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【世界もココロもグラデーションでできている】40 「帯のひみつ」⑮

こんにちは 八彩理絵子です。

前回「袋帯」についてお話ししましたが、                     今回「名古屋帯」についてお話しします。                       


【名古屋帯とは?】

名古屋帯は、袋帯よりもカジュアルで                        おしゃれな着こなしができる帯です。

結ぶのが難しい袋帯を、より簡単に結ぶ                  ことができるよう改良された帯のことです。                   

名古屋帯の発端や考案者には諸説                   ありますが、名古屋で発案されたと                  いうのは確かなようです。
大正時代に、それまでの丸帯や袋帯では                           支度に時間がかかって困っていたために、                         着付けの簡略化を目指して、                                 手先からたれ部分までの帯幅を最初から                       半分に仕立てた帯を開発したのが                          はじまりです。

名古屋帯は、色無地 ・ 付け下げ ・ 小紋                に合わせます。                                    紬 ・ お召 などのきちんと感がある                    カジュアルな着物に合わせるのも                    ぴったりです。

名古屋帯

着物と同様に帯にも織りと染めがあります。                  着物とは逆に一般的に織りの帯の方が染                   めの帯よりも格上になります。

色糸を表に出したり、出さなかったり、                        文様を織り方で表現するのが織りの帯です。                  代表的な織りが錦織と唐織で、                        重厚感があり、礼装用の帯になります。                         錦とは「金」と「帛(はく)」を                   組み合わせた文字で金糸・銀糸や色糸を                    用いて絢爛豪華に作られる紋織物                      (もんおりもの)の総称です。

この記事を書いている時に拝見した                    TV番組で偶然に、西陣織のについて                  紹介していたので、今日はそのお話を                     させてください。

番組名は「猫のしっぽ かえるの手                   ~京都・大原ベニシアの手づくり暮らし~」

番組は、京都・大原にある古民家で、                      美しい四季の移ろいの中で季節に                   寄り添って暮らすイギリス出身の                   ベニシア・スタンリー・スミスさんの                           ゆったり営まれる手作り暮らし。                   敵詩的映像でつづるライフスタイル番組。                    

ベニシアさんの暮らし方がとても丁寧で                素敵なんです。

今回は「恵の季節」と題して畑で収穫した                     ハーブで、ハーブティーやアイバースを                          楽しんだり、大好物のイチジクを摘み取り、                 とっておきのオーブン料理で味わう様子                   などが放送されていました。                       秋のある日ベニシアさんが愛用                          している西陣織の小物の織元を                            京都市内に尋ねます。                        60年以上のキャリアを                        誇る織り師と出会い、その美しく                        繊細な手織りの技に感嘆。                        2020年に放送された番組を                                    新たにリメークされた回でした。

紹介された織元では120年もの歴史があり、                        貴重な職人さんによる手織りの作品が                       作られていました。

何百という色の絹糸を駆使した繊細な                         柄の帯はその手触りとともに「美術織物」と                  呼ばれ、高い評価を得ています。

工房にこの手織りを支えてきた職人さんが                     いらっしゃいました。

織師の岩間利夫さん  2015年には、その技術の             高さに対して 国から叙勲を受けてらっしゃいます。                        

その時に岩間さんが織っていたのは                 『本袋帯』と呼ばれる筒状の帯でした。

金銀の箔や糸を使い、精緻な文様を見本を               見ながら巧みに織り込んでいくのですが、                    しかも、文様を傷つけないように                    織っている柄は裏を上にしているので                         職人さんは表の柄を想像しながら織っている              というではありませんか。

正倉院などに納められている織物の復元や              ((獅噛文長斑錦(しかみもんちょうはんきん))復元)

祇園祭の山鉾を飾る懸装品の
修復や新たな創作。                          こうした歴史に残る仕事は
何十もの過程を専門の職人たちが担うことで                 成り立っているそうです。                       

中でも織師は作品の出来を決める重要な役割。

岩間さんは 毎朝必ず作業の前に織機の状態を              確認するそうです。あとは縦糸3000本を               「大丈夫か…」と織る前に気を付けなければ              ならないと仰っていました。

紋紙と呼ばれる文様の情報が入っている紙に                             従いおよそ3000本の縦糸の一部を上下に分け                            その間に横糸を通して文様を織っていく。

2,600本もの横糸のそのたった1本が                  さがっていれば、キズになる。

手足左右すべて別々の動き。                     一時も気が抜けない作業であることが                  想像できます。

職人としての気概と                             年齢を越えた活力に圧倒されました。

この道60年の岩間さんが今でも                        緊張するのが、                              裏表で織ってきた帯を返す瞬間。                               専門の職人さんが手袋をつけて、帯を表に返す                                               少し長さが足りないのではと「なんでやろ、                           ちょっと短い?」案ずる岩間さん。                                  「良かった」とっても嬉しそう。                    安堵の表情で「ちょっと気になるところがある                               時は、これをしてもらうときはドキンドキン」                                                      「もっと織ることが好きにならんといかん                          といったけど織ることが好きで楽しんで                           やってたらまず間違いないな」                         「なんとなしに勘でわかる。勘も大事」                          などの言葉。また、仕事の魅力について伺うと                            「工程が好きだった。指を動かして                                     やること自体スキだし、未だに一人前には                    ならないっていうことになりますね」                            と答えていらっしゃいました。

発せられる言葉の一言一言が心に響きました。                      

岩間さんは終始穏やかな優しい笑顔で                        何だかお人柄が出ているように私は感じました                           

『好きこそ物の上手なれ』その言葉を                          弛まぬ努力で実践している岩間さん、                           時代が変わっても変わらぬ思いがあるのですね

スピード重視の現代にあってもやはり                   人の手で作り上げられた物には                       心と温かさを感じます。

職人さんたちのお陰で伝統が                     引き継がれているのことを                      また改めて感じました。

祇園祭の「水引」

ここからはベニシアさんの                      ナレーションになります。

【日本に来て初めて読んだ本が「源氏物語」                 平安時代の宮中の豪華で美しい生活が                 描かれていました。                             遠い昔から絢爛豪華な織物が織られて                                  きました。西陣の機織り機は、今も芸術品を                           織りあげています。織機のカタカタという                            音は昔から絶えた事はありません。                            まるで時間(とき)を超えたかのようです。                         いつまでも美しい身の周りの物を                     大切にしなければと思います。】

                                  物だけではなく、時間、他人との関係など                     大切に思う事、物について丁寧に                   向き合っていきたいと思った時間でした。

今日はここまでになります。

ここまで読んでいただき                       ありがとうございました。 

次回は「半幅帯」などについて                    お話ししていきたいと思います。





今日の伝統色「柑子色」(こうじいろ)

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「柑子色」(こうじいろ)イメージ

柑子とは、日本で古くから栽培されてきた                                    ミカンの一種。その果皮を由来とする、                                行灯の光のように温かみのある橙色です。

柑橘系の実の色としては『蜜柑色』                    (みかんいろ)や『橙色』などより古く、                         室町時代にはその名が見られました。

クチナシと紅花なそを開合わせて染める                                と伝えられている柑子色。                                平安時代の女房の装束である襲の色目としては                                秋の終わりのものとされていたそう。                  一方平安末期から記された公家日記『玉葉』                        (ぎょくよう)には、後白河法皇の崩御を                               受けて喪に服する後鳥羽天皇の装束として                           「柑子色大口(おおぐち)」と記されています。                                           可愛げな色のようで、案外さみしい用途とも                            近しいのかもしれません。

※大口・・・大口袴の略。束帯の際に表袴の下にはいた。


最後まで読んでくださり                        ありがとうございます。

大切なお時間をありがとうございました。

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