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寄稿♯15:学生の力で発展途上のフットサル界を変える~4回目を迎えた同神戦に込める想い~

こんにちは!今回は11月16日に兵庫県西宮市で開催されたフットサルの「同神戦」についてです。

「同」は関西リーグ1部所属の同志社大学、「神」は関西リーグ2部の神戸大学で、大学フットサル界を牽引してきた「西の雄」2校が激突しました。

現地で取材したかったのですが仕事の予定があり、神戸大学の選手に寄稿をお願いしていました。

筆者紹介

大北正志(おおきた・まさし)

1996年生まれ、大阪府出身。神戸大学4年、サッカー歴10年を経て神大フットサル部に入部。運営委員として第2回〜第4回同神戦を企画・運営した。ポジションはアラ、高い守備力と戦術眼、驚異的なスタミナが特徴。関西学生選抜(2018)、兵庫県選抜(18、19)メンバー

神戸大学と同志社大学でフットサルの魅力を発信

皆様はじめまして。神戸大学フットサル部4年で「同神戦係」の大北です。運営委員として第2~4回の同神戦の企画・運営に携わりました。「そもそも同神戦って何?」という方が多いと思うことから、まず簡単に説明させてもらいます。

「大学フットサルの持つ可能性の追求」

壮大なタイトルで始めてしまいましたが(笑)、この言葉なくして同神戦は語れません。この言葉は神戸大学フットサル部が掲げる理念の冒頭部分で、理念のもと、日々活動しています。

現在、エンジョイフットサルが広がり、世間ではフットサル自体の認知度は一定程度あるでしょう。しかし、競技フットサルに身を置いている方々ならご存知の通り、競技としてのフットサルは間違いなくマイナースポーツです。日本のトップリーグであるFリーグを観戦したことがある人はそれを明確に感じたことがあるのではないでしょうか。

Fリーグの競技レベルが低いと言っているのではありません。好カードであっても目立つ空席。競技レベルは抜群に高いのに、盛り上がらない会場周辺とチームの地域。今年6月のU-20アジア選手権優勝のニュースの認知度は、世間では本当に低かったのではないでしょうか。

競技フットサルは、スピーディーな試合展開の中に選手同士の激しいぶつかり合いやボールを扱うテクニックがみられます。得点も多すぎず、少なすぎず、ルールも複雑すぎることはなく、「観る」スポーツとして、これ以上にないポテンシャルを持っていると僕は思います。しかし、知られていない。悔しいですよね。競技フットサルの現状に一石を投じたい。その想いこそが「大学フットサルの持つ可能性の追求」です。

神戸大学フットサル部は創部以来、大学フットサルの先駆者としての「誇り」と、それに伴う大きな「責任」を持って活動しています。ただの1フットサルチームという存在以上の使命感を持っています。僕たち部員も、日常の多くをフットサルに懸け、全力でフットサルと向き合っているからこそ、フットサルが注目されていない現状を改善したい想いに駆られていました。

このフットサルを取り巻く現状に対し、大学フットサルの立場から貢献出来ることはないだろうか。自分達の活動でフットサル界を活性化出来ないだろうか。競技フットサルの魅力を発信する機会を創り出せないだろうか。

そうした想いが、共に関西地域の大学フットサルを牽引する同志社大学フットサルクラブTREBOL様と合致し、エキシビジョンマッチではありますが、両者のプライドをかけて戦う「同神戦」という形となりました。そして2016年4月、記念すべき第1回同神戦が開催されました。

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過去3回は両者譲らず1勝1分1敗

第1回の会場は、京都府八幡市民体育館でした。両大学の考えが一致して意気込んで開催した同神戦ですが、部員以外の観客は10人程度と、集客に非常に大きな課題を感じる、ほろ苦い初開催となりました。集客活動といえば、Twitterで直前に行われた試合情報を載せただけの告知と大学内での小規模な告知のみにとどまりました。

観客席は閑散としてしまいましたが、試合内容は激戦。前半神戸が3点先取するも、前半のうちに同志社が3点返すアツい試合展開に。後半は両者に得点が生まれましたが、最後は神戸が突き放す展開となり、5-3。記念すべき第1回は、神戸大学の勝利で幕を閉じました。


第2回の会場は京都市の島津アリーナ。前回の反省を生かし、SNSでの広報活動に力を入れて取り組みました。Twitterで注目選手紹介、ポスター画像作成、カウントダウン企画、OBコメントなど、常に情報を発信し続け、同神戦を印象付けようと試みました。また大学内でのチラシ配りも行い、告知に力を入れました。

試合前にフットサルクリニックを行い、小・中学生に来てもらう案もありましたが、体育館の都合上断念。思うようにいかない点もありましたが、SNSでの告知の成果もあり当日約70人の集客がありました。試合結果は2-2の引き分け。前後半に1点ずつ入れ、互いに譲らずドロー。通算成績を神戸大学の1勝1分けとします。


第3回の会場は神戸市のグリーンアリーナ神戸。第3回は僕がメインの運営委員として関わった回で、形式が大きく変わります。集客試合であるのに、観客数が少ないのが1番の課題でした。課題を改善するために、同神戦に付加価値をつけることで集客に繋げようとしました。

同時に観客席のある試合会場を確保することに苦労していました。これらの理由から、Fリーグ(2部)に所属する「デウソン神戸」様に依頼して前座試合を開催させてもらうという案が出てきました。そして企画書を作って持ち込み、担当者様と数回打ち合わせを行い、開催に至りました。

デウソン神戸様と神戸大学フットサル部のコラボポスターの作成、選手同士の対談も行い、Fリーグと大学フットサルを繋ぐことができ、「同神戦も育ってきたなぁ」と当時は1人で感慨にふけっていました。また、選手1人1人にチケットを配ってもらう形で集客をしたので、選手自身に当事者意識が生まれ、集客に全力で取り組んでくれました。

僕も選手たちにノルマを課し、ハッパをかけまくりました(笑)。その甲斐もあって、観客数は109人となり、3桁に到達することが出来ました。また新たな取り組みとして、神戸大学のダンスサークルに依頼して、ハーフタイムショーを実施し、同神戦の見所を増やすことも行いました。

会場を大いに盛り上げてくれ、観客の皆さんに楽しんでもらうことが出来ました。このように多くの方のご協力のもと、様々な施策を打って同神戦を盛り上げ、無事終了。普段は試合をする側ですが、試合を創る側もほんとに大変なんだと身をもって実感しました。

さて試合結果はというと、9-2。神大がまさかの大敗を喫します。ホームだっただけに神戸は勝ちたかったですが、同志社の質の高い攻撃になすすべなく大量失点となりました。

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今年は同志社が接戦を制する

第4回の会場は兵庫県立総合体育館。今回の同神戦は様々な繋がりを感じた回となりました。集客人数は153人で、前年から44人増加。前回同様、デウソン神戸様のご協力のもと前座試合として開催することができ、そして今回はFリーグ公式戦後に後座試合で女子ハンドボールがあるというレアなケースでした。

また、デウソン神戸様が僕らの企画に非常に理解があり、様々なチャレンジをさせて頂きました。神戸大学フットサル部のスポンサー様のブースや神戸大学農学部サークルのブースを会場に出店することができ、また試合の合間にも神戸大学のダブルダッチサークルによるパフォーマンスや、8人9脚の同神対決を行わせていただきました。

神戸大学応援団も駆けつけてくれました。元々フットサルに関わる機会がなかった方々を多く巻き込みながら、同神戦を作り上げることが出来ました。加えて告知段階では、同志社大学と協力し、SNS上で選手対談、マネージャー対談、有名フットサラーインタビュー、組み合わせられる告知画像など新たな取り組みと共に情報発信を行い、反響も大きかったです。本当に沢山の方々のご協力を感じることが出来ました。頭が上がりません。ありがとうございました。

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試合を振り返ると、立ち上がりは完全に同志社ペース。開始2分に辻(♯11)の得点から始まり、津田(♯99)の反転シュート、カウンターからの米澤(♯60)の得点で3得点。昨年度の同志社圧勝の再現を予感させました。

立ち上がりから全く流れを掴めなかった神戸大学ですが、前半のうちに息を吹き返します。前半残り4分、トップチームに昇格して間もない大沢(♯32)がロングボールに反応して1点を返します。そして後半、フットサルの見所である攻守の入れ替わりが多く見られる展開の早いゲームとなりました。

先手を打ったのは神戸大学。後半開始1分、樋口(♯27)がCKからのボールを強烈な左足ボレーで突き刺しました。これで3-2とします。しかしその3分後、同志社大学も牧角(♯10)がカウンターから得点を奪い2点差とし、神戸大学の追撃を避けます。ところが神戸大学が8秒後、注目の山上(♯99)が得点し、4-3。さらに、30秒後、先程得点した山上からのパスを樋口がゴールに沈めて4-4、一時は3点差のあった試合を同点とした。

一気に神戸大学が流れを掴んだかにみえたが、この後、同志社の力強さがみられた。加藤(♯77)と、キャプテン岡崎(♯8)の2得点で再び神戸大学を突き放した。追い上げられても動じない同志社。神戸大学は残り時間3分半、先制点を挙げた大沢のゴールで1点を返すが、ここで試合終了。

神戸大学は怪我人、強化指定選手欠場の影響で、経験値の低い選手が多く出場。慣れないセットでの戦いを余儀なくされたことが前半立ち上がりの失点の原因となりました。不用意なミスが目立ち、プレー強度も低かった。しかし、その後の修正力は見事で、得点をキッカケに前半と後半でまるで別チームのように改善されました。

同志社大学はベストメンバーが揃った。組織化された戦術の中に個人能力の高さが見られる完成されたチームであり、試合を通して力強さがみられた。フィクソの岡崎、ピヴォの津田、アラの牧角ら各ポジションの優れた選手の活躍が光った。後半、神戸大学に連続失点を許し流れ持っていかれそうになったが、再び突き放す得点力は圧巻だった。

神戸大学は前半の立ち上がりは反省の余地があるものの、新戦力の活躍と3点差を追いついた明るい材料を手に入れることが出来た。一方同志社も、得点力と多くの得点パターンをもつことを再確認でき、そして接戦をものにした自信も手に入れた試合となりました。

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学生の力でフットサル界を変える

同神戦の詳細についてかなり熱く語ってきましたが、また少しスケールの大きい話に戻します。冒頭に、フットサルの現状をお話ししました。果たしてフットサルは、このままマイナースポーツのままなのでしょうか。世間に競技フットサルの魅力が伝わらず、内輪だけでしか盛り上がれないスポーツとしてあり続けるのでしょうか。大学でフットサルに出会い、その魅力にどハマりした僕は嫌です。

神戸大学フットサル部も同志社大学フットサルクラブTREBOL様も、競技フットサルが普及することを望んでいます。フットサル関係者の方がこの文章を読み、「そんな簡単にフットサル界が変われば苦労しない」と感じる方もたくさんいらっしゃるでしょう。その通りです。全くもって簡単ではありません。身にしみて感じています。でも、いや、だからこそ、この活動を続けていく意義があります。

大学フットサルというカテゴリーは、フットサル界全体からみれば小さなカテゴリーに見られがちです。しかし、僕はそうは思いません。多くの選手が、大学入学時にフットサルを始め、卒業とともにフットサルをやめる。期間が短いからこそ濃く、強く、眩しく輝いている選手たちが沢山います。

また、組織体制の面でも大きな可能性を有しています。体育会の部活であれば、大学がチームの運営母体なので、地域性と信頼性を備えています。これは社会人チームが得ようとしても、なかなか得れるものではないでしょう。大学のフットサルチームにしかない強力な後ろ盾があるのです。

この恵まれた環境の下、限られた時間を全力で取り組む選手達の成果によって、大学フットサルがフットサル界全体を引っ張るようなことが数年後に起こっているかもしれません。その時、それらの活動の先頭を担うのが、この同神戦だと僕は信じています。同神戦は今後、より進化していくでしょう。楽しみにしていてください。

最後に、大学フットサルに所属する学生に向けてメッセージです。僕たちの考え、行動がフットサル界を大きく前進させます。競技レベルの向上に努めるのは言わずもがなです。スポーツは勝利のためにするものですから。各々の地域の学生リーグやインカレでバチバチにしのぎを削り合いましょう。

ただ、同時にフットサル界に寄与する活動も行いませんか。自分たちが大学生活を懸けて取り組む競技フットサルの魅力を、周りに伝える機会を作りませんか。どんなに小さな事からでもいいんです。その小さな活動が、フットサル界に大きな変化をもたらします。

学生の力でフットサル界を変える。どうでしょう。ワクワクしてきませんか?

(了)

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