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母の変化

家の娘なんですけれどフルマラソンを走っているんですのよ

これは新年、介護施設に暮らす母の言葉である

三が日に新年の挨拶に私が訪れたときのこと
大スクリーンで箱根駅伝を鑑賞中の入居者の方々のところに加わり、母と私も観戦した
皆さんが黙って観ているときに
ウチの娘は年に何度かマラソンに出ているんですの
へぇ~
フルですか
何キロ走るんですか
スゴイですね
と声が上がる
仕方なく場の雰囲気を察して
フルマラソンです
年に2回出ています
50歳の頃から走り、今62歳なので11年ほど走っています

と説明する

以前だったら
何でこういうときに私の話をするの?
やめてよ。駅伝とマラソンは違うし。
あなたは走る人をモノ好きな変な人だと認めてなかったよね。

と心のなかで呟く自分だった。

今年2024年
母は変わった
マラソンに出るワタシのことを
嬉しそうに話していた。

母は、私の兄のこと弟のことをよく褒める。私のことを褒めたこと、耳にしたことがない。

そう感じていた矢先に
人の前で私のことを自慢された

正直、初めてのことで
内心照れまくっていた

隣に座る母に眼を合わせられなかった

青山学院がゴールしたので
母は席をたった

母の脇を支えつつ移動する

駅伝って面白いわね

と言う母
表情を見ずとも気分良く
笑っていることが伺える

走り始めて11年
娘が走ることに対して理解がなかった母
今では走る娘を人に自慢することになっている


母の気持ちの変化に驚く
そして、ささやかでも母の励みになっている自分だと感じ、嬉しくなる

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