見出し画像

ナポステの感想とか

はじめに

 2021年7月8日(木)~同年7月19日(月)までヒューリックホール東京(有楽町)にて、ナポリの男たちch特別回「舞台・ナポリの男たち」通称“ナポステ”が開演された。
 私は千秋楽である7月19日の最終回に行き、情緒がガタガタに崩れることになったのでその感想を記そうと思う。最初は「ここが好きだった」とか「こういうところあったよ」とかを詳しく書こうと思っていたんだけど、最終日最終回はweb観劇も可能で7月26(月)まではアーカイブ視聴もできる。なので細かいところは見ればわかる。ということで舞台化にあたり思ったことや感じたことを中心にまとめていきたい。

舞台化発表

 まず“ナポリの男たち”とは?というところから進めていこう。

 ニコニコ生放送(有料)とYouTubeを拠点に活動するゲーム実況グループ。正直あまりゲーム実況動画は上げないし、生放送は週に一回行われるが内容は雑談またはゲームとは関係がない企画が多くてゲーム実況グループとは? と思うことは多々あれど、彼らは歴としたゲーム実況者である。生放送も毎回企画が練られていてちゃんと面白い。そんな彼らの歴史は古いものの、あえて私の口から言うことはほとんどない。「実況プレイ」という言葉を生み出したのはメンバーの「ジャック・オ・蘭たん」だということさえ知っていればいいと思う。という陰キャおじさんたち。

 そんな彼らだからこそ「ゲーム実況」という垣根を超えた活動「展覧会の開催」「実写動画を撮るために怪人スーツを作る」または「事典を発売する」などの実況者としては例を見ない偉業(奇行)を成し遂げてきた。そして彼らが次にやると決めたのが今回の舞台化。二年前くらいから構想していたという企画がついに発表されたのが今年の4月10日。当時は視聴者も「どういうこと?」となったのだが、当の本人たちも「わからん、というか言葉で伝えるのは難しい。けどとにかく見てほしい」という状況だった。上記の通り怪人スーツを作ったのだが、彼らは顔出しは一切しない。一部を除いて顔バレは一切していないし出したくもない。でも実写で何かしたいとなった時に怪人スーツがあれば、ということで作った。のであれば、舞台も怪人スーツで出るのか? となるのが普通だが、彼らは舞台に登壇しないと明言した。説明されてもまったくわからなかったが、蘭たんは「いつも生放送でやっていることの延長線上として舞台をやりたい」と言っていたのでより意味が分からなくなった。意味の分からないまま我々は、日付と場所しか決まっていない公演のチケットを予約させられていた。

開演してからのこと

 徐々に演目が発表されたりグッズが公開されたりキャストの解禁と、情報が露わになっていくもまったく内容が分からないまま開演日を迎えた。本人たちも「開演しますね」とかさらっとしか触れない状態だった。というのも、見るまではあえて何も言いませんよ~。というスタンスであったし、見た人たちも終演まではネタバレに配慮しつつ#タグで盛り上がろう!という公式からのアナウンスもあったので「面白かった~」などの簡単な感想のみだった。見終えた今ならわかる。観劇済みの人たち、ナポリの4人、関係者の人たち、各メディア関連の人。よくこんなの見てネタバレせずに耐えれていたな、と。そしてその優しさと配慮に私は感動した。ネタバレ解禁していいのは7月20日(火)のPM0時から、と公式から通知があったが正直そこまで重く考えていなかった。が、いざその時間になるとみんな待っていたかのような感想ツイートや各メディアの記事や二次創作の数々。みんなずっと我慢していたんだと感じて私は嬉しかった。千秋楽の最終回に当選したのは嬉しかったけれど、それまで見ることができないという抑圧された感情を持て余していた私だったが、我慢していたのはみんな同じだったんだと。しかもそれを一番感じていたのは演者本人たちだったんじゃないかと思う。本来役者というのは「〇〇という舞台の〇〇という役で出ます!」などPRしたいはずだし、役も言えなければ練習風景なども公表できない。(さらに顔出しNGの男たちも現場にいる)解禁後に怒涛のように現場写真がTwitterに流れてきて、純粋にすごいな、と思った。こんな最初はまったく意味が分からなかっただろう演目と配役、しかも絶対にナポリの男たちを知らないであろう人たちが、最終的に見ている我々と同じくらいの熱量であの4人のことを好きになっている。数少ない練習終わり等のツイートでさえ、良いものを作ってやるぜ! という気持ちがだんだん高くなってきているのが開演前からとても伝わってきていた。これを機にファンになった人も多いことだろうな、と劇場に座っていた人たちを眺めて思った記憶がある。

劇について

 詳しいところは書かないと冒頭に記したが、どうしても劇について言いたいことが二つあるのでそれだけ。

ひとつ目は、曲多すぎアルバム出せ問題。


ーOPー
蘭たん、すーぎーる、hacchi、shu3
ー雄すぎー
はつ桜
ーどす恋!ー
南堀女子小学校校歌
相撲がしてみたいの!
ひふみよいついつもなかよし
ースナックしゆみー
横浜哀恋慕
―ナポンヌのムスカリ―
嗚呼、美しきナポンヌ×3
二人の友情
王の憂い
鳥になりたい
銀色の閃光
ナポンヌのムスカリ
ーEDー
涙、塩分、マルゲリータ

曲名が不明・もしくは映像では映っていないものもあるので適当に名付けたものもあるけれど、2時間ちょいで15曲は本当に歌劇。書下ろしや撮り下ろしもあるのでサントラもしくはアルバムがぜひほしい。パッケージ化特典に付いてたりしないかな。

 ふたつ目は、ナポムスラストのシーンでアラーム慣らした人がいた問題
マナーモードにし忘れた?    仕方ない
電源を切り忘れた?       仕方ない
アラームを付けてたの忘れてた? 仕方ない
アーカイブでは聞こえなかったけれど、それで集中が途切れてしまったのが記憶に残った。結構遠くで鳴っていたけれど私には聞こえてたから、現場で気になった人はたくさんいるんじゃなかろうか。観劇中は衣擦れの音でも気になる人は気になってしまうほど、舞台とは「音」には敏感なものなので。

観劇後

 舞台としては本当に面白かった。壇上で行われる群像劇やミュージカルのような「面白いと既に分かっている」演目。ハプニングやアドリブも飛び交い、演者の人たちが更により良くしようと追求し小ネタを随所に仕込んだファン泣かせの演出の数々。ナポリの男たちが「これは本当に面白いんだろうか」という憂慮は完全に払拭されたんじゃないかと思うし、手放しで褒めちぎる感想が飛び交っている。私も多分にそう思う。けれども私は、動画の方が面白かったと感じた。
舞台の良さというものはもちろんあるし、それをたくさん感じたからこそ演者についても最初は全然興味なかったものの、最終的には名前を覚えて個人配信を覗くくらいには好きになった。だけど、根っこはやっぱり「あの4人が好き」という気持ちが強かった。あの4人だけでは限界があるしそれを本人たちも痛感している。逆にそれは演者側も同じで、あの4人がいなければそもそもあの公演は存在しないことになってしまう。そういうバランスで存在し、動画よりもさらに何倍も面白くしなければわざわざ舞台にする意味がなくなってしまうという向上心で「一般人」である彼らが頑張っていた。という事実に私は何よりも心を動かされた。もしかしたら内容は何でもよかったのかもしれない。月並みな表現で「可愛いは最強」という言葉がある。可愛いと思っている対象が何をやっても可愛く見えてしまう。私は彼らが何をしてもおそらく「頑張って作ったんだね……。」と思ってしまうと思う。それがとても楽しくて面白くて知らず知らずのうちに私に、私たちに元気をくれる。推しや生きがいなんて大げさなものではないけれど、日常に潤いと楽しさをもたらしてくれる。そう気付かされた機会だったと思う。

おわりに

 かといって舞台のダメだったところなんて本当に何もない。可能ならあと数回は劇場で見たかったしアーカイブも3回は見たしパッケージも間違いなく買うだろう。何回見ても涙してしまうシーンはあるし、見るたびに深みや気付きがある良い舞台だったし、音源の関係でそのまま流せないものを改編し、原作に近づけようとした努力はありありと感じられた。ただ、観劇後にどうしようもなく「次回のch放送」を待ち遠しく感じている私が必ず現れるのだ。どうしたってあれは「ch放送特別回」としての位置づけであり、彼らと一緒に企画という名の演目をch放送と同じ温度感と同じ目線で見ていられた。劇場という非日常空間で日常的な状況を作り出し、非日常の演目を見せられる転換の差に脳が混乱したりもしたが、気張らず“いつも通り最高に楽しい企画”をいつも以上に楽しめた。それは間違いない。第二段があるのならば、確実にもっと盛り上がるだろうことは目に見えている。それを楽しみにこれからもきっと、私は彼らに生かされるのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?