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コロナ体験談【Day2-2】人生で最もつらい夜

 七月二十二日、金曜日の深夜。喉がイガイガするせいで、今夜も眠れない。
 結局夕食の冷凍パスタは半分しか食べれなかった。もったいないのでラップして冷蔵しておいたが、こんなこと初めてだ。よほど身体が弱っているのだろう。一食分のパスタも食べきれない自分に絶望した。

 早めに床についたのに意味がなかった。むしろどんどん悪化しているような気がする。

「これはもう、明日の勉強会は無理だな」
 眠れないついでに体温を計ったら、38.3度になっていた。
 38度を越えたのなんて、何年ぶりだろう。覚えてないけど、きっとインフルエンザにかかった時以来だ。ここまでくると、コロナじゃない方が不自然だ。たった三〜四時間で1度近く体温が上がっているし、コロナじゃなくても勉強会に行くどころではないだろう。

 夜分なので、メールにて欠席の旨を連絡した。あーあ、今回の話は聞きたかったのにな!
 でもそんなことは言ってられない。体温が38度を越えたら、めっきり具合が悪くなる。話なんて頭に入ってこないだろう。今も椅子に座っているのがつらいくらいだ。

 早速熱さまシートを額に貼り、アイスノンを枕にセットする。普段ならタオルに包んで使用するが、冷たさが足りず剥き出しのままアイスノンを頭に当てていた。熱さまシートが冷たく感じたのは貼った瞬間だけ。冷蔵庫に入れておけばよかったと激しく後悔した。


 それからずっと寝っぱなし。眠れないのに寝ていたというのもおかしな話だが、不思議なことに両立するのだ。

 まず、喉が痛いので眠れない。そして眠ってもすぐに目が覚める。そしてまた眠れないとゴロゴロし、ようやく眠った頃にまた目が覚める。これの繰り返しだ。
 多分、一時間に一度は起きただろう。ちっとも嬉しくないスヌーズ機能だ。

 起きたらトイレに駆け込み、がぶがぶと水を飲む。尿意と喉の渇きがすごかった。
 起きるにも相当の体力を使い、私は冷蔵庫の前に座り込んだ。清掃しているとはいえ、パジャマ姿で床に座り込むのはなかなかの屈辱だった。
 でもよく考えたら、前にインフルエンザで高熱が出た時にも同じく座り込んでいた。あの時は本当に惨めだったなと思ったら、心に余裕が出てきた。

 今はそこまで惨めに感じない。むしろよく症状と戦っているなと自分を誇ったくらいだ。

 壁に寄りかかり、数回に分けて水やジュースを飲んだ。色々な種類を買っておいてよかった。その時々で、飲みたい味が変わる。ちなみに、一番美味しかったのはレモン水。ペットボトルの水にレモン果汁を入れたものが、一番飲みやすかった。

 床や壁がヒンヤリしているので、椅子に座るより何倍も過ごしやすい。しばらく休んで、ベッドに戻る。ベッドは暑苦しいが、横になっているのが一番楽な姿勢なのだ。

 また喉が痛むので、眠れない。ゴロゴロしながら、スマホを操作した。

 コロナになった時の対処方法を調べる。しかし情報が多すぎて、本当に自分が欲しい答えが見つからない。それなりに頭は働いたので、問題なくネット検索できたが、本当に知りたい情報は事前に調べておかないと困ると思った。

 もちろんこの時点で、私はコロナを確信していた。罹患したら、何をすればいいのだろう。いざとなれば、何からしていいかわからない。

 症状があるし、ひとまず東京都発熱相談センターに電話したらいいのか。二十四時間対応のダイヤルなので、すぐに電話する。しかし出ない。回線が混み合っている。
 しかしよく見ると、かかりつけ医がいる場合は即医院に電話していいようだ。地元の医院を調べたら、幸いにも最寄りの医院がコロナ診察を受け付けていた。かれこれ三年前に通ったきりだが、かかりつけ医と呼べるのだろうか。
 よくわからないが、通うならここがいい。というか、ここ以外は微妙に遠くて通えない。

 ちなみに、休日・夜間診療ができる病院は家からめちゃくちゃ遠い。公共交通機関かタクシーを使わないと行けない。こういう場合って乗車していいのだろうか。遠出するつもりはないが、純粋に疑問に思った。

 幸いにも、最寄りの病院は土曜日も診察している。九時半から発熱外来を受け付けるらしい。事前に電話予約が必要なので、時間になったら即電話しよう。明朝九時にアラームをセットした。

 ときに、色々見ていると思わぬ情報に出くわす。調べていると「コロナに特効薬はない」と出てきた。病院に行っても対症療法しかできないのだ。

 なんだ、最悪寝ていれば治るのか。もし通院が月曜日になったらどうしようと悩んでいたが、早く通院したからといって早く治るというわけではなさそうだ。そう思ったら、安心して眠れた。


こんなところまで読んでくださって、ありがとうございます!