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会員制の粉雪【毎週ショートショートnote】

「粉雪……仕事を依頼したいのだが……」

「おっ!ようやく決心されましたね!」

決心ではない……屈したのだ……

「ご承知かと思いますが、まず年会費を払って頂き、まず会員登録から……」

「わかっとるわ!」

私は決して少額とはいえない現金を準備していた。手錠をはずしてアタッシュケースの中身を見せると粉雪はうなずいた。

「以前はこんな面倒なことをせずによく一緒につるんでいたではないか」

粉雪はそれに答えようとはしなかった。

「まあ聞く耳を持たないとは思うがお前…あの女の口車にのせられてるだけなんだぞ」

「まあいいじゃないですか。あなた様からもこうして高額な年会費を支払っていただけるようになった訳だし」

あの女というのはアナだかワナとかいう雪の女王のことだった。なぜだかわからないがレリゴーともいわれることもある。粉雪との共同経営者という触れ込みだったが実際は女王がすべてを支配していた。

数年前、女王はこんなことをささやいて粉雪に近づいた。

「粉雪さん、あなたが存在できるのは気温15℃以下の寒気の中だけなのですよ。この温暖化の中、その貴重なリソースを無駄遣いしていていいのですか?もう無料のお仕事はお辞めになったら?」

その一言をすっかり信じ込んだ粉雪はべらぼうな年会費だけを支払える会員のためだけに仕事をするようになったのだ。まったくこうしたことが環境左派の利権になっているということに気づいていないのか。

考えて見ればワナ雪だかのデ何とかという出身スタジオは環境問題やLGBTQ問題にうるさいバリバリの左派企業として有名だった。

そうして粉雪の最初の顧客となったのがスノーマンだかスノーメンだった。無理もない。環境問題の牙城ヨーロッパ、英国出身でその思想に大いに賛同するところがあったのかもかもしれない。

そしてこの私だ……。まったく環境問題なんかどうでも良いと思っているのだが背に腹は代えられないのだ。

そう、粉雪が私の元を去ってから、みぞれと仕事をしていたのだがどうもしっくりとはいかなかった。先日なんぞみぞれが雨になってしまい、この私が怖れられるどころか子供達からは雨女、雨女!と馬鹿にされる始末だ。まったく情けないことこの上なかった。


「で、いつから仕事にかかれる?」

「それはもうすぐにでも!雪女様!」


(1000字近く😭)


先行されている方とネタかぶりが多々ありますが~、パクったわけではございませんので温かい目で見てやって下さいませ~😭








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