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X-Pro1 OVFの作法

写真は今回の話にこれっぽちも無関係でかわいいエゴマ氏です。なんならX-Pro1で撮った写真ですらないです。オリンパスのE-420という古い一眼レフで撮った写真ですので本当にかわいいだけです。

先だってX-Pro1のOVFはいいぞという話をそれらしく書きましたが、観念的な話が主だったので実際のところアレをどう扱うという話を、MFレンズを前提に具体的に書いておきたいな思います。

ピント合わせについて

先の記事に書きました通り、OVFでの厳密なピント合わせは不可能に近いです。AFレンズでならカメラ側で勝手に合わせてくれますが、正しく合焦しているかどうかは撮影画像を見ないとわかりません。それならそもそもEVFでいいじゃんという話になります。
なのでわたしはそもそもほとんどの場合ピント合わせはしません。おおよそF8か11まで絞り、パンフォーカスを作っておきます。そうすればあとは露出を決めてブライトフレームに合わせて撮るだけです。散歩しながらのスナップ撮影の場合、これで困ることはあまり無いでしょう。どうしても開放で撮りたいとか、近接撮影をしたい場合は諦めて背面のコマンドダイヤルを押し込んでEVFを呼び出します。どうせ画像を開いて確認することになるなら最初から諦めるほうがテンポがいいです。

露出について

OVFでなにげに面倒くさいのが露出です。EVFのように撮影結果がはじめから見えるわけではないので、露出計を表示させていても測光次第では白飛び黒潰れが出てしまいます。なのでより実用的にOVFという無駄だけどかっこよくて気持ちいい機能を使うならば、ヒストグラムを表示させる他ありません。RAW現像などにあまり馴染みのない方にはヒストグラムについてはなんだか難しそうに感じるかもしれもせんが、実は全絶難しくない上に超便利なのでこれを機に楽しく覚えると良いと思います。ついでに言っておくならば、RAWで撮影することをおすすめします。やっぱり現像であとから露出を調整できると撮影の手間が随分と減ります。撮影後のプレビューを表示させず、全てRAWで撮影して帰ってから写真を確認するのはフィルムカメラ的な楽しさがありますよ。

OVF内の表示について

OVF運用において地味にネックなのが、晴天下ではOVF内の表示がめちゃくちゃ見づらいことでしょう。実はこれ、EVFと設定が共通してしまうのですが、明るさ調整ができます。実は、という程のことでもないかもしれませんが、わたしはしばらく気づかなかったので……もし見づらくてダメだという方がおられましたら是非……。また、一応ですがブライトフレームのサイズはマウントアダプター設定の焦点距離から変更できます。ここではAPS-C換算にせず、そのままレンズの焦点距離で入力して大丈夫です。

モード設定について

ここまで設定した上で運用してて思うのが、マニュアル露出めんどくせえということです。OVFの数少ない利点としてEVFと違って被写体の動きと見え方にタイムラグがないという点があるのですが、マニュアル露出ではそれが活かせませんので絞り優先AEで都度露出補正をしてやればよいと思います。より具体的にはシャッタースピードオートはもちろんのことISOオート、ISO上限は1600でシャッタースピード最低値は1/焦点距離で設定しています。ISOオートにするメリットとしては、まあ面倒がないのが一番の理由ですが、シャッタースピードを任意で設定したいシチュエーション対応できるというのもあります。そして意外にもX-Pro1、センサーの配列の特異性ゆえか高感度ノイズが気になりにくいです。ただここまで不便さを極めているのにAEはなんとなーく軟派な感じがしますが……まあそこはその日の気分で決めれば良いのです、そういうカメラです。

最後に

X-ProシリーズやX100シリーズの文字通り目玉であるOVF、世代を追うごとにEVFの小窓表示など異様な気合の入れようで利便性を向上しているそうですが、なんだかんだでX-Pro1の発展途上なOVFでもしっかり使えてしまいます。また逆にOVF内に表示させる情報を必要最低限まで削ぎ落としてゆくのも視界が広々として清々しいものです。水平水準器やグリッド線のような実用的なものから電子接点のないMFレンズでは出番のない距離計、ホワイトバランスやフィルムシミュレーションやら撮影可能枚数やら別に都度確認する必要のない情報などを一切非表示にしたときの爽快感は、なんだかとても懐古的な琴線に触れることでしょう。

このミラーレス全盛の時代に一眼レフどころかレンジファインダーにすら届かない非合理極まりないOVF運用、馬鹿みたいですが他では味わえない自由な撮影体験があります。一度染み付いたテクノロジーの常識を脱ぎ去り、より自分の感性と目で見た現実の美しさとを近づけるOVF、是非使ってあげてください。

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