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妄想レイディオ #29

~平均寿命25歳?MECP2って、何?③~

映画「メジャーリーグ」のテーマ曲「WildThing」をお聞きいただきました。さて、今夜の「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」では、「MECP2重複症候群」と言う全国でも僅か65人しかおられないと言う超レアな難病の息子さんを持ち、家族会を結成してこの病気をもっと広く知ってもらいたいと言う活動をされておられます河越直美さんをゲストにお迎えしています。
先ほどのコーナーでは、小児慢性特定疾病から指定難病へ、いわばマイナーリーグからメジャーリーグにどう昇格させるかが、課題の一つだと言うお話を伺いました。って、誰だよ!「だから、WildThingをかけたのか!?」と言ってるのは。ちゃんと考えて、番組を進めてるっちゅうねん。
さぁ、河越さん!今、“かなで”君は、小学生・・・ですよね?

「はい、そうです。今は、てんかんの発作が酷くなってしまって、起きているのもしんどい時があるんですけど、でも、そういった中でも、やっぱり学校が大好きなんですよね。“かなで”は、地域の小学校に通っているんですが、みんなと一緒に過ごす時間が本当に好きみたい。みんなと一緒に過ごすことが、疾患のある子どもたちにとって、どれぐらい大切な時間なのかっていうことを、伝えたいな~って思っています」

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(写真左から“かなで”君、河越直美さん)

子どもにとって、友達の存在は大きいですよねぇ。でも、この病気の特性として「難治性てんかん」があるとご紹介しましたが、今は、そのてんかんが酷いの?

「てんかんの発作が出る前、“かなで”は、本当にゆっくりだけど、本当に着実に成長していたので、みんなと同じようなことが結構出来ていたんですが、今は、学校で、一日に何十回と発作が出てしまうときもあります」

てんかんの発作って、突然起こって、急に倒れちゃう、みたいなこともあるんですよね?

「一回、体育の時に前に倒れて、歯を折ったこともあります」

それは、怖い。その一方で、先生も、なかなか大変ですよね。

「確かに、かつてはそうした場合、もう、すぐに家に電話かかってきて、『お母さん!迎えに来てください!!』っていうケースもあったんですけど、病院の先生から、『発作があっても、救急搬送されるような発作でなければ、家で出来ることと学校で出来ることって、あんまり変わらないので、本人が学校にいることが楽しいのであれば、学校で、可能であれば見ておいてもらっても大丈夫ですよ』と、学校の先生方に伝えてもらってからは、学校で発作が出ても、学校の支援室でちょっとゆっくり休ませてもらったりしています」

正直、そうした学校の対応って、先生によるんですよね~。

「そうなんです。今、“かなで”が通う学校の先生方は、凄く理解をしてくれようとして下さっていて、てんかんの講座に自ら参加してくれたり、『支援学校では、そこの先生方がどういった支援をしてるのか?』っていうのを学ぶために、自ら見学に行ってくれたりとか、凄く本当に積極的に、色々と後押ししてくれています。でも、やっぱり・・・」

うん?でも、やっぱり・・・なんですか?

「凄く今感じるのは、学校と医療と福祉が全く連携されてなくって、もっと学校と医療が繋がるべきだと思うし、学校と福祉も繋がるべきだと思うんです」

その意味は?

「学校側が、“かなで”のような・・・そうした子たちを、本当は受け入れたくないって気持ちは、凄くわかるんですよ、先生の負担が一気に増すので」

そもそも、今の学校での先生の負担って、大きいですもんね。

「でもね、“かなで”は、もちろん学校で学ぶことが多いけれど、周囲のみんなも、生徒たちも、先生も、“かなで”から学ぶことも、凄く多いらしいんですよ。“かなで”が、学校に通うようになって、お互い初めてそのことに気づきました。」

それこそが、インクルージョンってやつですね。多分やけと、まぁ、ホンマは、よ~知らんけど。でも、“かなで”君が周囲に与えるその効果は、よ~く分かります。

「やっぱり、そう言うことって、色んなところで起こっていくべきものだと思うので。だからもうちょっと、本当に学校の先生方の負担が減るように、福祉だったりとか、医療だとかが、もっと先生たちをサポートできるような体制を作れたらいいなって思うんですよね」

じゃぁ、じゃぁ、この番組を聞いているリスナーの皆さんに伝えたいことは?

「こういう疾患がありますよ!と言うことを伝えたいのと、疾患児も、病気と戦っていて大変だけれども、その家族もすごく大変だっていうところに、ちょっとでもその想像力を働かせてもらえたらなって。お母さんの負担がすごく大きいので」

そりゃ、そうだよね。しかし、どうなんだろ?家族全員で、こうした病気と闘っていると、なんて言うんだろ、“命”への捉え方が、なんて言うのかなぁ、深くなりませんか?

「そうですね、本当にそれは思います。命もそうですし、“人との繋がり”っていうのも、本当に。人との繋がりが、ありがたく感じると言うか、凄く大切なんだな~って感じます。今日もこんな風に、この病気のことを取り上げてもらいました。言わば、自分に関係ない子どもだったり、その家族たちを、何と言うのか、どうにかしてあげたいと思っている人たちってこんなにいるんだなと、その思いに触れるだけでも、やっぱり凄く人生、豊かになりましたね」

何度も言いますが、この病気って、全国で僅か65人しかおられない病気でしょ。でも、もしかしたら、知らないだけ、気づいていないだけで、同じ病気でありながらも、「原因が不明です」なんてことを言われている子どもたちって、おられるんじゃないですか?

「そう思います。まだ診断を受けていない人もたくさんいると思います。でも、つい先日、この病気の遺伝子検査が、保険適応になったんです!今までだったら、診てもらっているかかりつけの病院とかの研究費とかじゃないと、高すぎて受けられなかったような遺伝子検査が、今は保険で出来るようになったんです。ですから、もう、ちょっとでも疑わしかったら、即、遺伝子検査を受けて欲しい!そうしたら、何かしら分かってくると思うので・・・」

なるほど!それは良きアドバイスかと思いますね。
でもさぁ~、この病名、長くない?「MECP2重複症候群」だよ。覚えられない。もっと覚えてもらいやすいような名前が要るんじゃないですか?例えば、同じように染色体異常で起こるダウン症の患者の皆さんって、「エンジェル」って呼ばれるじゃないですか。確かに、彼ら、彼女らの笑顔は素敵だし、みな、人懐っこいし、天使のように優しい。そうした、何か、イメージ持ちやすいような呼び名が要ると思いますけど

「じゃぁ、エンジェルに対抗して、“イケメン”と言うのは?」

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イケメン?えぇ~、それって、どう言うこと?

「この疾患の男の子達って、めっちゃイケメンな子が多いんです。シュッとしている。実際、みんな、似通った顔をしています。ダウン症ほどではないけれど、みんな似たような顔をしています。年齢が上の子たちを見ると、本当に結構イケメンな子が多い。小さい子たちは、可愛い。親のひいき目もあるとは思いますけど・・・(笑)」

この病気の特徴は、イケメン?ちょっと面白い・・・と言うのは失礼かな。でも、印象には残るよね!

「面白いと言っていただけると、ホント嬉しいです、逆に。知らない世界と言うのが一番なのかもしれないんですけど、実際、育てていく中で、面白いことが多いんですよ、発作を除いてですが。言葉はなくでもコミュニケーションは取れるし。言葉が無いからこそだからだと思いますが、本当にベタな笑いが起こるというか。確かに、発作は、本当にしんどそうなんですが、それでも、なんかこう頑張ろうとしてる姿を見ると、『そんだけしんどくても、こんだけ頑張ろうとしてるのか』っていう思いに気づいて、こっちも、もっと頑張ろうと思えたりとか・・・正直、笑えない日が多いからこそ、“かなで”が、ちょっとしたことに対して、ニコッとしてくれたのは、めちゃくちゃ嬉しいとか・・・ね」

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何だか、分かるな。では、今後、どう活動していかれる予定ですか?

「本当に、実際に、アメリカでは治験に向けて進んでいて、そのゴールが2年後ぐらいに設定されてるみたいなんですよ。今度、うちの“かなで”からも採血をして、てアメリカに送るんですけど、そうした治験から始めないといけないので、そこから、実際に治療法になるまでには、もうちょっとかかると思うんですけど、でも、本当に、現実として、その治療法の確立と言うのが起こるかもしれないんだなぁ~って思うと、もっと、この病気の認知度広げないと、受け入れられる土壌を育てないとなぁ~と思います。」

河越さんって、ポジティブと言うか、本当に、前向きですよね。

「確かに、よくそう言われるんですけど、本当にそうやって動いていかないと、やってられないなっていう面があって・・・。動いてないと・・・ちょっとしんどいですもんね、本当は。でも、こうやって動いてるからこそ、こうやっていろんな人たと出会えて、そうした色々な方々からモチベーションも貰えていると言う面はありますよね」

そっか。そうだよね。河越さんの、その元気な笑顔のその裏側をチラリと拝見出来たようで、変な感想かもしれないけれど、安心した、と言うか、何だろうな、逆に自分と、河越さんの立場を置き換えて考えることが出来た気がしました。そうですよね、動いていないとね。
了解!ボクらも、一緒に動けること、考えていきたいと思いました。
今日は、ありがとうございました。

「こちらこそ!」

今夜のゲストは、「MECP2重複症候群」と言う全国でも僅か65人しかおられないと言う超レアな難病の息子さんを持ち、家族会を結成してこの病気をもっと広く知ってもらいたいと言う活動をされておられます河越直美さんでした。さて、今夜の最後の一曲をお聞きいただこうと思うんですが、決して、今放送中の朝ドラの影響を受けたわけじゃないけれど、“かなで”君と、そしてお母さんである河越さんには、これからもしっかり日向の道を歩んでいっていただきたいと言う思いこめて・・・

ルイ・アームストロングで、「On The Sunny Side Of The Street」♪

では、今夜はこのへんで。
皆さん、良き夜を、そして、明日、良き朝を迎えましょう。(了)

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