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投資講座第9回「税金が決まる仕組みを知ろう!確定申告と節税の話

 このシリーズは、南山堂さんの月刊誌『薬局』にて2019年4月号から2020年8月号にかけて連載していただいた「薬剤師にもできる!将来幸せに働くための投資講座」をベースに、読者の範囲をもう少し広げて、データや戦略を更新し、大人の事情でカットされた部分を追加して書き直す連載企画です。相補的な部分もありますので両方読んでいただけるとなお良いですが、難しければこちらだけでも大丈夫なように書いています。
 なお、本記事の中では特定の金融商品や銘柄、投資手法を紹介することがありますが、投資判断はご自身でお願いいたします。よって失敗しても責任は取れませんが、知らせてくれたら一緒に悲しむぐらいはします(^^;)

 2021年もすっかり年の瀬になりました。ということで、今回は時期的にも関心を集めそうな確定申告の話をしたいと思います。みなさんは確定申告にどのようなイメージを持っておられるでしょうか?
 「めんどくさい」とか「難しそう」とか「関係ないこと」と考えておられる方も多いことかと思います。しかし、おそらく一生の間に確定申告を一度もすることがないという人は極めてまれだと思います。

意外と身近な確定申告

 例えば、年金をもらうようになったけど生活の足しに少し働くのであれば確定申告が必要になってきます。怪我や病気で多額の医療費がかかったのであれば、医療費控除を受けるためにも確定申告が必要です。若いうちでも、住宅ローンを借りて家を買ったという人は、いわゆる住宅ローン控除を受けるために初年度だけは確定申告が必要です。それから、副業をしている人もその収入にもよっては確定申告が必要になってきます。そして、この連載で解説しているような投資によって収益を得た場合も、どのような投資で得たかにもよりますが、確定申告が必要になってきます。

 このように、普通に1ヶ所だけで勤めるだけのパターンから少し外れると発生するのが確定申告です。言い方を変えると、国が想定してる一般の勤め人だけが確定申告を免れているだけです。ただ、そのことは確定申告から免れたまま生きていこうとすることは一生平凡なサラリーマンで終わるということを意味します。よって、投資によって将来豊かになろうとするのであれば、確定申告はいずれ避けては通れないものです

 しかし、なぜ多くの人が確定申告に縁がない(考える必要がない)のかというと、日本には給料からの源泉徴収(いわゆる給料天引き)と年末調整という制度があるからです。
 そもそも、そのような給料天引きというシステムは、第2次世界大戦中のナチス・ドイツが戦費調達を目的に導入したのが起源といわれています。日本も導入したのは1940年です。当時は戦争のためにどんどん重税が課され始めていた時代ですから、税金を取りはぐれないための賢い工夫だったわけです。
 しかし、私が個人的に「ずる賢いなぁ」と思うのは年末調整です。なにしろ必要書類を会社に出せば、会社のほうで税金を精算してもらえますからね。そうなると、個人は税額が決まる過程を一切目にすることがなく、納付や還付のお金も直接手にしないために、税金への関心が薄れてしまうでしょう。いつの間にか税金が上がっていてもほとんど気付かないなんて人も多くなると思います。

 例えば、以下の税金や公的保険料の変化はみなさんきちんと意識していますか?

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