海の法律と安全航行の基本
いつもご覧いただきありがとうございます!エイトノットの奥田です。
8月に入り、暑さもより激しくなってきました。熱中症などにお気を付けてお過ごしください。
今回のnoteは、前回に引き続き船に関する基礎的なお話しです。
前回のnoteでは、船とはどんなもの?や小型船舶にはどのような種類があるのか?などについてお話ししました。
今回は少し視点を変えて、海の法律について簡単にご紹介できればと思います。
海に関する法律はたくさんあります。海上3法とも呼ばれる、海上交通のルールを定めた「海上衝突予防法」「海上交通安全法」「港則法」や、乗組員の資格等について定めた「船舶職員及び小型船舶操縦者法」、船員の労働条件等を定めた「船員法」…。
今回は、このうち船を操船するうえで最低限知っておくべき内容についてお話しします!
さて、私たちが普段車を運転するとき、左側を走行していますね。これは厳密にいえば道路交通法に基づいて左側走行がルールとなっていますが、今ではそれが当たり前として過ごされていると思います。
同じように、船においても左右どちら側を航行するのか決められています。ご存じの方も多いかもしれませんが、海上では右側航行が原則となっています。ただし、これはあくまで原則的なもので合って、必ずしも右側を通らなければならない、というわけではありません。一部を除き、海には道がありませんから、どこが右側にあたるのか分からないからです。
ではどういった場面で、右側航行が適応されるのでしょうか?
代表的なシチュエーションを3つほどご紹介します。
1.行き会い
一つ目のシチュエーションは行き会いです。
行き会いとは、船と船が互いに向かい合ってすれ違う状況のことを指します。
海上衝突予防法では、行き会いについて互いに真向いもしくはほとんど真向かいの状況では互いに舵を右に切るよう規定しており、お互いに舵を右に切るすなわち右側航行をしている状況になります。
2.横切り
続いては、横切りのシチュエーションです。
横切りは、船同士が互いに針路を横切る状況のことを指します。
海上衝突予防法上では、相手を避ける船を「避航船」、そのままの進路、速力を維持する船舶を「保持船」として、それぞれの動作を定めています。
この横切りの状況について海上衝突予防法では、相手の船を右側に見る船が避航船となり、かじを右に切って避けなければならないと規定されています。また、保持船は、今の進路と速力を維持すること、避航船が避けようとしない場合はすぐに保持船も避航動作を取ることなども規定されています。
3.航路(水路)航行
3つ目は、シチュエーションとは少し違いますが、航路航行時の紹介です。
冒頭で、「一部を除き、海には道がない」と話しましたが、この「一部」に航路が含まれます。
航路とは、海上交通安全法や港則法などで海上交通の安全確保と円滑化を図るために定められた海の道です。
代表的な航路としては、瀬戸内海の「来島海峡航路」(海上衝突予防法)や山口県と福岡県の間にある「関門海峡航路」(港則法)などがあります。
ほとんどの航路で、航路の右側に沿って航行するように規定が定められており、この左右それぞれの最大幅に、航路標識が設置されており、航路を航行する船の航海士は標識を見て、航行する場所を確認しています。
船は右側航行が基本ということが伝わったかと思います。
しかし、実際に船舶を安全に運航するためには、ルールを正しく理解し、適切に判断することが必要です。例えば3隻がかかわるようなシチュエーションの場合、避航船・保持船はどう適応されるのか、など複雑な状況での判断を求められることもあります。
こうした特殊な状況に対し、適切に判断して行動するにはやはり経験と知識が必要になってきます。船を操船するうえで、最終的な判断を下す存在は船長です。船長は、法律やルールを守るだけでなく、状況に応じた適切な判断を下し、船と乗組員の安全を守る責任を負っています。
船長になるには、こうした経験と知識に加えて、資格が必要となってきます。実際、法律でもほとんど全ての船舶には資格を持った船長を乗船させなければならないと規定されています。
しかし、近年の少子高齢化などの影響により、この「経験・知識・資格」をすべて備えた人材が不足しています。そのため、特に離島地域で船を運航する事業者などが、船を運航する人材が確保できず、事業の継続が困難に陥っている事例が多く見受けられます。
私たちエイトノットは、こうした海上交通で活躍される事業者の支えになるべく、「経験・知識」の不足を補う操船アシスト機能として自律航行システムの開発・提供に取り組んでいます。
さらに、将来的な無人運航の実現に向けた働きかけも行っており、無人航行が可能な自律航行システムを目指し、日々開発・実証を行っています。
操船アシストとして「経験・知識」の補完に加え、より安全な海での体験を提供することで海上交通をより一層盛り上げていけたらと思います。
今回は海の法律とエイトノットの取り組みに関するお話でした。
今年もさらなる技術向上と社会実装の促進を目指し、様々な地域で実証実験を予定しています。今後も、実証実験の様子などをお届けしていきたいと思います。
次回更新もお楽しみに!
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