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蕎麦尽くし和LIVE

2022年正月四日

上中里そば浅野屋を舞台に、池波正太郎作『正月四日の客』を津軽三味線と語りの和LIVEが実現。食との初共演だ!13名様限定のLIVEチケットは、蕎麦セット(粗品付せいろそば))とちょい呑みセット(おつまみ4種・日本酒(1杯)・せいろ蕎麦)の2種をご用意。告知を始めるとお客様の反応が素晴らしい。正月にお蕎麦屋さんで蕎麦も食べられてお酒も…という付加価値を魅力に感じてくれたようだ。一週間ほどで完売となった。

本作の舞台化を考えた時から、この蕎麦尽くしが目標だった。が、昨年は旅行会社の日帰りツアーで目論むも中止。今回と同じ会場で旧暦1月4日にあたる2月15日に企画したが、緊急事態宣言で延期。作者の命日5月3日に杉並の登録有形文化財〈一欅庵〉で、蕎麦無しのLIVEのみ行った。

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上中里そば浅野屋

JR京浜東北線上中里駅からすぐにある創業1958年のこの店は、二代目のご主人夫婦が切り盛りする。一昨年、「このお蕎麦屋さん気になる。美味しそう」と入ってみると、蕎麦の味がしっかりして何ともおいしく、日本酒もそろい、つまみも充実した素晴らしい店。それからは、ランチ、蕎麦呑みは勿論、年越しそばもコチラ。ご夫婦ともに気さくで、我々〈かたりと〉のLIVEに来て下さる事もしばしばという間柄になった。今回、まさに正月四日に上演を提案して下さったのもご夫妻。「雪でもちらつくと良いですね」…そんな言葉も添えてくれた。物語のクライマックスは、雪が降りしきる正月四日の夕刻だ。

会場はコチラです

お客様で、店に来たことがあるのはお一人のみ。その他には90代の方もいらっしゃる。駅から近いとはいえ迷ったりしないか心配しつつ、目立つようにこんな案内も立てた。

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(埼玉県宮代町・コミュニティセンター進修館で企画された『進修館をアルバムにする』の〈かたりと〉小池・等身大パネル)

にっぽん怪盗伝『正月四日の客』

開場2時間前に現場入り。早すぎたー。お店の手際が良く、サクサクと準備完了。お客様の集まりも良く、迷う方も無く、定刻前にスタートした。音が良く通る空間で蕎麦好きの方々にご覧頂ける幸せ。そして、本作から汲み取った「生きるとは、自分も含めた世の中の理不尽と対峙でもある」という葛藤をお伝えしたい一心で語り切った。

文庫表紙

再演となる今回、以前の記録を観て「何をやっとるのかーっ!」と自分に喝。どっしりした地語りの存在を確固とし、上半身の無駄な動きや無意識の瞬きも極力減らす稽古に徹したが、その成果や如何なものだったろう。

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(北区滝野川・亀の子束子オリジナルTシャツ。背中に亀、正面の胸元には亀の子束子)

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蕎麦talk

上演後…上中里そば浅野屋ご主人を交えて。

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「蕎麦をおいしく食べて蕎麦屋で元をとる、蕎麦食いの流儀」…お話上手でもあるご主人・小澤さんの蕎麦への愛に、会場も大いに盛り上がる。画像を撮ってくれたのは、地元北区の区議会議員こまざき美紀さん。お忙しい中、ご来場下さった。

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蕎麦、そして、信州亀齢

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ご主人・小澤さんの『寒い冬こそ、冷たい蕎麦を手繰ってほしい』想いがこもったせいろ蕎麦も大好評。中には「実はいつも蕎麦を食べないんだけど、このお店の蕎麦は美味しかった」と仰るお客様も。。。日本酒は上田・岡崎酒造〈信州亀齢〉。池波正太郎さんにとって上田は馴染みの土地。『正月四日の客』の大泥棒〈亀の小五郎〉のキャラクター設定に、この酒が一役買っているかもしれない。

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お客様のご感想

「全てがピッタリと収まっていた感じでした。こんなに美味しい蕎麦は、あまりお目にかかれない。1月4日という、ちょっと時間に余裕のある日に、本当に楽しかったです。浅野屋さんの蕎麦を愛する話も最高でした。」

「心に残る素晴らしい公演でした。白く腰のある細くて見事なお蕎麦!美味しかったです。ちょっとお酒を頂いてからの冷たい蕎麦、大人の楽しみを味わい尽くしました。」

ご来場の中には、ソバリエのほしひかるさんも。。。早速、筆を振るって下さった記事がこちら➡『ほしひかるの蕎麦談議』第765話 「正月四日の客」

表現、上演に纏わる事務的なコトなど課題を自覚しつつ、ひとまず理想の形でライブが出来、心底喜びを感じた一夜。お客様、上中里そば浅野屋さんへ感謝するばかり…ありがとうございました。人の心と切っても切れない繋がりを持つ『正月四日の客』の〈さなだ蕎麦〉のように、この日の表現、蕎麦とお酒が皆様の記憶に残ります様に。







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