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願わくば

どうやら今日は七月七日らしい。

瑠璃色の夜空に、無数の星が輝いている。
七夕の夜、私は庭に出て、そっと星を見上げた。
星々が煌めくその姿は、まるで遠い過去の輝かしい記憶を呼び覚ますようだった。

願いが叶うと信じられていた。

その年の夏も、私は心を込めて願い事を書いた。
一人一人が自分の願いを大切に抱え、
震える手で文字を紡いだ。

祭りの終わりには、夜空に向けてそれぞれの短冊を放り投げる儀式があった。風に乗って舞い上がる短冊たちは、まるで天の川の糸のようにひとつに絡み合い、高く舞い上がった。

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