小説ステイ6 ピュアりんの秘密

ライブハウス地獄に着いた。赤じるを注文する。今まで、気にはなっていたけど、知らないままのことがたくさんある。今日は、すみっこさんに、色々聞いてみようと思った。すみっこさんは、ステイがデビューの時から地獄にきてたそうだ。市内の店に食材を配送する仕事をしていて、地獄にも食材を届けているとのこと。そして、赤汁を考えたのは、すみっこさんだった。新しくデビューするステイのために、考えられたものらしく、初ライブも、地獄の店主に頼まれて見に来たそうな。ステイの店主と、かなぼーは、親戚で、月1回のライブは、無料で店を貸してもらってるらしい。そして、かなぼーとピュアりんは、いとこだそうだ。なんとなく顔が似ているなと思っていたけど、そういうことか。ピュアりんが、ずっとライブを休んでいるのはストーカーのせいだという。ある日、すみっこさんが、地獄に食材を届けに来た時に、ステイのファンに会って、ストーカー扱いされたらしい。その後も、SNSなどでストーカーは消えろなど書き込みをされたりしたそうだが、よく考えてみたら、ライブもない日に、すみっこさんを見かけたそのファンは何かといえば、ストーカーだったのだ。本人は無自覚らしく、ピュアりんを見守っているつもりらしい。すみっこさんが、いつもすみっこの後ろに居るのは、そのストーカーが気になるからだという。自分は気づかなかったけど、いまでも、地獄に顔を出し、すみっこさんに気づくと、すぐ帰っていくそうだ。そんな人、出禁にすればいいと思ったけど、直接の被害もなく、運営的には、熱心なファンという扱いらしい。今日の野外ライブにも来ていたという。月曜日のライブは、とくに何か追加することもなく、普通に観ようということになった。花束は、今日の野外ステージのお祝いもこめて、すみっこさんがフラワースタンドを出すことになった。自分は個人的に花束を渡すことになったが、かなぼーの分だけでいいそうな。他のメンバーは、誰かが用意するらしい。当日のお客さんの事だけど、いっぱい来てしまったら、イスと机を片づけて、スペースを作るらしい。今日のライブの余韻が強く、あまり頭もまわらないまま、時間がすぎたけど、しばらくしたら、ステイのメンバーがライブの打ち合わせに来てしまったので、帰ることにした。雑草のつもりだったけど、他の人が用意する花束を想像したら、花屋さんで買うことに決めた。

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