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『  /トウメイ』

季節外れの暑さが続いた5月下旬。
この頃の気温の変化に耐えきれず、ぐったりしている猫のいる部屋で、透明なソーダ水がグラスをはじく音がした。
涼しげな音と香りが部屋中に漂うこの時間を、猫は幸せだと思うのだろう。
いつもは外を眺めては独り言をこぼす猫も、窓際の陰で涼んでいる。
窓から部屋に吹き込む風は心地いい。
どこか夏のにおいを感じる風だ。
まだ夏になってもいないのに、セミの鳴き声が聞こえてきそうなぐらい、空の雲がもくもくと大きくなっていく。
雲の真似をしたのか、猫も大きく伸びをしてひと眠りしようかと。
これまでもずっと、透明なソーダ水がグラスをはじく音がする。


この詩は個人的に涼しげな印象で書きました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
詩題は、空白を「トウメイ」と読ませます。



最後までお読み頂きありがとうございます。
次回も読んで頂けると嬉しいです。

梔子。


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