オカルト研究会に所属しています。まあサークルとして集まってはいますが皆自分の興味ある事にばかり手をつけているので、オカルトといっても実際の活動内容はかなり色々です。僕が好きなのはホラー、特に動画や音声のものです。大学に来る前からハマっていて、その延長みたいな感じで部室でホラー映画を片っ端から見たりいわく付きの音声を集めたり、自分でそういう類の作品を作る事もありました。それで、大学二年生の時の文化祭の企画で自作映画や集めた中で特に怖かった動画音声を紹介したんです。
そしたら研究会に連絡が来たんです、僕に繋げて欲しいって。メッセージが来たアカウントの情報を見ると、同じ大学の一個下の女の子みたいでした。他の情報からの印象としてはホラーを苦手にしていそうな、そんな雰囲気の子だったんです。でもその子は僕に、怖い音声をあるだけ欲しい、と言ってきました。映画やボイスドラマの様なストーリーがあるものではなくて、本物の心霊スポットで録ったといった、そういう音声が欲しいと。たいして面倒な事でもないし断る理由もないので、快く知っている音声付き動画や録音のリンク、データ、自分で作成してきた物も含めて自分が送れるだけのものは全部その子に送りました。よっぽど欲しかったみたいで、何度もお礼を言われました。直接会うとかそういう事はなかったんですけどね。
一週間位経った頃、その子から連絡が来たんです。また新しく音声を送って欲しい、というものでした。僕は少しもやっとしました。何せ今までこつこつ集めてきた音声を出せる限り全部教えたものですから、その数や総再生時間はかなりのものなはずだったんです。また新しくと言うからには渡した物の殆どを聴き終わったのでしょうが、そうなると彼女はずっと、それこそほぼノンストップで渡した音声を聴き続けていたという事になってしまいます。しかし心霊音声を早送りで、ましてや一回目からそんな聴き方をする人がいるとは考えにくいので、余程熱心な人なのだろうとその時は思いました。とにかくスパンが短くて殆どストックが増えていなかったので、取り急ぎ新しい二、三個の音声を添付して「集めるにしても録るにしても時間がかかるから前に送った音声を聴きながら待っていて欲しい」という旨を書いて返信しました。
でもその子からの返信は、酷く慌てた様子が伝わるものでした。とにかく早く、手に入れたそばから送って欲しいと。その時にやっと、何かあるんだ、と思って、どうして新しくなきゃいけないのか訊いたんです。そしたら、
「二回目なんて聴いたら分かっちゃうじゃないですか」
って。
僕はそういう音声や動画が揃ったサイトを知っているだけ教えて、自分で探して視聴するように言いました。自分としてもホラーは趣味であって、さすがに使える時間に限界があったので。一応大学にいる間は協力してあげようと思ってそれなりに高い頻度で新しいものを送ってあげてはいるんですが、少し前から返信もくれなくなってしまいましたね。

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