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『アイデアを実現させる建築的思考術 アーキテクチュアル・シンキング』はじめに無料公開。

こんにちは。
エイトブランディングデザインの瀬戸です。

エイトブランディングデザイン 代表/ブランディングデザイナー西澤明洋の最新著書『アイデアを実現させる建築的思考術 アーキテクチュアル・シンキング』が、2019年9月20日に発売されました。
既にお手にとっていただいた皆様、ありがとうございます。

けれども、またまだ多くの方に読んでいただきたい!
「建築の本なの?自分に関係あるの?」と思われている方もいらっしゃるのではと思います。
書店さんによっては建築コーナーに陳列されてしまい、ますます皆様との出会いが減ってしまっているので、とりあえず立ち読みだけでもしていただきたいと思い、まずは「はじめに」の部分を無料公開することにしてみました。

本は新しい発見の宝庫です。通勤・通学の電車の中で、おうちで、お時間がある時に読んでみてください。

【アマゾン】アイデアを実現させる建築的思考術 アーキテクチュアル・シンキング/西澤明洋 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4296103709/

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<目次>

はじめに アイデアを実現させる建築的思考術

第1章 「構造」 不自由な自由というルールのデザイン
第2章 「コンテクスト」 コンテクストを解くデザイン
第3章 「コンセプト」 軸をつくり出すデザイン
第4章 「場」 場づくりと建築の統合的デザイン
第5章 「考える」 感じるデザインと考えるデザイン
第6章 「共創」 ワークショップという共創のデザイン
第7章 「構想力」 未来をつくり出すデザイン
終章 「アーキテクチュアル・シンキング」 プロセスのデザイン

おわりに 「新しいデザインをつくるために」

(登場クリエイター:中村勇吾さん、太刀川英輔さん、紺野登さん、ナカムラケンタさん、西村佳哲さん、山崎亮さん、齋藤精一さん、隈研吾さん)

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●はじめに

アイデアを実現させる建築的思考術

 みなさん、こんにちは。そして、本書を手にとっていただいてありがとうございます。この本は僕の素朴な疑問からはじまりました。タイトルで「アイデアを実現させる建築的思考術」とは言っていますが、僕は建築家ではありません。僕は、企業のブランディングを専門とするデザイナーです。
 正確に言うと僕は「ブランディングデザイナー」という肩書で仕事をしています。この仕事をはじめて14年になりますが、日本でブランディングデザインを専門領域として扱いはじめたパイオニアになります。
 企業や商品、店舗などのブランド開発を専門にしていて、飲食店、物販店、食品、電子機器、農業機械、調剤薬局、幼稚園、美術館、大型商業施設など、様々なジャンルのデザインを手がけています。最近では、ガスや電力などのインフラ系の会社や、変わったところでは神社のブランディングデザインなども行っています。

 でも僕は、ブランディングデザイナーになるためにブランディングデザインの教育を受けてきたわけではありません。僕は大学では建築を学び、大手電機メーカーにプロダクトデザイナーとして就職。その後、独立してから独学でこの分野を切り拓いてきました。最近、ブランディングデザインの方法や考え方を教える機会が増えるようになって、改めてそれをきちんと言語化してみようと試みているのですが、僕のブランディングデザインはどうやら「建築」にとても大きな影響を受けているらしいとだんだんと分かってきました。
 
 ブランディングデザインを簡単に説明すると経営をいかに具現化させるかというデザインです。最近、ビジネスやデザイン領域でキーワードに挙がる「デザイン経営」や「デザインマネジメント」などがその根っこにあります。しかしながら、ブランディングデザインの方法は、従来のグラフィックデザインの手法や経営コンサルティングのやり方とも異なります。
 経営を具現化させるブランディングデザインは、経営者と対話を重ねながら、様々な手段を駆使して企業の形をブランドとしてデザインしていく仕事。例えるなら、建築家がクライアントに寄り添いその住まいを設計していくように、ブランディングデザイナーは経営者と二人三脚で、その企業の形をデザインするのです。
 僕はいままで、この仕事の進め方を割と当たり前と思ってやってきましたが、多くのクリエイターや経営者と対話を重ねるうちに、従来のデザイナーや経営コンサルタントのアプローチとは結構異なるものなんだなと、はっきり自覚するようになりました。そこで自分のブランディングデザインをより深く知るために、自分の根っこにある「建築」というデザインの方法について、一度きちんと考えを整えてみたいと思うようになりました。

 この本は僕の素朴な疑問からはじまりました。タイトルで「アイデアを実現させる建築的思考術」とは言っていますが、僕は建築家ではありません。僕は、企業のブランディングを専門とするデザイナーです。正確に言うと僕は「ブランディングデザイナー」という肩書で仕事をしています。この仕事をはじめて14年になりますが、日本でブランディングデザインを専門領域として扱いはじめたパイオニアになります。

建築の方法の4つの特徴

 デザイン業界はとても細分化された業界です。グラフィックデザイン、ウェブデザイン、プロダクトデザイン、インテリアデザイン、そして建築などなど……。もののジャンルの数だけ、それぞれの専門分野のデザインがあります。いろいろなデザインがあり、やり方も千差万別。しかし、その中でも建築教育の歴史は古く、他のデザインの分野に比べて、その方法は傑出していると感じます。なぜか?
 
 それはもう身も蓋もなく簡単に言ってしまうと、建築は他のどの分野よりも「つくるのが大変だから」。つくることが大変なゆえに、なんとかしなければならないと多くの先人が創意工夫を重ねた結果、その方法は発達してきました。
 建築の方法が他よりも抜きん出た特徴に、次の4つを挙げることができます。
 1つ目。まず「協働性」。
 建築は単純に大きいです。それはもう、私たちの身近に使うものの中では、断トツに大きい。住宅もそうですが、多くの人が集まるような施設などになれば、なおのことです。当然ですが、大きなものをつくろうとすると1人ではつくれません。多くの人が協働して1つのものをつくり上げなければなりません。そのため建築というデザインは「協働すること」を前提においています。これこそが建築の方法が発達した大きな理由の1つかと思います。1人で黙々とつくれば良いというものでもないので、個人的な感覚だけのクリエイティブではダメです。理解可能な共通のプラットフォームがあることで多くの人が同じ方向性にものづくりをすることが可能になります。
 
 2つ目。次に「社会性」。
 公共性といってもいいかもしれません。建築は不特定多数の人が使います。それを使用する特定の目的を持ったユーザーに対してのものづくりだけに留まらず、使わない人にとっても存在するだけで大きな意味を持つものとなります。普通、建築に限らず様々なものやサービスは、使う目的が明らかな場合がほとんどです。つまりユーザーが特定されています。建築に関しては、このユーザーが特定しきれない社会性を持ち合わせます。つまり存在するだけで不特定多数の人に受け入れられなければならないことが、既に目的として持たされているともいうことができます。
 
 そして3つ目、「確実性」。
 建築はその存在が大きいがゆえに確実に堅牢につくられる必要があります。ちょっとした雨風や地震、経年変化ぐらいで潰れてしまうようでは、ユーザーは生命の危機にさらされます。なので、建築は安全で確実なものが求められます。
 そしてそれはプロセスの上でも同様です。建築をつくろうとするクライアントからすると、その行為は莫大な費用をかけた(個人レベルでみたらそれこそ人生を懸けた)大きな投資行為となります。失敗が許されるデザインではないのです。確実に機能するものを確実につくるためには、方法はとても重要な意味を持ちます。
 
 最後に4つ目は、「統合性」。
 1つ目から3つ目まで建築というデザインが求められる代表的な特徴を挙げましたが、細やかにいうとまだまだ多くの特徴があります。建築は他のデザインやアートと比較してみても、つくる上でクリアしなければならない課題を多くはらんだデザインです。
 建築設計に携わる人なら当たり前の感覚になりますが、デザインをつくる上で、こうした複雑な与件を「解く」という感覚が実は建築には強く求められます。ものづくりで「解く」とはすなわち統合。すべての事象を全部足して、はい終わりというのではなくて、むしろ1つのデザインですべての問題をするっと解決していく、そんなイメージをここでは「統合性」としています。
 
 協働性、社会性、確実性、統合性。
 これらを特徴に持つクリエイティブな手段として「建築」という方法があることを考えると、それは必ずしも「建物を建てる」だけでなく、社会の多くの分野で活かされる可能性のあるユニークな考え方であることが分かると思います。この本ではこの建築というデザインの方法が持つ考え方に「アーキテクチュアル・シンキング」と命名することにしました。そして、その考え方のできるだけ根っこを探っていきたいと思います。

アーキテクチュアル・シンキングの7つのキーワード 

 根っこを探っていくに当たって、僕だけの経験や考え方だけでは大変心もとない。
 実はデザイン業界を見渡すと、僕と同じように建築教育を受けながらも他分野で活躍されているクリエイターが結構います。以前様々なジャンルのデザイナーと対話を重ねた『クリエイティブのつかいかた』(日経BP)にも登場いただいた、コミュニティデザイナーの山崎亮さんもそうした1人で、打ち上げの席でもこの話で大いに盛り上がりました。そして、他にも建築出身で様々な分野で活躍されている方々とお会いして話をしてみると、やはりはっきりと「建築」の影響を自覚している方が多いなということが分かってきました。というより、建築の方法や考え方を応用して別のジャンルで活動している方がかなり多い。こうなってくると、単に僕の個人的なことだけではなくて、こうした建築的なものの考え方は、もっと普遍的で広く多くの方に役立てるようなものとして導き出せるのではないか?
 
 この本は、まず僕がこの方は「アーキテクチュアル・シンキング」的に活動をされているな、と思う7人のゲストにご登場いただくことからはじまります。ゲストの方はそれぞれ建築を学び(場合によっては実務経験も経て)、その後、建築とは異なる新しい分野を開拓されている方々です。ゲストの方を通して、「アーキテクチュアル・シンキング」の骨格をなす7つのキーワードを考えていきます。
 7つのキーワードとは「構造」「コンテクスト」「コンセプト」「場」「考える」「共創」「構想力」。他分野でも同様のキーワードはありますが、アイデアやものづくりに直結する具体的な思考術として、それらを考えていきたいと思います。僕の実務と照らし合わせながら考えていくので、ややブランディングデザインの話に偏る場合もありますが、その点は何卒ご容赦ください。まず第1章から第7章にかけて、「対話→考察」を繰り返すことで、「構造」「コンテクスト」「コンセプト」「場」「考える」「共創」「構想力」というキーワードをじっくり深掘りしていきます。そうすることで「アーキテクチュアル・
シンキング(建築的思考術)」の輪郭を浮き上がらせることがその目論見となります。
 
 そして、さらに本書の最大のテーマでもあるアイデアを実現させる建築的思考術「アーキテクチュアル・シンキング」。僕のキャリアや実力で論じるには、手に余る大きなテーマでもあることは百も承知です。終章にはゲストに、日本を代表するザ・建築家というべき隈研吾さんにご登場いただきます。隈さんと一緒にアーキテクチュアル・シンキングを、解き明かしていきたいと思います。
 「アーキテクチュアル・シンキング」とは何なのか?「アイデアの実現のさせ方」とはどのような方法なのか? さあみなさん、僕と一緒に考えていきましょう。

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【アマゾン】アイデアを実現させる建築的思考術 アーキテクチュアル・シンキング/西澤明洋 (著)
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いかがでしたでしょうか。

『アイデアを実現させる建築的思考術 アーキテクチュアル・シンキング』は、このような感じで、様々なブランディングを手掛けてきたブランディングデザイナー西澤明洋のルーツを探る話でもあります。
本編は、建築を学び、新領域を開拓するクリエイターが続々登場し(登場クリエイター:中村勇吾さん、太刀川英輔さん、紺野登さん、ナカムラケンタさん、西村佳哲さん、山崎亮さん、齋藤精一さん、隈研吾さん)、最後は日本が誇る建築家隈研吾さんにもご登場いただいています。なんと隈さんには、書籍の帯のコメントもいただきました。

建築家 隈研吾氏推薦!
「建築の”エッジ”な連中に学べ!」

ありがたやありがたや……

ご興味が湧いた方は是非お気軽に読み始めていただけたら。

最後にお願いがあります。
今回の無料公開を受けて、もし「これは何やら面白そうだ 」と思っていただけたなら、この記事をシェアしていただけると嬉しいです。ご意見・ご感想など、みんなで語り合い学び合うことを西澤は最高の楽しみと思っていますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!

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