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妄想レィディオ #33

「指定難病になるって、どういうこと?」

午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
こんばんは、DJのKUNIです。
毎回、ボクの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、知的で、お馬鹿な、お気軽トークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までお付き合い下さいませ。
さて、新聞の見出しって、なんであんなに漢字が多いんだろうね?
3月の22日の毎日新聞の見出しをここで紹介しましょう!
「指定難病に3疾患を追加指定 厚労省検討委が了承」
普段なら絶対読み飛ばすところですが、そこはカンの働くボク!そう言えばと、SNSを検索してみれば、この記事を引用して、コメント欄には「宴じゃ!宴じゃ!!」と言う文字が躍っているではありませんか!
さぁ、そこで、その投稿の主を、今夜のゲストとしてお呼びしました。
もし、も~し!こんばんは!お久しぶりです!

「こんばんは!お久しぶりです」

2021年の11月から3度にわたってご登場いただきました河越直美さんです。

「は~い、あのときは本当にお世話になりました」

河越さんは、MECP2重複症候群と言う我が国に60人余りしか存在しないと言う超レアな病気の息子さんがおられて、その病気について、以前は色々とお伺いさせていただいたんですよね。確か名前は「かなで」君、でしたよね?

(左:河越直美さん 右:「かなで」君 /2021年撮影)

「はい、そうです。この4月からは小学5年生になります」

さて、改めて、「かなで」君のその病気を紹介するとですよ、スタッフから渡されたメモをそのまま読みますが、これまた漢字が多いんだよなぁ~
「乳児期早期からの筋緊張低下、重度の精神運動発達遅滞、進行性痙性障害、反復性感染症(呼吸器や尿路など)および難治性てんかんを特徴とする疾患である。平均寿命は25歳。現在、有効な治療法がないため、対症療法と療育に頼らざるを得ない」
とまぁ、前回も言いましたが、なかなか、と言うか相当ヘビーな病気なんですよね。「かなで」君の今の状態はいかがですか?
あれから1年半近く経ったけど。おぉ、今写真が届いたので見てますが、
やっぱり大きくなったよね。

(河越さんご一家)

「う~ん、でも、次第次第にてんかんの発作が増えて、突然、ビクッとするものから、倒れてしまうようなものまで、一日に何十回とありとあらゆるてんかんが起きました。そうしたこともあって、以前なら出来ていたものも、なかなか出来なくなってきていて、歩行器を使っても歩けないときもあるし、食事も、かつてなら自分で食べることが出来ていたものの、今はそれも出来なくなって、私が介助しています。去年の12月は発作に加えて尿路感染を繰り返して毎週大学病院に通院していました。」

とまぁ、依然シビアな状態であることに変わりはないわけですね。
にもかかわらず「宴じゃ!宴じゃ!」とはどう言うこと?

(河越さんのFB投稿から)

「指定難病に、このMECP2重複症候群が追加されたんですよ!これは、本当に私たちが待ちに待ったことなんです!!」

以前、ご出演された際にも、「指定難病に!」と言うこと熱望しておられましたが、ついにそれが実現したわけね。で、それにより何がどう変わるの?

「これで、小児期から成人にかけて切れ目なく支援が受けられると言うことになるんです。この安心感と言うのが一番大きいですね」

確か、以前聞いたお話しだと、「小児慢性特定疾病」には指定されていて、それにより医療費の助成は受けられるようになったけれど、あくまで
“小児”が対象だから、大人になった段階で、その助成は途切れちゃうと言うことでしたよね。やっぱり「お金」は大事ですよね。

「実際は、様々な助成の形があるので、突然、医療費の負担が激増すると言うことはないかと思いますが、それよりも研究の面で大きな飛躍が、この指定難病に追加されたことによって期待されるんです。と言うのも、今後はこの病気のデータが国に集まるようになるので、情報が一元化され、研究が進む可能性がアップする。さらにそうした研究にお金もつくことになるので、例えば、早期の治療薬の開発なども夢じゃなくなった、と言うことが、やっぱり一番大きいですね」

なるほど、そう言うことか!
指定難病となる意義と言うのは、よ~く分かりました。
ところで、今回ちょっと調べてみたら、このMECP2重複症候群は、2018年の時点で指定難病検討委員会で指定難病とすべきかどうか検討されたそうですが、その時は見送られ、その次もダメで、結局今回3回目にしてようやく認められたと言う経緯があるそうですね。
待たされただけに、嬉しさも大きいと言うことですね。

「いえKUNIさん、実は、これでも早いそうですよ」

そうなんだ!しかし、そこには河越さんたちの、いわゆる「家族会」の頑張りがあったからこそでしょ。

「いや、そこは、やはり先生方研究者の皆さんが、1回目、2回目とダメでも、諦めずに資料を作っていただき、申請していただいたおかげです」

とは言え、そもそも、日本にはMECP2重複症候群の専門家がいない中で、この病気に近い研究をしておられた方々に声掛けをし、自分たちの子どもの症状を説明し、研究をして欲しいと訴え、指定難病にして欲しいと訴えてこられたからこそですよね。
今回も、色々な場所で、家族会の皆さんが頑張られたと聞きましたよ。

(RDD:Rare Disease Day/世界希少・難治性疾患の日)
(RDDきっず2023:小児希少疾患に特化したイベントを大阪明星高校生たちと開催 )

「それはありますね。例えば難病フォーラムと言ったイベントがあれば、そこに登壇して、このMECP2重複症候群について紹介しました。厚労省の難病対策担当の方が来ておられるはずなので、こんな病気があるんだ、名前だけでも知って欲しいとね。厚労省の方がいなくても、多くの方に知っていただければ回り回って検討委員会の皆さんの耳にも届くかもしれないと思い、様々なイベントに精力的に参加しましたね。以前多かったリアルなイベントだと、子どもの看病や介護で行けないケースも多かったんですが、この
1~2年はwebでの開催が多かったので、私たちには追い風だったと思いますね」

なるほどね。ところで、もう残り時間も少なくなってきたんですが、折角の機会ですので、リスナーの皆さんに訴えたいことがあるとすれば、さて何でしょうか?

「やっぱり、“知って下さい”ですかね~。そうですね、こんな病気があるんだと、“知って下さい!”が一番かなぁ。そして、けれども、みんな普通に生活してますよ、とも言いたいですね」

でも、河越さんって、今日もそうだけど「いつもお元気そうですね?」と言われると、ムッとするでしょ!

「あははは!そうですね!確かに大変なこともあるので。めちゃくちゃ楽ではないので。毎日大変なので。前を向いて進めることが困難な方も多いと思うんです」

ですよね!

「私だって、息子の発作がおさまらないときには、もう全てが嫌になって。例えば、寝られないのが一番しんどいですよね。寝るのが恐怖になるんです。寝入ってしまうと起きるのがしんどくなるのが分かるから。だったら寝ない方がいいんじゃないかと思うけれど、やっぱり、眠くもなるし。で、寝ると、結局発作で起こされて、ハァ~とため息をつきたくなるし、イライラもする。もちろん、かなで本人は何も悪くないけれど、『頼むよ~』とは思いますよね。毎日生活するだけで精一杯と言うのはその通りで、ただ、周りの人たちが知ろうとしてくれたりだとか、かなでのお友達が『今日学校でかなで君、こんなんだったよ』って、教えてくれたりするだけで、なんかそれが元気のもとになったりするので、やっぱり知ってもらえることって、パワーに繋がると思います。理解は難しいかと思うけれど、知ってもらうだけで、こう言う疾患があって、こう言う生活をしている人がいると言うことを知ってもらうだけでも、大きなことだと思いますね」

なるほどなぁ。確かに、なかなか完璧に理解するってことは難しいかとは正直思うけど、知るってことなら、ほら、今でも出来たもんなぁ~。リスナーの皆さんも、そうだよね!
なんか今日は、とっても勉強になった気がします。
河越さん、ありがとうございました。また、色々と教えて下さいね!

「はい!また、番組にも呼んで下さい」

もちろんです。今日のゲストは、MECP2 重複症候群 患者家族会の河越直美さんでした。

では、最後に、今日は、この曲でしめくくりましょう。
スキマスイッチ で 「奏」!
皆さん、おやすみなさい。また、良き明日、良き朝をお迎え下さい!(了)

※    MECP2 重複症候群 患者家族会のHP

※参考:
妄想レイディオ #27|大谷邦郎|note
妄想レィディオ #28|大谷邦郎|note
妄想レイディオ #29|大谷邦郎|note

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