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カルタヘナ法違反で逮捕者

カルタヘナ法違反で逮捕者が出たと聞いてびっくりしています。
元東京工業大学の大学院生(現在会社員)が魚類販売業者に蛍光遺伝子を組み込んだ遺伝子導入メダカを譲渡し無許可で販売、警視庁が捜査していることを知って放流させる事件が起こりました。
このメダカは遺伝子を改変され光る遺伝子が入っていて光ることから高値で販売されることを狙ったのでしょう。
私は少し前まで遺伝子組み換え体植物を作って育てる方の仕事をしていたのでこういう大変なことはやめてほしいと思うのでした。

カルタヘナ法とは「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の通称で、2000年に採択された生物多様性条約「カルタヘナ議定書」を日本で実施するために立法されました。

2023.3.8、ヤフーニュースより引用

私が驚きすぎというきらいもありますが遺伝子組み換え体を扱っている研究業界には激震が走っていると思います。
遺伝子組み換え研究施設の点検や研修をしなければならない現場の苦労がしのばれます。
遺伝子組み換え体がやすやすと外に出て販売されたとはあってはならないことです。
今後このようなことが起きないように祈ります。

光る遺伝子は下村脩米ボストン大名誉教授がオワンクラゲから発見したGFPという緑色蛍光タンパク遺伝子が始まりです。
この発見で下村博士は2008年にノーベル化学賞を受賞しました。
今回の光るメダカはオワンクラゲのGFP遺伝子と別の蛍光タンパク遺伝子が組み合わされて作られたそうです。
メダカの大きさの動物を遺伝子操作して成体にするまでものすごい手間がかかったんだろうなあと私は想像してしまいます。
メダカは数ヶ月で成魚になりますが育つのを待つのは大変です。
私は植物でその実験をしていたのでつらい気持ちになっています。

植物は種で増えるので思いがけない所で遺伝子組み換え植物が増えてしまうのです。
別の植物の鉢で芽を出すこともあるので神経を尖らせています。
とある大学で遺伝子組み換え植物が研究室の外で育っていて大問題になったこともあります。
この話は遺伝子組み換え体の研修の冒頭で話されるほどの事件でしたが今回の光る遺伝子導入メダカ販売によるカルタヘナ法違反事件にすべて置き換わるのであろうと思うと辛くて涙が出そうです。
業界を知らずにお読みになっている方は泣くほどの事ではないと思われるでしょうが業界にとっては商売あがったりです。
遺伝子組み換え体を扱う実験室では今頃、遺伝子組み換え体についての長い時間の研修やミーティングをしたり、設備の確認や点検に追われていることでしょう。
今まで積み上げてきた努力を一瞬で水の泡にされた気持ちです。
私は直接この分野の仕事に触れていなくて心底よかったと思うのと突然降りかかってきて忙殺されている人たちがいることに心が痛みます。
またまた今までなかったことかもしれませんがこれからも同じことが起きないように切に願います。

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