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何が好きかより何が嫌いかで自分を語れよ

 ツイッターを見ていてとても楽しくなるツイートを見かけた。

 元来思い出は美化されるもの。”あの頃のゲーム特有の外付け要素”まで読んで、「昔を懐かしみ感傷に浸るツイートだな」と思った矢先に”普通に嫌いだった”と続いていたのでクスりと笑ってしまった。

 この文体で素直な批判感情は不意打なんよ。
その上この短い文章で「本当に嫌いだったんだな」と読み手に思わせてくる凄みもある。
 “普通に嫌いだった”という素直すぎる評価もいっそ清々しい。技あり1本…!

批判にも良し悪しがある

 僕は人が作品の批判をしているのを聴くのが結構好きなんですよね。みなさんもきっと好きだと思います。これは適当を言っているのでは無く、人間はそういう要素を持っているという”根拠”があります。

 ロビン・ダンバーという人類学者によると人間の口は悪口を言う為に発達したらしい。悪口を元に群れから不穏分子を炙り出し追放する事でコミュミティを安定させる事が出来ると言うのだ。不穏分子を共通敵として取り除き団結を深める事で効率的に群れを維持出来ると。

 その説に従うと悪口を言わない人はコミュニティの存続に貢献していない、不穏分子予備軍になってしまうのだろう。実際に悪口を言わない人は「信用できない、面白くない」という意見があるので恐らくこれは事実に近い。

 逆に言えば共通敵や自分とは違う対象の悪口を言う人は好ましく信用出来る人物ということになる。これが俺は批判が好きだ皆さんも好きだろうと言った”根拠”です。

 そうは言うけれど悪口を言う人は好ましい、信用出来るという話を直観的に受け入れられない人もいると思います。悪口が”普通に嫌い”な人もいるでしょう。それも当然かと思います。

 ツイッターや週刊誌、TVなどを見て他人のゴシップに飛びつき、好き勝手言う人達を見ているとそんなに人の秘め事を暴いて悦に浸りたいのか、歪んでいるなぁって思いますから。そういう人達には誇りやプライド、人生を賭けて熱中できるものがないんでしょうね… これを読んで同調していたら大なり小なり悪口が普通に好きです。受け入れて下さい。

 批判にも良し悪しがあると言ったのはこう言う事で、適切な悪口は信用され好ましく思われますが不適切な悪口を言ってしまうとその逆になってしまうんですよね。
 言いたい事も言えないこんな世の中じゃ 𝑷𝒐𝒊𝒔𝒐𝒏

作品を叩いてみせよ

 その上での話…人間とそのコミュニティの話なんてオタクの俺には関係ねえんだよ、ここからが本番だ———。

 作品批評のお話です。長年ツイッターをしているとちょくちょく作品を評価するのに他作品を貶めるな(比較するな)というツイートを見かける。賛同者も多い意見だ。

 …甘えるなッ!自分が好きな作品の悪口を言われたくないだけだろうがッ…!

 評価する為に比較をするのは絶対条件だろうがッ…!
何かの価値が上がれば他の価値は下がる…当たり前の法則だろうがッ…!

就活の面接だってそうじゃないですか?(唐突)
「弊社に入社したいと思ったのは何故ですか?」と言う質問は裏を返すと「たくさんの企業がある上で弊社を選んだ理由を論理的に述べよ」という意味ですよ。比較じゃないですか。

 そこでの回答では直接社名を出したりしませんが他の企業と比較してその企業を上げる内容になるのは明白でしょう。企業は就活生から「他の企業と比較した上で御社には入社する価値があった」という意見を聞いて信用したいんですね。

 作品批評もそうです。何かを高く評価するということは、それ以外の何かは低い評価になるということですから。本気で批評したいなら比べて欲しい。なんなら叩いてもいい。
 叩いたら叩かれるかもしれないが、だからこそ叩かれる覚悟を持って批評してほしい。その覚悟を感じたら信用できるから。

一体何の話なんだよ

 今更ですが何でこんな話をしているかというと、今の時代に閉塞感を感じるからです。少しでも悪いことを言えば凍結だの炎上だのと口を閉ざそうとしてくる。ユーザーはインフルエンサーがつくった世界を肯定して自分の世界を持とうとしない。

 インターネットやめろの"インターネット"なんて"にゃるら"の考える『インターネット』だ。他人の考えた『インターネット』で満足していたら新しい価値は生まれない。自分だけのインターネットを、自分だけの世界を表現してくれよ。

 本気の文章を見せて欲しい、世界を比較して、否定して、自分だけの価値を見つけてそれをぶつけてくれ。お前の感じた価値を信用させてくれ。

 悪いことを言ったら抹消され、推しを全肯定するのは当たり前で、なんとなく売れているものが偉くなってしまう世の中だからこそ、それに抗って思いっきり傾かないと価値など生まれない。
 だから———

終わりに

 俺が「日常は素晴らしいよねって完結する作品は好きじゃ無い」とツイートしたところ、「俺はこういう理由でそれが好き」と返してくれたフォロワーがいて感動してしまった。オタクはそうありたいものよな。否定的な意見に流されず自分の感想を持つ強さ的な?

 他にはロックバンドを批評しているフォロワーが居るのが嬉しい。本気の文章は読んでいて楽しいので。

 じゃあ俺はブルアカ叩いて来るからよォ〜!!!!
お、お先に…!!!

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