金の亡者。
ぼろぼろになった絵画やお城を修復している人はこんな気持ちなんだろうかなどと考えながら、自分のブログの過去の記事を振り返っていました。
ぼくのブログは「ぼろぼろになった絵画やお城」どころか、もう焼け落ちて修復不可能となり更地にされた「跡地」のようなものです。
かつては月に十二万ほどあったアクセス数は、いまや数千にまで落ち込み、それにともなって収益も減りました。
ひきこもりニートであるぼくにとって、ブログの収益は文字通りの生命線です。いまのまま親が死にでもしたら、ぼくは生きていくことができません。
まさしく現金な話ですが、収入のない状態に陥ると、頭の中は「金・金・金!」とお金のことでいっぱいになります。
よく、大金持ちの人のことを「金の亡者だ!」なんて批判する人がいます。しかしそれは大間違い。真の金の亡者は生活に困窮した貧民です。
どうすればブログを修復し、再建することができるだろうと、ミジンコ・サイズの脳みそでもって考えながら、だらだらと過去の記事を振り返っていました。
すると、古い記事に残された数年前のコメントが目に付きました。
『良い記事ですね』
『共感しました』
『面白い文章を書きますね』
『応援しています』
『こっそり見ていました』
などなど、たまぁに批判的なコメントもありましたが、概ねありがたい言葉の数々が……。
これらのコメントを残していってくれた方が、いまでもぼくのブログを読んでいるかといったら、それは分かりません。
しかし、少なくともそのときは、ぼくの書いた記事を読むだけでなく、わざわざコメントを書いてくれたのです。
そしてぼくは、その心のこもったコメントのほとんどを忘れていました。
ひょっとするとコメントを書いた人だって、もうぼくのブログにコメントを残したことを忘れているかもしれません。
しかし、ぼくからすれば読者は「お客さん」です。そう簡単に忘れてしまってはいけませんよね。
そのことに気づき、ぼくはゾッとしました。
生きる糧がなくなり、金の亡者へと変貌すると、頭の中が「金・金・金!」とお金ばかりになってしまいます。
確かにお金を稼ぐことは大事ですが、ブログなら読者、つまり「人」が、画面の向こうにはいるはずです。
忘れないようにしよう。
余裕がなくても、お金に目がくらんでも。
ブログ:tanoblo.com
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