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【第45回】「世の中の『不』から見つける新規事業のビジネスチャンス」

第一線で活躍しているクリエイターをゲストに迎え、クリエイティブのヒントを探るトークセミナーシリーズ「CREATORS FILE」。


第45回 クリエイティブナイト
ゲスト:石川明氏(株式会社インキュベータ代表)
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リクルート社で新規事業開発室のマネジャーを務め、生活情報サイト「All About」を創業するなど、社内起業の専門家として数多くの新規事業開発に携わっている石川さん。世の中の「不」から新規事業のビジネスチャンスを見つける独自の発想法に迫ります。


インキュベータとして

西澤:石川さんとは、企業向けセミナーに講師として一緒に登壇したときに初めて出会いました。その後、日経のセミナー開催に向けて準備を進めるなか、体調を崩して入院されてしまったのです。今はもう復調されていますが、その時、嬉しいご相談をいただきました。「復活する時には、Rebornをしたい。自分の会社をもう一度リニューアルしたい」といった内容でした。石川さんは新規事業のプロなのに、あえて僕に手伝ってほしい、ととても光栄なお声がけです。というわけで、今日は石川さんの「Reborn祭り」スタートです!

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石川:はじめまして。石川明と申します。僕は「インキュベータ」と名乗って仕事をしています。インキュベータとは、孵化器(鶏の卵を孵化させるもの)を指します。転じて、ビジネスの世界では、卵を温めてそこから事業を生みだす人のことを「インキュベータ」と呼んでいます。これ以外にも、社会人向けのインターネット大学院「SBI大学院大学」の教員をしています。いずれも、企業においてどのようにしてボトムアップ式に新規事業を創出していくかということに特化しています。

西澤:うんうん。

石川:僕はもともと、1988年にリクルートに入社して11年間在籍していました。そのうち、1993年~2000年までの7年間は「新規事業提案制度事務局」で仕事をしました。当時はインターネット黎明期で、紙媒体からインターネットに移行するための事業戦略の策定も担当しました。今は、リクルートといえば「新規事業が活発」という企業イメージがあるのではないでしょうか。

西澤:確かに。

石川:しかし、僕が在籍した頃は新規事業に苦戦していました。93年ごろ、リクルートは1兆数千億円の借金を抱えていたのです。リクルート本体というよりも、マンションデベロッパー系の「リクルートコスモス」や「ファーストファイナンス」というグループ会社の借金です。倒産させるかリクルートが肩代わりするかという話にもなり、結局は後者を選択した。つまり、僕らが稼いだ営業利益が借金返済に充てられる辛い時期でもあり、正直嫌気がさしていました。一度は退職願を出しましたが、いろいろあって留まることになり、この後の話につながっていきます。


ブライダル情報誌『ゼクシィ』の創刊

石川:僕が7年間携わった新規事業を扱う部署では、社内で「Recruit Innovation Group」、略して「Ring」と呼ぶ社員から新規事業案を公募する提案制度の運営をしていました。今ではさまざまな企業が同じような制度を作っていますが、その中では非常にうまくいっていると言われています。もう50年くらい続いているのではないでしょうか。

西澤:へえ! どんな組織体で運用していたんですか?

石川:僕を含めて2人の事務局でしたが、それでも毎年200件ほどは新規事業の提案を受け付けていました。そこから役員会に上げる案件を7~8件選んで事業化していきました。制度からの一番大きいヒット銘柄は『ゼクシィ』です。

西澤:ほう!

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石川:『ゼクシィ』が新規事業というイメージはあまりないと思いますが、僕と同期の女性が27歳くらいの頃に提案したものなんです。当時の結婚式はワンパターン化していることに彼女は疑問を持ち、調査をしてみようという話になりました。リサーチを進めると、健全な業界構造ではなく、エージェントが間に入っているので顧客の要望が直接式場等に通りにくいとわかりました。ダイレクトに顧客と式場をつなぐメディアを作ろうということでブライダル情報誌『ゼクシィ』が誕生しました。売上は年間数百億円、100億円単位で利益が出る事業になりました。その売上規模もさることながら、日本の結婚式を変えたことがすごいと思うんです。

西澤:まさしく。

石川:「仲人を立てる、立てない」「引き出物を出す、出さない」「式場でなくてレストランで、ビーチで、スキー場で」……。結婚式の多様化が進んだのは、『ゼクシィ』の影響がけっこう大きいと思います。当時、リクルートにはさまざまなインフラがあったので、「やるぞ!」となると一気に100人くらい組織されます。そこまでの事業をベンチャーが着手しようと思っても、そう簡単なものではありません。大規模な新規事業を一気に進められることは、社内起業のいいところだと思っています。


「All About」の立ち上げ、そして退職

石川:新規事業がうまくいけば、売上利益だけでなく世の中を変えることができる。『ゼクシィ』の社内起業の経緯をそばで見てきた体験が、僕の中での社内起業の原点になりました。

西澤:すごい原体験ですよね。

石川:その後、33歳の時、自分自身で事業をゼロからつくりたいという想いから「All About」の立ち上げに自ら参画しました。リクルートの新規事業として、アメリカの「About.com, Inc.」と合弁で会社を作り、10年間で売り上げは47~48億円、社員数は200人くらいまで増えました。

西澤:なぜリクルートを辞めようと思ったのですか?



\ いよいよ、ビジネスチャンスを見つける発想法に迫ります /
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