見出し画像

中川翔子のNHKレギュラー番組に、木根尚登がゲスト出演!(前編)

 9月30日にNHK-FMで放送された番組・アニソンアカデミーを聴いた。
 中川翔子が生徒会長、あべあきらが生徒会書記という肩書をつけての出演となっているのが、番組のユニークな点。このレギュラー2人が送るアニソン番組に、TM NETWORKの木根尚登がゲスト出演した。

 書記のあべあきらは、木根尚登が坂崎幸之助(THE ALFEE)と一緒に演奏している映像を見た、と言っていた。がくや姫というユニットのことである。
木根尚登は「一時期、活動してました」と答えていた。

 木根尚登は、まず番組に招かれたことへの感謝の意を示した。アニソン番組への出演経験はあるのかという質問には、「何度かあります。そんなに詳しくはないんですけど…」と、やや不安が見え隠れする回答をしていた。出演するからには、アニソン全般に詳しくあるべきだとは、筆者は思わない。TM NETWORKのツアー中で忙しい中、こうして露出を増やしてくれるのは嬉しい限りだ。アニソンの何から何まで知っているわけではなくとも、気にすることはない。伝説のアニソン・ヒット『Get Wild』のオリジナル・アーティストである、TM NETWORKのメンバーがスタジオに来てくれるのだ。こんな特別な機会は、そうそうあるものではない。もっと大きく構えて出てきても、まったく問題ないと思う。

 会長の中川翔子はシティーハンターが大好きで、今回の木根尚登の出演も、心から楽しみにしていたことを打ち明ける。彼女が二十歳ぐらいのとき、俳優の寺脇康文・TM NETWORKの宇都宮隆と一緒に食事に行ったことがあるが、何を話していいのか分からないまま時が過ぎていったという体験談を聞かせた。これを聞いた木根尚登は、きっと寺脇康文の方から声をかけたのだろうと言っていた。彼と宇都宮隆は現在でも仲が良いそうだ。

 木根尚登は、かつて自分のレギュラー番組に吉田拓郎が出演したときのことを振り返った。たしか吉田拓郎が「LOVE LOVEあいしてる」をやっていた頃だろうかと、記憶の糸を辿りながら話していた。そのときいただいたサインは宝物だという。
 今となっては、木根尚登の方がサインを書く側の立場で、業界で活躍するプロの中でもTM NETWORKのサインをありがたがっている例はいくつもある。今年公開された、劇場版アイドリッシュセブン。こちらに音楽で係わったShinnosukeも、その中のひとりだ。彼は5月10日にEX THEATER ROPPONGIで開催された、NORI presents GROOVE 2023で木根尚登と共演した。このときに木根尚登がサインに応じてくれたそうだ。現在の音楽シーンで活躍するミュージシャンからサインを求められる存在の木根尚登にも、憧れの的となる人物がいるのは興味深い。

 木根尚登は学生時代の音楽活動を振り返る。15歳の、中学を卒業して高校に入学する前の時期。あの中学生でも高校生でもない、縛りから解放されたのびのびと自由を満喫できるときに、ひとりでオーディションを受けていたという。だが、良い結果は得られず、ソロ・アーティストは諦める。そこで「顔と声の良いやつと組もう!」と思い立ち、小学4年からのつきあいである、近しい存在の宇都宮隆を誘って活動することにした。

 やがて自分と宇都宮隆を含むバンドが、デビューまでこぎつけるもののヒットには至らず、バンドは解散。このバンドに途中加入した小室哲哉と新たに3人組を結成して再起を図ることになる。これがTM NETWORKの始まりだ。ドラムとベースは不在。そのときどきでサポート・ミュージシャンに入ってもらうというスタイルは、当時は斬新だった。
 シンセサイザーを駆使した小室哲哉の作風は、以前のバンドとはまるで違う。自分のルーツでもあるフォークからの急激な音楽性の変化に、不安はなかったのかという質問をされていた木根尚登。これには「どこまでついていけるか頑張ろう!」という意気込みを持っていたと答えた。
 また、周囲が自分の居場所を作ってくれた、とも言う。シングルとして表に出ていく曲は、ほとんど小室哲哉のものだが、アルバムでは必ず木根尚登作曲のバラードが収録される。メディア出演の際に制作の話になると、小室哲哉は「バラードは木根が書いています」と、作曲は2人でしていることを知ってもらえるような応答をしていた。1曲を2人で完成させる、合作(今風に言うとコライト)の楽曲もいくつもある。

 TM NETWORKがデビューして間もない、ヒットに恵まれず苦労していた頃の話もあった。中川翔子にとっては、あのTM NETWORKにそんな時代があったことすら意外に思えたようだ。『Get Wild』が10枚目のシングルにして、ようやくユニットに日の目が当たったことには、かなりの驚きようだった。ここで、中川翔子の父親・中川勝彦も話題に上る。TM NETWORKと中川勝彦が同じ現場に居合わせることが何度かあり、TM NETWORKのメンバー3人とも、中川勝彦のことはよく覚えていていると、木根尚登は言った。これを聞いた中川翔子は感激していた。イベントのチラシに父とTMの名前が一緒に載っているのを見てはいたものの、イマイチ実感に乏しかったところが、今回の番組でメンバー本人から話を聞いて、確信に変わったのではないだろうか。

 コアなFANKSの間ではよく知られている、『Get Wild』イントロ誕生のエピソードも、ここで語られる。もちろん楽曲もオンエアされた。小室哲哉作曲の、「アスファルトタイヤを切りつける」歌を聴いていくうちに、中川翔子は、免許センターで小室哲哉と遭遇したことをふと思い出し、「免許の更新かなにかだったんですかね~」と言っていた。この奇遇な出来事に「こんな偶然なかなかない。なにか持ってるよ!」と、木根尚登は言った。

(後編へ続く)

関連記事


関連ポスト