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サヨナラまでの30分※ネタバレ含みます

あなたは「30分」という時間をどう考えますか?

短い、長い?時と場合によって違うよね。
つまらない授業中はとても長く感じるし、楽しい時は一瞬。バイト中は時計とにらめっこだけど、30分遊んでお金を使うのは本当に同じなの?

私は本作品で心に残った台詞がある。

「音楽をしていると時間って平等じゃないって思う」。

これは颯太がアキに言ったセリフ。
このセリフが全てなのかも知れない。
颯太は音楽をして仲間とつながっているとき、その時間は永遠のようだ、と。
そんなことを言った。

「サヨナラまでの30分」。

この題名に据えられた「30」という数字。最後までこの映画を観た僕は、この数字が「永遠」を意味しているように思えて仕方ない。

最後の終わり方、完璧すぎ!

「そうそう、これが観たかったんだ!」。

涙と鼻水をだらだらに流しながら心の中でそう叫んだ。
最後のフェスでの「ECHOOL」のライブシーン。音楽がかかる瞬間にぞっとして体中に鳥肌が立った。

いや、それ以前に僕は涙でボロボロだった。

なによりも、アキと颯太の間に生まれた友情に涙が止まらなかった。

最終面接でアキについて語る颯太はどこか吹っ切れていて、今までとは違う姿があった。
アキの存在が彼を変えたのだ。
それは颯太だけでない。
他の「ECHOOL」のメンバーも、だ。

心の底からアキがみんなの変化を望んでいたのか?

いや、決してそうではない。

劇中で印象に残ったのは、アキの嫉妬のある颯太への言動や視線だ。
徐々に「ECHOOL」のメンバーと打ち解けていく颯太を見て「俺のバンドだぞ」と言ったり、カナと良い感じになる颯太を見て「俺の彼女だぞ」と言ったり。そんな言動一つ一つがアキのみんなを本当に思っていることへのリアリティが生まれる。

自分のものを他人に奪われて、それを平気な顔で眺められる人がいるだろうか。

絶対にいない。

だけど、アキは最後のライブ前に颯太を演じて自分がここにいることを告げない選択をする。

告げれば、みんな信じてくれそうな感じなのに。
みんなが過去を乗り越え、前に進むために自分のことを捨てた。

みんなのことを真剣に考える「アキ」の人間的な強さを感じることができる。

だから、涙が止まらない。

最後のライブシーン、間違いなく「ECHOOL」はアキと颯太を含めて、6人で演奏していた。

6人は音楽を通して「永遠」のような時を過ごしていた。

そして、アキが消えた後、「ECHOOL」は新たなスタートを切った。

颯太と他のメンバーでの演奏。
曲の終わりと同時にエンドロール。
そして、エンディング曲でも魅せる。
もうかっこよすぎて…。

僕にも「永遠」のような時間を過ごせるような体験がしたい。
そして、なによりも、自分のことを捨ててまで他人を思ってみたい、思われてみたい。

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