4.25平和新聞を読んで

日本平和委員会が毎月、5日、15日、25日に発行している機関紙、平和新聞。
その4月25日号の紹介。

巻頭特集は『平和を破壊 米戦略と一体化 露骨な従属的軍事同盟へ』

4月10日の岸田・バイデン共同声明を受けて、日米安保における指揮統制機能の強化をうたう発言がなされたことや大軍拡に向かう姿勢を批判しています。

筆者としては、日米作戦指揮の一体化は指揮の統一の確保や軍事的合理性への配慮から不可避であると思える。
そのような中で、日本政府は、一体化はされず、日本は独自の指揮命令系統を保持するとの説明をしている。
しかし、これは現実的には無理のある、結論ありきの説明であると思うところ。
共同作戦が万一行われた場合、それがいかなる形で進められたかの検証も行われる必要があろうが、隠蔽されそうなのが正直な感想だ。

日米同盟強化の内容

共同声明で語られた日米同盟強化の着目点として、平和新聞は、

  • 米軍・自衛隊の指揮統制の枠組み強化

  • 日本が米英豪の枠組み「AUKUS(オーカス)」への軍事協力を行う

  • 武器の共同開発・生産の拡大

の3点を上げています。

指揮統制機能の枠組み強化については、有事における米軍の作戦指揮機能の統合、すなわち米軍が自衛隊の戦時作戦統制権を握る形にしようとしている旨が述べられている。
その際、日本は統合作戦司令部を2025年3月までに創設する方針であるが、これと在日米軍司令部との作戦指揮機能の統合を進めようとしているとのこと。
これによって、自衛隊が米軍の主導する作戦に組み込まれていくだろう、としている。

AUKUSへの軍事協力については、日米豪の環太平洋の3カ国間で防空ミサイル防衛システム構を目指しているとのこと。
それは単にミサイルを迎撃するためのシステムではなく、ミサイルの脅威を無力化するための敵基地攻撃作戦も含まれる。
中国へのミサイルを意識してのことであるが、この場合、米軍の作戦統制下でミサイル戦が行われるとはいえ、日本はそのの前線に立たされることになるだろう、とのことである。

武器の共同開発・生産の拡大については、日米防衛産業間協力の深化として、日米防衛産業政策の統合すなわち米国による日本の産業基盤の軍事利用の推進をうたっている。
技術分野での中国の覇権に対抗することが狙いのようである。
また、経済安保版秘密保護法の制定もこのことと関連しているとのことである。
今後、産業・研究面でも対米従属化は進んでいく見通しだ。

結語

以上、軍事および、軍事産業・研究における米国への従属が着々と進行していることを見てきた。
今までの日本の政治体制が完全に米国から独立していたとは言い難く、密約や貿易摩擦なども含め時々に翻弄などされてきたことはあったが、首脳同士の今回の共同声明発表は目に見える形で推進しようとしているところに本気度が伺えてろくでもない。

このような日米関係の深化に対して、単に憲法を守れとするだけで対抗できるのか、は大いに考える余地がある。
実際、護憲や日米同盟に批判的な市民の勢力は徐々に少なくなりつつあるのも気がかりだ。

いかに対抗するかについて、新聞のようなジャーナリズム的視点以外にも指揮統制の内実について理解を深めていく必要があるように思われる。


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