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コラム♯4:9か月ぶりに手にした勝利の重さ~フットサル関西リーグ2部・マッチリポート~

リズミカルなパス回しの最中に試合が止まった。

審判の笛が鳴った訳ではない。4-2で進んでいた後半3分に体育館内の照明が突然、消えたのだ。

館内が騒めく。選手たちも立ち尽くし、観客席にいた僕もフットサル観戦で初めての経験だった。雨のせいか、機材のトラブルかは不明だが、復旧までに10分以上中断した。

「これで流れが変わらないか」。バディフットサルクラブのエース・濵口は待機中に込み上げては消える不安と向き合っていた。

6月15日に行われたフットサル関西リーグ(2部)のバディフットサルクラブ(以下バディ) VS ドントハフトゥ(以下ドント)。奈良県のクラブ同士が2節でぶつかった。

バディは昨シーズン関西1部の最下位に沈み、2部に降格した。2部開幕戦も1-3で負けて迎えた。

対するドントは、昨シーズン奈良県リーグ1部を圧勝で制し、関西チャレンジリーグも勝ち抜き、関西2部に昇格した。開幕戦は13-0で快勝し、勢いに乗っていた。

前半の中終盤まではバディが濵口のハットトリック、尾崎の得点でペースをつかみ4-1としたが、前半17分半にドントの羽鳥がサイドでの華麗なドリブル突破からゴールを奪い、4-2で折り返していた。

ようやく照明が回復した。体育館の外は急速に雨脚が強くなり始め、その後の試合展開を暗示するようだった。

後半6分にバディの赤木がゴレイロとの1対1を冷静に流し込んだが、8分にドントの吉田がセットプレーから得点、9分にドントの本庄が数的優位から加点した。

5-4。ドントが一気に息を吹き返し、流れはバディからドントに移ったかにみえた。

ゲームはさらに加速する。キックオフの9秒後にバディの尾崎、4分後に再び尾崎がゴール前の跳ね返りをダイレクトで押し込んだ。昨シーズンからバディに加わった若手が流れを再度引き寄せた。

ドントも後半13分から、得意とするパワープレーに出たが、バディのゴレイロ・二神がゴールを許さない。

7-4でバディが今シーズンの初勝利をつかんだ。関西1部で手にした昨年9月以来、9か月ぶりのリーグ戦勝利だった。

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「ドントがパワープレーを開始した際に、2点差でなく、3点差だったことが精神的にも大きかった」とバディの選手たち。久々の勝利に安堵や喜びを隠さなかった。

県リーグと比べると、確かなレベルの違いを感じさせてくれる関西リーグ2部。だが試合を見守ったのは約100人で少し寂しく思った。

神戸大学、パスドゥーロ田辺、セットスター和歌山、シュバルツ、サンスユニック、ジプシー。2部も1部同様に実力が拮抗して面白い。会場で熱戦を見守ってほしい。

勝ちに飢えた選手たちが、22日もしのぎを削る。

(了、本文中敬称略)

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