔事件の生き残りを追いかける殺し屋の存在など盛りだくさんで、上巻読了の時点では全く先が見えません。

●数え方でみがく日本語

著者 飯田朝子
【内容紹介】
 なぜチャンスは一回ではなく一度?どれくらい細いものから一本と数える?学年「一個上」は正しい?雑学ではなく、数え方を通して日本語のものの捉え方を知る本。
裏表紙より

【感想】
 この本は簡単そうで難しい「ものの数え方」の意味や違い、使い方などをわかりやすく丁寧に解説してくれます。
 ものの数え方というと、クイズ番組などで「タンスは何と数えますか?」みたいな、雑学的な扱いをされることが多い気がしますが、著者は本書の中で、

「数え方は雑学ではなく、ものの捉え方の体系である」
本文より

と語っています。
 なるほど確かに、数え方の中には実に様々な情報が含まれていますね。例えば犬は、「匹」と「頭」という数え方をしますが、確かにこれで大体の大きさが想像できます。
 だから間違った数え方をしている人には違和感を感じるんですね。
 なるほど。

【まとまらないまとめ】

 …ということで、新旧取り混ぜて今回も節操がないラインナップになりました。
 一番心に残ったのは、なんと言っても太田愛さんの〝犯罪者〟。実はこの記事を書いている時点ですでに下巻を読み終えているのですが、それについてはまた来週。
 この勢いで、続編というかシリーズ作品に当たる〝幻夏〟そして〝天上の葦〟も読みます!

 最期に
 読書っていいよね。



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